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無垢の剣士、試練の森を斬る

初めまして! 魔力ゼロの剣士ナキが、地獄のギルド試験に挑むダークファンタジー! 孤高の皇族エステル、貴族の落伍者テモと共に、魔獣の巣窟を斬り開く! バトルと絆の物語、楽しんでくれたら嬉しいです! 初めての投稿でドキドキしてます! 感想、応援お願いします!

ナキは埃にまみれた革靴で石畳を踏みしめ、握り潰しそうなほど古びたメモを手にしていた。育ての親が残した一文――「15歳になったら、ギルドの試験を受けなさい」。

5年前、山奥の小屋で別れたあの人の声が、今も耳に響く。「ナキ、剣は信念だ。どんな地獄でも、己の刃で道を切り開け」。あの夜、星空の下で交わした約束が、ナキをこの喧騒の街へと導いた。腰に差した漆黒の剣が、鈍い光を放つ。街はまるで生き物だった。露店の串焼きから漂う香ばしい脂の匂い、商人たちの威勢のいい呼び声、馬車の車輪が石畳を軋ませる音。山奥で育ったナキにとって、人の波と色彩は眩い別世界だ。串焼き屋台に吸い寄せられ、鶏肉の串を頬張る。熱い脂が舌を刺激し、育ての親が焼いてくれた兎の肉を思い出す。「…あの味には敵わねぇな」と呟き、ナキは苦笑した。育ての親はいつも言った。「腹が減ってちゃ、剣は振れねぇ」。その言葉通り、ナキは腹を満たし、ギルドへの道を尋ねる。「おっちゃん、ギルドってどっち?」髭もじゃの親父が笑顔で指差す。「あの通りまっすぐだ、若造! 試験受けるなら気合い入れな!」ナキは串を咂え、軽く手を振った。都会の鼓動に心が躍るが、剣の重みが胸の奥の孤独を呼び起こす。育ての親が消えた理由も、なぜギルドを勧めたのかも、ナキは知らない。ただ、約束を守るため、今日ここに立っている。「どんな地獄でも、斬り開くぜ」と呟き、ナキは歩みを進めた。ギルドの建物は、街の中心にそびえる石造りの巨塔だった。重厚な扉をくぐると、待合室は受験者の熱気でむせ返っていた。魔力を帯びたローブの貴族、巨大な斧を背負った戦士、震える手でコインを握る若者。50人近い受験者が、それぞれの覚悟を胸に集っていた。ナキは黒い瞳を細め、剣の鞘に手をやる。「おい、そこの剣士らしいぞ」中年試験官の声が、ざわめきを切り裂いた。ガルザと名乗る男だ。顔に刻まれた無数の傷と、冷酷な笑みが戦歴を物語る。「魔力ゼロのガキがギルド? 怪我する前に帰りな」周囲の受験者がクスクスと笑う中、ナキは済ました顔で答えた。「そんなこと100も承知だ。さっさと試験始めなよ、じいさん」その堂々とした口調に、ガルザは一瞬眉を上げた。「ふん、死にたきゃ勝手にしろ。試験は地獄だぞ、ガキ」


試験会場は、街外れの深い森――魔獣の巣窟と呼ばれる死地だった。受験者50人が森の入口に集められ、ガルザが冷酷な笑みを浮かべながらルールを告げる。「ルールは簡単だ。1人1枚のコインを渡す。10枚集めるか、半数以下になるまで生き残れ。それが合格条件だ。魔獣に食われても、仲間を裏切っても、俺は知らん。さあ、始めな!」森に踏み入った瞬間、湿った土の匂いと魔獣の遠吠えがナキを包んだ。巨木が陽光を遮り、薄暗い空間に不気味な静寂が漂う。地面には魔獣の爪痕が刻まれ、苔むした岩が血の跡で汚れている。空気は重く、死の予感が漂う。ナキはコインを握り、ルールを反芻した。「10枚か、25人以下…楽じゃねぇな」森の至るところで、地獄が繰り広げられていた。ある場所では、炎魔法を放つ受験者が仲間を裏切り、コインを奪って逃走。だが、背中に雷魔法が炸裂し、焼け焦げた身体が地面に崩れる。別の場所では、猪型魔獣に追い詰められた女が地面を這い、助けを求めるが、群れの爪に引き裂かれ、断末魔の叫びが木霊する。また別の場所では、若者がコインを守るため仲間を盾にし、蛇型魔獣の毒牙に食い破られる。緑の毒霧が漂い、溶けた肉片が地面を濡らす。ある一角では、受験者が岩の陰に隠れ、震えながらコインを握るが、巨大な熊型魔獣の爪に頭を砕かれる。別の木陰では、仲間を裏切った男がコインを奪い笑うが、背後から別の受験者の闇魔法に飲み込まれ、黒い霧に溶ける。血の匂いが風に乗り、森全体が死と恐怖に支配されていた。ナキはそんな光景を横目に見つつ、冷静に進んだ。茂みに隠れる少年が目に入る。コインを握る手が僅かに震え、髪を無意識に触りながら周囲を窺う。「お前、なんで隠れてんだ?」と声をかけると、少年は静かに顔を上げた。「…襲わないで。俺、テモって言うんだ」テモは、貴族の名門ハーヴェル家の出身だったが、「出来損ない」と家族に追い出された過去をぽつぽつと話した。声は低く、自信なさげだが、落ち着いた口調で語る。「…ギルドに入るか、死ぬかしかなかった」ナキは静かに頷き、「なら、ギルド目指すしかねぇな。テモ、何か使えるもんは持ってるだろ」テモが目を伏せ、髪を触りながら答える。「…バフ魔法。少しだけど、人を強くできる」ナキが軽く笑う。「それでいい。使えるなら、なんでも使え」直後、ガサッと茂みが揺れ、狼型の魔獣が牙を剥いて飛び出してきた。ナキは一瞬で漆黒の剣を抜き、流れるような一閃で真っ二つに斬り裂く。血飛沫が苔を濡らし、テモが低い声で呟いた。「…強いな、ナキ」「置いてかれねぇよう、ついてこい」ナキが軽く笑うと、テモは小さく頷き、ついてきた。ナキは気づかなかったが、テモの瞳には、安心できる存在への信頼が宿り始めていた。


同じ頃、森の別の場所では、深紅の髪をなびかせる少女が冷たい目で男を睨んでいた。彼女の周囲には、魔獣の死体が転がり、爆破魔法の焦げ跡が地面を黒く染めていた。深紅のローブが風に揺れ、まるで炎そのものがそこに立っているようだ。「よぉ、紅髪の姉ちゃん。俺のパーティーに加わったらどうだ? 最強のチーム作れるぜ」巨漢、ガルドが巨大なハンマーを担ぎ、ニヤけた笑みを浮かべる。側近のゼルと4人の手下が、ガルドの背後に控え、薄笑いを浮かべる。ゼルの瞳には、冷徹な知性が垣間見えた。少女は鼻で笑い、鋭い視線をガルドに突き刺す。「残念だけど、タイプじゃないの。あんたみたいな脳筋、相手にする価値もないわ」その言葉は刃のように鋭く、ガルドの笑みを一瞬凍らせた。だが、すぐに「お前以外ぶっ殺して、また誘ってやるよハハ!」と高笑い。ゼルが静かに微笑み、手下たちがガルドに合わせて笑い声を上げた。その光景を遠くから見たナキは、テモと並んで木陰に隠れていた。「変なやつらもいるな」と呟き、少女の背中に目を奪われる。深紅の髪、堂々とした立ち振る舞い。どこかで見た記憶がチラつく。「あの子、どこかで…」だが、すぐに頭を振った。「まぁ、関係ねぇか。行くぞ、テモ」森の奥に進む中、試験の地獄はさらに過酷さを増していた。ある場所では、受験者がコインを巡って仲間を裏切り、氷魔法で凍らせて逃走。だが、背後から蛇型魔獣の毒牙が襲い、凍ったまま食い破られる。別の場所では、若者がコインを守るため単独で逃げ惑うが、群れの狼型魔獣に囲まれ、断末魔の叫びが響く。ある一角では、受験者が岩の陰に隠れ、震えながらコインを握るが、巨大な熊型魔獣の爪に頭を砕かれる。別の木陰では、仲間を裏切った男がコインを奪い笑うが、背後から別の受験者の闇魔法に飲み込まれ、黒い霧に溶ける。血の匂いが風に乗り、森全体が死と恐怖に支配されていた。


突然、森の奥からけたたましい叫び声が響いた。ナキとテモが駆けつけると、凄惨な光景が広がっていた。巨大なサソリ魔獣が、受験者をハサミで挟み、口に咥えていた。下半身はすでに食いちぎられ、口から突き出した手が弱々しく助けを求める。仲間たちの死体が周囲に散らばり、血と内臓が地面を濡らす。サソリの甲殻は黒光りし、鋭い尾が毒を滴らせ、赤く輝く目が獲物を冷たく見据える。ナキは無言で剣を構え、渾身の力で斬りかかる。漆黒の刃が甲殻に火花を散らし、浅い傷を刻む。サソリのハサミがナキを狙い、地面を抉る。ナキは素早く横に跳び、木の幹を蹴って反転。刃を振り上げ、サソリの尾を狙うが、尾がしなり、毒液が地面を溶かす。ナキは毒を躱し、地面を転がる。サソリのハサミが再び襲い、ナキは剣で受け止めるが、衝撃で腕が痺れる。テモが「ナキ、危ない!」と叫ぶが、魔法をかける余裕はない。ナキは木々の間を縫うように動き、サソリの攻撃を誘う。ハサミが巨木を砕き、土煙が視界を覆う。ナキはサソリの側面に回り込み、甲殻の継ぎ目を狙って斬りつける。刃が僅かに食い込むが、致命傷には程遠い。サソリの尾が振り下ろされ、ナキは間一髪で後退。毒液が地面を焦がし、腐臭が鼻をつく。サソリが咆哮し、両ハサミを振り上げる。ナキは地面を蹴り、木の枝に跳び乗る。サソリの尾が枝を貫き、木が倒れる。ナキは空中で回転し、漆黒の刃を振り下ろす。甲殻に深い亀裂を刻むが、サソリは怯まず、尾でナキを狙う。ナキは地面に着地、転がって躱す。サソリのハサミが連続で襲い、地面が陥没する。ナキは木々の陰を盾に、素早く動き回り、サソリの隙を突く。だが、甲殻の硬さに刃が阻まれ、ナキの息が荒くなる。サソリの赤い目がナキを捉え、尾が高速で振り下ろされる。ナキは木の根を盾に隠れ、毒液が根を溶かす。サソリがハサミを振り回し、木々が倒れる。ナキは土煙の中を駆け、サソリの背後に回り込む。漆黒の刃が甲殻を切り裂き、黒い体液が噴き出す。だが、サソリが振り返り、ハサミでナキを狙う。ナキは間一髪で跳び、木の幹を蹴って反転。刃がサソリの目を掠め、甲殻に新たな亀裂を刻む。「ナキ、生きてる…!」テモが呟き、ナキは一瞬息を整える。刹那、轟音が森を揺らし、燃え盛る爆風がサソリを直撃。甲殻に亀裂が広がり、巨体が仰け反る。爆風の衝撃でハサミが地面に突き刺さり、尾が痙攣して動かなくなる。黒い体液が地面を濡らし、サソリの目が光を失う。「…派手な登場だな」ナキが振り返ると、そこにはコインを手に持つエステル。赤い魔法陣が彼女の手元で消え、深紅の髪が風に揺れる。「あんたそんな剣で試験抜けようとしてるの? 随分勇敢ね」とエステルが皮肉を投げかけると、ナキはニヤリ。「素手よりマシだし、どっかのナンパ師から身を守るにも丁度いい」エステルは鼻で笑い、「生憎、私にはそんな下品な男、眼中にないわ」と返す。その余裕ある口調に、テモが静かに呟いた。「…すごい人だ」エステルがコインを軽く放り上げ、受け止める。「この試験、思ったより面倒ね。魔獣はともかく、こんな雑魚がうろつくなんて」彼女の視線が、遠くの死体にちらりと向く。テモが静かに、ふと何かを思い出したように目を上げる。「…そういえば、どこかで見た気が…」彼は声を落ち着けて続ける。「ハーヴェル家の本で、深紅の髪の皇族の話が…国家皇族、国の最上位に君臨する一族で、滅多に人前に姿を見せない…まさか、君が…?」エステルが鋭い視線をテモに投げるが、すぐに軽く笑う。「ふん、物知りね、テモ。私はエステル。確かに皇族の端くれよ。まあ、名前くらいは覚えておきなさい」彼女の口調は高慢だが、どこか軽やかな響きがある。ナキが剣を鞘に収め、「エステル、か。派手な名前だな」と呟く。テモが目を伏せ、髪を触りながら言う。「…俺、テモ…ハーヴェル家にいたけど、出来損ないって追い出されて…ギルドに入るか、死ぬかしかなかった」彼の声は自信なさげだが、落ち着いている。ナキが軽く頷き、「なら、ギルド目指すしかねぇな。テモ、何か使えるもんは持ってるだろ」テモが小さく頷き、「…バフ魔法。少しだけど、人を強くできる…ちゃんと使えるように、頑張るよ」エステルが鼻で笑う。「バフ? テモ、使えるなら見せてみなさい。この森じゃ、使えない奴は死ぬだけよ」ナキが森の奥を見やり、「この森、ただの試験場じゃねぇ。地獄そのものだ」と呟く。テモが低い声で、「…こんなとこ、俺、生き残れるかな…」と不安を口にする。エステルが冷たく言う。「生き残る? テモ、この森で迷ってる時点で死よ。覚悟しなさい」ナキが軽く笑う。「地獄でも、剣を抜きゃ道は開ける。剣士ってのは、どんな試練も斬り裂くためにいるんだ」テモはナキの言葉に目を上げ、静かに頷く。エステルが「ふん、甘いわね。こんな地獄で覚悟だけで生き残れるなら、誰も死なないわ」と冷たく返す。エステルがコインをポケットにしまい、深紅の髪を払う。「ま、せいぜい生き残る事ね、テモ、ナキ。今は見逃してあげるわ」彼女はコインを指で弾き、ナキとテモを一瞥。「次に会う時は、もっと面白い戦いを見せなさい」冷たい笑みを残し、森の奥へと消える。ナキが軽く笑い、「見逃す? 俺の剣がそんなに怖えか?」と呟く。テモが静かに、「…エステルさん、怖いけど…強いな」と呟く。ナキがテモの肩を軽く叩く。「怖えなら、ついてこい。剣は怖えもんから守るためにある」エステルの去った背中は、彼女の一匹狼の姿勢を強く印象づけた。ナキとテモは、彼女の強さと冷たさに圧倒されつつも、新たな試練の予感を感じていた。3人が別れた直後、重い足音が森を震わせた。「よぉ、紅髪の姉ちゃん! 雑魚どもとつるんでる暇あったら、俺と勝負しろよ!」ガルドの声が響く。巨大ハンマーを振り上げ、舐め腐った笑みを浮かべる。戦いを求める目が、ナキたちを捉える。「お前ら全員、ぶっ潰してやる!」手下4人が一斉に突撃。粗末な剣や弱い雷魔法で襲いかかるが、エステルの爆破が炸裂。彼女はすでに戦場に戻っていた。轟音とともに4人が木々に叩きつけられ、呻き声を上げて倒れる。ガルドは生身で爆風を耐え、ゼルは竜巻を起こして爆風を上空へ飛ばした。ゼルの薄い笑みが、冷徹な知性を滲ませる。


ガルドが猛スピードでナキに迫り、ハンマーを振り下ろす。地面が砕け、土煙が舞う。ナキは両手をクロスしてガードするが、衝撃で地面を滑り、巨木に叩きつけられる。肋骨が軋む痛みに顔を歪めつつ、すぐ立ち上がる。テモもハンマーの一撃で吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられた。「テモ!」ナキが駆け寄ると、テモは静かに呟いた。「…危なかった」防御バフで間一髪耐えていた。「自分を守る事を最優先事項にしとけ、肉弾戦なら俺に武がある」ナキが漆黒の剣を静かに抜く。刃は無骨で、装飾のない漆黒。育ての親が遺した、ナキの唯一の相棒だ。ガルドはハンマーを肩にニヤつき、「戦闘はでけぇほうが勝つ。軽く遊ぶ程度には付き合ってやるか」と挑発。ナキは冷静に返す。「お前のハンマー、遊ぶには重すぎねぇか?」ナキがガルドのハンマーのモーションを読み、カウンターで切り込む。漆黒の刃がガルドの腕を掠め、血飛沫が舞う。ガルドの巨躯が揺れ、怒りの咆哮を上げる。ナキは木々の間を素早く移動。ハンマーが巨木を砕き、土煙が視界を覆う。ナキはフェイントを織り交ぜ、ガルドの肩に浅い傷を刻む。「舐めやがって!」ガルドが身体能力向上の魔力を高め、筋肉が膨張。地面が震え、速度と力が跳ね上がる。ハンマーがナキの剣を弾き、ナキは地面を転がる。ガルドが追撃。ハンマーが地面を抉る。ナキは間一髪で跳び、木の幹を蹴って反転。漆黒の刃がガルドの胸を掠め、鮮血が飛び散る。「ガキ、てめぇの剣、悪くねぇぜ!」ガルドが笑い、魔力をさらに高める。ハンマーを振り回し、連続攻撃を繰り出す。地面が割れ、木々が倒れる。ナキは木々の陰を盾に、素早く動き回る。ガルドの速度がナキを上回り、ハンマーがナキの左肩を掠める。血が滲み、ナキは歯を食いしばる。「悪くねぇのは、お前のハンマーもだ!」ナキが返すと、ガルドが笑う。ナキは木の枝に跳び乗り、ガルドを見下ろす。「まだ終わんねぇぞ」彼は枝を蹴り、空中で回転。漆黒の刃がガルドの腕に深く食い込み、血が噴き出す。ガルドが咆哮し、ハンマーを振り上げる。ナキは地面に着地、転がって躱す。ガルドのハンマーが地面を砕き、衝撃波がナキを吹き飛ばす。ナキは木に叩きつけられ、息を荒げる。「ナキ!」テモが叫び、バフをかける。ナキの回避力が底上げされ、ガルドのハンマーを紙一重で躱す。ナキはガルドのモーションを読み、カウンターで切り込む。漆黒の刃がガルドの腕、肩、胸を次々に掠め、血飛沫が舞う。ガルドの巨躯が揺れ、怒りの咆哮が森を震わせる。「てめぇ、ただじゃ死なねぇぞ!」ガルドが魔力を極限まで高め、地面が割れるほどの力を放つ。ハンマーが連続で振り下ろされる。ナキは木々の間を縫うように逃げる。ガルドの攻撃が森を破壊し、木々が倒れ、地面が陥没する。ナキはガルドのハンマーを剣で受け止め、衝撃で腕が痺れる。ガルドが笑い、「終わりだ、ガキ!」とハンマーを振り上げる。ナキは間一髪で横に跳び、木の幹を蹴って反転。漆黒の刃がガルドの脇腹を切り裂き、深い傷を刻む。ガルドの目が血走り、「ぶっ殺す!」と咆哮。ハンマーを振り回し、衝撃波がナキを襲う。ナキは地面を転がり、木の根に隠れる。ガルドがハンマーを振り下ろし、地面が爆発。ナキは土煙の中を駆け、ガルドの背後に回り込む。漆黒の刃がガルドの背中を切り、血が噴き出す。ガルドが振り返り、ハンマーを振り上げる。ナキは木の枝に跳び、ガルドの攻撃を躱す。だが、ガルドのハンマーが枝を砕き、ナキは地面に叩きつけられる。


一方、ゼルはエステルに挑む。「君の爆破魔法は僕の風魔法には通用しない。空気を分散させて相殺さ」と嘲笑い、両手を広げる。青い魔力の渦が巻き起こり、竜巻がエステルの爆風を散らす。ゼルのローブが風に翻り、薄い笑みが冷徹な知性を滲ませる。彼の風魔法は、単なる防御に留まらず、攻撃にも転じる。竜巻が細かい風の刃となり、エステルのローブを切り裂く。「小賢しいわね」エステルは冷笑し、両手を構える。赤い魔法陣が輝き、爆風が炸裂。だが、ゼルの竜巻が爆風を上空へ飛ばし、木々の枝が折れる。ゼルは一歩踏み出し、風の槍を放つ。槍はエステルの肩を掠め、血が滲む。「君の魔力は確かに強い。だが、僕の風は全てを切り裂く」ゼルの声は静かだが、底知れぬ自信に満ちている。エステルは舌打ちし、「テモならともかく、あなた程度と比べられても困るわ。私の魔力は、そんな小細工じゃ止められない」と返す。彼女の深紅の瞳が燃えるように輝き、魔力量が跳ね上がる。赤い魔法陣が拡大し、周囲の空気が震える。爆風が連続で炸裂し、ゼルの竜巻を押し返す。だが、ゼルは動じず、風の障壁を展開。爆風が障壁にぶつかり、衝撃波が木々を揺らす。「面白い!」ゼルが笑い、オリジナル魔法を発動。「風の葬送曲」と呟き、両手を振り上げる。森全体が震え、無数の風の刃がエステルを襲う。刃は木々を切り裂き、地面を削り、逃げ場を奪う。エステルは爆破で刃を弾きながら後退、木々の陰に身を隠す。「この程度で終わると思う?」彼女は木の幹を蹴り、跳躍。空中で魔法陣を展開し、広範囲の爆風を放つ。爆風が風の刃を散らし、ゼルの障壁を揺らす。ゼルは目を細め、新たな魔法を繰り出す。「風の絞殺陣!」地面から突き上げる風の柱がエステルを包囲し、彼女を締め付ける。エステルのローブが裂け、肌に血が滲む。「くっ…!」彼女は歯を食いしばり、魔力を集中。魔法陣が輝き、爆風が柱を内側から砕く。衝撃波がゼルを押し返し、彼のローブが裂ける。「皇族の魔力…噂以上だ」ゼルが呟き、エステルは一瞬息を整える。「まだだ!」ゼルが叫び、風の刃を扇状に放つ。刃がエステルの腕を切り、血が飛び散る。エステルは痛みに顔を歪めつつ、「その程度の風、ただのそよ風よ!」と叫ぶ。彼女は木々の間を駆け、爆破を連発。爆風がゼルの風刃を散らし、地面を焦がす。ゼルは風の障壁を強化し、爆風を弾く。「君の力、認めるよ。だが、僕の風は無限だ!」ゼルが新たな魔法を放つ。「風の絶叫!」彼の周囲に巨大な竜巻が形成され、木々を根こそぎ引き抜く。竜巻がエステルを襲い、彼女を巻き上げる。エステルは空中で魔法陣を展開し、爆風で竜巻を内側から破壊。衝撃波がゼルを押し返し、彼の障壁がひび割れる。「無限? 笑わせないわ!」エステルが叫び、両手を振り上げる。複数の魔法陣が同時展開し、爆風が連続で炸裂。ゼルの障壁が砕け、彼のローブが燃え上がる。ゼルが驚愕する。「君は…!」エステルは容赦なく、「私の魔力は、皇族の誇りそのもの。あなた如きに止められるはずがない!」と叫ぶ。彼女は新たな魔法を繰り出す。「紅蓮の裁き!」巨大な赤い魔法陣が地面に広がり、爆風がゼルを包み込む。爆風が森を焼き、地面を焦がし、ゼルを直撃。轟音が森を震わせ、ゼルは黒焦げで地面に倒れ込む。ローブが燃え、身体が痙攣し、気絶。エステルの深紅の瞳に、圧倒的な勝利の光が宿っていた。


ガルドはナキの執拗な斬撃に苛立ち、両膝をつき、地面を叩きつける。「こんなクズ共にッ!」その叫びとともに、目が赤く光り、身体が膨張。皮膚が裂け、鱗が浮かび、巨大トカゲに魔獣化。咆哮が森を震わせ、爆炎ブレスが木々を焼き、地面にクレーターを刻んだ。「なんなのあのバケモン!?」エステルが合流し、驚きつつも冷静に爆破で迎撃。赤い魔法陣から飛び散る爆風が、トカゲの甲殻に火花を散らすが、傷一つつかない。ナキは巨木の陰を盾に素早く躱し、「生身で食らったら、ただの炭火焼きだぜ!」と吐き捨てる。ガルドの尾が薙ぎ払い、木々が折れ、土煙が舞う。「人が魔獣化なんて聞いたことねぇ!」エステルが叫び、爆破を連発するが、甲殻はびくともしない。テモは呆れ顔で、「ナキ、ふざけてる場合かよ!」と手を前に出しバフをかける。だが、ガルドのブレスがナキを追い詰め、熱風が頬を焦がす。ナキは木々の間を跳び越え、フェイントでガルドの攻撃を誘い、なんとか持ちこたえる。森の地獄は極限に達していた。遠くで、受験者が蛇型魔獣の毒に悶え、緑の霧に溶けていく。別の場所では、群れの狼型魔獣が受験者を引き裂き、血と肉片が地面を染める。コインを奪い合った者たちは、互いに魔法で殺し合い、森は死体と悲鳴で埋め尽くされていた。生き残りは、ナキ、テモ、エステルの3人だけだった。防戦一方の中、ナキの脳裏に育ての親の言葉が蘇る。「剣は信念だ。どんな試練も、斬り開け」。甲殻類の記憶が閃く。硬い殻を割れば、柔らかい身が現れる。「殻を破れば…!」ナキは目を見開き、エステルに叫ぶ。「俺が時間を稼ぐから、最大出力の爆破を1箇所にぶち込んでくれ!」エステルが頷き、両手を構える。周囲の草木が枯れ、空気感が一変。まるで世界が彼女の魔力に屈するようだ。赤い魔法陣が輝き、轟音とともに燃え盛る爆風が準備される。ナキはテモに指示。「一旦バフを解いて力を溜めろ。ここぞって時に、全部ぶち込め!」ナキは巨木の陰を盾に、ブレスと薙ぎ払いを躱す。ガルドのブレスがクレーターを刻み、熱風がナキの髪を焦がす。木々を跳び越え、土を蹴ってフェイントを織り交ぜ、ガルドの注意を引きつける。エステルの爆破が放たれ、ガルドの甲殻に直撃。轟音が森を震わせ、甲殻がひび割れ、柔らかい肉質が露出した。テモが目を瞑り、汗だくで全集中。全力バフをナキにかけ、ナキの回避力と力が底上げされる。心臓が脈打ち、筋肉が唸る。ナキは漆黒の剣を握り、一瞬の抜剣。刃が空気を裂き、周囲の木々をぶった斬る勢いの居合切りが、ガルドの肉質を真っ二つに。血と鱗が飛び散り、ガルドは粉々に崩れ、森に静寂が戻った。ナキは限界を超え、膝から崩れ落ちる。剣を地面に突き、息を荒げる。「ナキ、大丈夫か!?」テモが慌てて膝をつき、ナキの上体を起こし肩を貸す。目が潤み、必死にナキを支える姿に、弱気な少年の覚悟が宿る。エステルは眉をひそめ、「無茶しすぎよ」と呆れるが、「…やるじゃない」と軽く笑う。皇族のプライドの奥に、ナキへの信頼が芽生えていた。


試験は終了。生き残ったのは、ナキ、テモ、エステルの3人だけだった。ガルザはナキを睨み、「なぜ生き残った?」と疑問を口にする。森は死体と血で埋め尽くされ、試験の過酷さを物語っていた。遠くで、コインを握りしめた受験者の死体が、魔獣の牙に引き裂かれたまま横たわる。裏切り、恐怖、絶望――それが魔獣の巣窟の真実だった。ナキは無言で剣を鞘に収め、テモとエステルと並ぶ。テモはまだ震える手でコインを握り、髪を触りながら遠くを見つめる。エステルは深紅の髪を揺らし、冷たい視線で森の奥を見据える。3人の間に、言葉にしない絆が生まれていた。森の奥、誰もいない焼け焦げた地面に、マントの男が現れた。「今回は失敗か…だが、次は奴を必ず仕留める」冷たい笑みを浮かべ、影のように消える。その姿を、誰も見ていなかった。ナキ、エステル、テモは肩を並べ、ギルドへの第一歩を踏み出した。

読んでくれてありがとうございます!

初挑戦でドキドキしながら書いた『漆黒の剣士』、楽しんでもらえたかな?

ナキの剣技、エステルの魔法、テモの性格如何でしたでしょうか?

次はナキの過去と新たな敵が…?

第2話は1週間後予定! 学業と両立しつつ、週1ペースで頑張ります!

感想や応援、めっちゃ励みになります! どのキャラが好き? 教えてね!

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