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溺愛シェーカー   作者: よつば猫
マリブパイン
24/51

「えっと、うちの店のセールスポイントでもそうだし、この前の舞王の演舞でも改めて思ったんだけど。

やっぱ一体感って大事だなって。

だからお客様もその輪に入れちゃう感じで、秋の夜長はClutchで遊ぼう!的なっ?


なにげに閑散期だから余裕があるかなって思ったし、運動会シーズンにちなんで勝負なんかにしたりして。

で勝ったら次回使えるアイス券とか!

アイスなら手間もかかんないし、別腹でお酒のクールダウンにもなるから需要も高いし。

トッピングも、チョコとかベイリーズ(クリームリキュール)なんかを選べるように工夫して……

って感じなんだけど、どーかなっ?」


 すると、くはっと吹き出す悠世くん。


 笑われたー!

いやひどくないっ?


「すみませんねえ!くっだらない企画でっ」


「は?どこがだよ」


「だって今笑ったじゃん」


「あぁ、相変わらず語るなって……

なんか可愛いくて」


 はいい!?

いや、ちょっ……

いきなり心臓撃ち抜かないでー!

てゆうか。


「どしたの悠世くん……

頭打った?」


「 いや打ってねーし……

つか、笑ってごめん。

でもほんとに面白くていい案だと思うし、なんかプレ周年祭みたいでその足がかりになると思うし。

色々考えてくれたんだなって、普通に感動した」


 うわ今度は心臓掴まれた……


「あはは~、悠世くんほどの人にそこまで言われると恐れ多いよ」


「俺何者だよ」



 ちなみに悠世くんは、周年祭用の抽選券配布を考えてたそうだけど。

自分の考えてた配布方法じゃインパクトに欠けるらしく、あたしの案に繋げる事で効果的な企画になると喜んでくれた。


 それから話し合いの末……



「じゃあ2000円以上のお会計で1勝負、負けても抽選券がもらえる。

そんで戦利品と抽選券は2000円ごとに1枚渡す、でいい?」


「うんっ。

……でもやっぱり、ちょっと太っ腹かも」


 もともと代金に関係なく遊ぶつもりだったあたしが言うのもなんだけど、2000円ごとに券あげてたら採算合わないんじゃ?


「まぁ戦利品の方は期限を1ヶ月とかにして、それで次回の来店に繋がるんなら儲けもんだし。

抽選券も、あるだけ周年祭への参加を促すだろうし」


「なるほど」


 ちなみに戦利品はアイス券だけじゃなく、おつまみとしてチーズガレット券も選べる事になった。


 うちの店でゆうチーズガレットとは、一口大のプロセスチーズをレンチンしただけのサクサクスナックなんだけど、これがけっこう人気なのだ。


「あと勝負の種目なんだけど、曜日ごとに変えたり出来る?」


「それいい!

一応3種目は選べるように考えてたんだけど、あと4種目か~」


「へぇ、なに考えてた?」


「じゃんけんと腕相撲とあっち向いてホイ」


「そっか、じゃあ残り4種目はお互い次回までに考えとくとして。

掲載する写真なんだけど、スタッフ(みんな)でじゃんけんとかして盛り上がってる場面とか無理かな?」


 なんでも、以前からスタッフ紹介はしたかったらしく。

そうする事で興味や安心感を与えるそうだ。

さらに楽しそうな写真を載せる事で、今回の企画や周年祭への参加も促すらしい。


「オッケ、店長とみんなに聞いてみるっ」


 それでOKが出たら……

翔くんと一緒に写真が撮れる!

しかも翔くん目当てでお客様も増えるだろうし。

あ、でも懸念してた芸能界スカウトがほんとになったらどーしよう。


「じゃあ今日の打ち合わせはこれで」


「え、まだ帰んないよねっ?」


「ん、一杯飲もうと思ってるけど。

なんで?」


「だっていつもより早くないっ?

久しぶりに会えたのに」


「や、いつもと変わんないと思うけど……

しかも久しぶりって」


 まぁ確かに、一週間じゃ久しぶりってほどじゃないか。

にしても、悠世くんと話してるとあっとゆー間に時間が過ぎるな……


 もしや、これが賀来さんのゆう30過ぎると一瞬ってヤツ?

そんであたしは、悠世くんといると30気分になるとか!


「なんで驚くんだよ。

オススメのでって言っただけだろ?

つか聞いてた?」


「あ~はいはい、オススメのねっ」

ってそーゆーとこじゃん!


「はぁい、オススメりょっ」

そんで可愛くスマーイル。


「え、なんで言い直した?」


 とまあ若さを取り戻し?つつ、本日のオススメは……


「マリブパインでーすっ。

マリブってゆーココナッツのリキュールとパインジュースの、黄金コンビのカクテルでーす。

あたしと悠世くんみたいって事で!

これからもずーっと仲良くしようねっ?」


「ずっとって……

そーゆうコンビなら、平岡さん(あっち)の方がいんじゃないのか?」


 視線の先には、コーラを注いでる翔くんの姿。


「うーん、確かにコーラ(あっち)も好きだけど……

でもこっちが1番好きっ」


「はっ!?

それ気が多いだろっ。

つかなんで急に……」


「んっ?」

語尾が聞き取れなかったものの。


「だってマリブ自体大っ好きだから、気が多くなるのも当然だし。

ミキサビリティーの高いリキュールだから、どの組み合わせでも美味しいし。

それこそマリブコークも、あとマリブミルクなんかも最っ高なんだけど。

やっぱりほどよい甘さと酸味にココナッツの風味が合わさった、コクがあるのにさっぱり飲めるマリブパインが最強かなって」


 すると、なぜか片肘ついた手に顔を(うず)める悠世くん。

さてはまた語ってるって呆れてるな~。


そーいった悠世くんとの楽しい時間は、やっぱりあっとゆう間で……



「帰るんだ?帰るんだー」


「……帰るよ、仕事溜まってるし。

でも周年祭の事もあるし、これからはもっと頻繁に来るかも」


「ほんとにっ?

じゃあ明日も待ってるね~」


「いやさすがに明日は無理だけど……

また電話する」


 その優しげな声音に、胸がくすぐられるも。


「つかほんと、松本さんもミキサビリティ高いよな」

そう言い残して帰ってった悠世くん。


 ミキサビリティとは……

あのあと悠世くんには説明したけど、混ぜる(混ざる)能力の事で。

あたしはマリブみたく他に混ざるコンビもないのに、どゆこと?

だったら掻き混ぜる……マドラーかい!

そういえばトラブルメーカーとか言ってたし……

でも今日はトラブル起こしてないじゃん!


 さてはその言葉を使ってみたかったんだな~。

可愛いヤツめっ。


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