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異世界にて感じる違和感

騎士たちの悲鳴が森の中を木霊する中、天然パーマの男はその場で腰を抜かしていた。

まぁ、逃げられても困るけど。

俺が燃えている時に逃げ切れたはずなのに、その隙を利用せずに俺が燃えているの見ながらブチ切れてたもんね。

尻もちつきながら。


何枚か先ほどの巻物のようなものがあのカバンの中に入っているのだろうか。

もし入っていれば引ったくろう。あの威力の攻撃が即座に使えるのはなかなかに便利だ。

だが、巻物を打った瞬間に腰を抜かしたということはそれ相応の体力を使うのかそれともあの炎の威力にびっくりしただけなのだろうか?


おそらく前者であろう。

あの程度の炎で腰抜かすぐらいなら、自分が雇ったであろう盗賊が切りつけられているのを見て平然な顔なんてしてられるか?

俺や練磨は他人が血を流すなんてざらに見ているが、聖夜なんて初めに切られた盗賊が血を噴水のように出血した途端に顔を真っ青にして気絶したぞ。


切りつけられた盗賊たちは全員まだ息は、あるみたいだけどこのまま放っておいたら大半が出血多量で死ぬだろう。


「おい、鍍金大丈夫か!」


「大丈夫なわけあるか。ふるちんだぞ、ふるちん。女性の前で服も着ずに。もうお婿にいけなくなっちゃうだろ」


「その割には、堂々と佇んでるけどな。お前全身燃えたのに体なんともねぇのか?見た感じやけどの後もなさそうだけど」


全身を舐める舐めるようにみんな!

反応したら困るだろうが。どこがとは言わないが。


「そんなことより俺、とりあえずあの天然パーマから服追剝ぎするから、そこの茂みで気絶している聖夜叩き起こしといて。あとやっといてほしいことがあるんだけど」


騎士の人たちをちらりと見ると極力俺たちというか俺のほうを見ないように後ろをむいていた。

そのすきに練磨に頼み事をする。


「そんなこって、一大事だと思うが了解。いうとうり動きますよリーダー」


軽く溜息を吐き練磨はそのまま茂みに行き、俺は腰を抜かした天然パーマのところに行く。


「くそ、くそ、くそ!なんなんだお前ら!お前らさえいなければすべてうまくいったんだ!どれだけ苦労したと思っている!近衛騎士団長を別の任務で遠ざけ、ユメデリカ王女を王都から連れ出し、この人気のない森林の中にまで誘導するのに!どれだけ、どれだけの、ごべばぁ!」


なんか、ホザクから力の限り顎を蹴り飛ばす。

今は情報ほしい状況じゃねーの、服がほしい状況なの。


のけぞるように吹っ飛び、そのまま脳シントウでも起こしたのか泡を吹いて気絶する。

俺の友人を黒焦げにしてを殺そうとしたんだこれくらいの制裁は受けてもらわんねぇとな。


そのまま天然パーマの服を脱がす。

せめてもの情けというかこんなおっさんがはいているパンツさすがに剥ぎ取って自分で装着する趣味は俺にはない。

ブリーフ履いてんじゃねーよ。いい歳したおっさんが。


ノーパンのままズボンをはき、服を着る。

なかなか上質なものらしく、きごごちは悪くない。


少し下半身がスゥスゥするくらいだ。


「お待たせしました。これでようやくおしゃべりできますね?騎士のお姉さんたち?」


俺が振り返ると、騎士のお姉さんたちは全員鎧の兜を外していた。

全員が鎧と同じの目の色と髪色。

年齢は、俺より少し年上20位か?

一人一人、整った顔をしており、ユメデリカ姫さまの親衛隊選ぶ基準、絶対顔の良さとかも含まれているだろ。


「えぇ、この度はお力をご助力いただきまして誠に感謝します」


3人の中でやはり赤色がリーダーなのか赤髪の女騎士が一歩前に出てお礼を言ってくる。

青髪と黄色髪の女騎士は少し恥じらいながらも俺に対して頭を下げてくる。


「私は、ユメデリカ王女の近衛騎士、レッドアッカ・イロミーと申します。こちらの二人はブルードル・イロミーとイエローキー・イロミーです」


「これはご丁寧に。俺はクラウンと申すものです。同じ名字ということはお三方、姉妹であらせられましたか?」


初対面の人に本名を明かすなんて不用心だな。

平和な日本にいた時ですら俺は名乗るときは必ず偽名を名乗っていたというのに。


名前ってのは厄介だ。

そいつを表す記号であり、名前という情報があればそいつの素性を暴き出すことなんざ猿にでもできる。

現にこの3人には同じ名字があるということは、この3人が姉妹か、それとも同じ男を旦那に持っているかのどちらかだろう。

この場合は後者か、姉妹にしては顔立ち似てないし、イロも違う。

黒目、黒髪が基本の日本人の俺からしたら物珍しく感じてしまうな。


「いえ、私どもは同じ夫を持つものでして。近衛信体調のブラッネロ・イロミーといい。ユメデリカ姫さまの親衛隊長を務めているのです」


ビンゴ!ってこんなどうでもいい情報推測とはいえ当てたって何の得にもなりゃせんが。

こんな美人な嫁さんを3人も捕まえるなんてブラッネロさん。幸せもんだなぁ。

初めて会ったときはぶん殴ろう。


世の中不公平すぎんだろ、お姫様の親衛隊長ってことは国家公務員みたいなもんだろ?そんなん将来ずっと安泰じゃん。

しかも嫁さん3人とも同じ職場で美人ときた。

いいねぇ、どれだけ整った環境で努力すればそんな幸せ手にできんのかね?


いい環境で生まれたやつの特権って奴か。


「これは失礼しました。旦那さまがおられたのですね。なにぶん私の全裸見て3人とも悲鳴をおっと失礼。これは触れないほうがいい話題ですかね」


「できればそうしていただければ幸いです。クラウン殿」


赤い騎士、レッドアッカさんが頬を人差し指でかきながら言う。

その頬は少し赤く染まっており、先ほど俺の全裸を見た光景を思い出したのだろう。


「・・・ジィー」


なにやら俺をあやしそうに睨む黄色い騎士のイエローキーさん。

怪しさ満点の塊である俺だが一応は命の恩人てことで警戒心は緩んでいるはずだが?

それは安易的な観測か。


まぁ、彼女たちを救ったのは俺じゃなくて、練磨だけど。

俺は横入りしただけに過ぎない。


「さっき、メッキって呼ばれてなかった?あのつり目の男の子に」


あやしそうに睨むイエローキーさんの言葉にブルードルさんはそういえばみたいな驚いた顔をして頷く。


つり目の男の子?あぁ練磨のことか。

確かに今の練磨はかなり中性的な顔をしているから男と間違えても仕方ないだろう。

中身は男なんだけどな。

ややこしい、あいつも聖夜クラスとまでは今ねぇけどもうちょっと胸があったら間違えられなくて済んだのに。

ほんとまな板なんだよな、あの板の上で鯉とかさばけそう。


これからのことを考えるとあまり矛盾する事ばかりは話せない。


「それは名前、私のフルネームは、クラウン・メッキというのですから。ぜひクラウンと呼んでいただきたいのでそうなのっただけですよ。イエローキーさん。」


にっこりスマイル。

敵意がない証明には笑顔が一番。


成り行きでこの人たち練磨が助けたけど、この人たちが俺れたちにとって利益があるかどうかきちんと確認しないとな。


イエローキーさんは俺を疑ってきた。別に疑うことは悪いことじゃないがたかが名前をきちんと名乗らなかっただけで。

ということはなにかしら相手を疑わなきゃいけない事情が彼女ないしは彼女らにあるはずだ。

警戒しなきゃいけない理由が。


「失礼ですよ、イエローキー。申し訳ないですクラウン殿、この子も先ほどの襲撃で少し気が立っているみたいで」


申し訳なさそうに頭をさげるレッドアッカーさん。

気が立っているのはそれだけじゃなさそうだが。


ブルードルさんとイエローキーさんは先ほどから馬車が心配なのかチラチラとばしゃを見ている。


視線が泳ぎ過ぎていて隠す努力もしていない。

この人たちが視線の向け方が下手なのかそれとも、この異世界の住人全てがそうなのか。


「こちらこそ、怪しさの塊のような男で申し訳ない。それよりも馬車の方は大丈夫なのですか?あそこで伸びている男の話だとかのユメデリカ第二皇女が馬車の中におられるそうで」


「そちらは心配無用です。この馬車はわが国の技術を詰め込んだ自動式四輪でして、外から攻撃されてもビクともせず防音体制もばっちりです。もちろん中も安全に快適に過ごせるようになっておりますので」


自動式四輪ね。

車みたいなものか、どうりで馬車の形しているのに馬がいないのかと思った。

さっさと逃げ出したのかと思っていたが初めからいなかったというわけだ。


「ぜひともお礼をと言いたいところですが、少しお時間をいただけないでしょうか。あなたと先ほどの方を馬車に載せる許可とこの襲撃の話を伏せてあなた方には魔獣から助けていただいたと説明しますので」


「そうですか!それは大変助かります。なにぶん、何日もこのが道を飲まず食わずで歩いているのでできれば街まで案内してもらえると幸いです。待っている間この盗賊の処置はお任せください」


馬車に乗せてもらえるだけで十分ありがたい。

お礼と言われたが、あれは勝手に練磨が割り込んだけだし、別に練磨がいなくても彼女たちだけで十分対処できたであろう。

むしろこのままいくとずるずるとめんどくさいことに関わりそうになるから街に着いたらバイバイの方がありがたい。


が、今は右も左もよくわからない異世界。

今後のことを考えて王族とコネクション作っておくのも悪くはないだろう。


「それは助かります。この死体はもう憲兵につきいだしたところで懸賞金ももらえないですしそこらへんの茂みにでも捨てておけば魔獣が食べにやってきますよ。ですがあなたが身包みを剥いだ、その男だけこちらにいただけませんか?聞きたいことが山ほどありますので」


随分と命が軽い世界なんだなと顔には出さないで泡吹いている天然パーマの男をレッドアッカーさんに引き渡す。

引き渡した後レッドアッカーさんたちは馬車の中へと乗り込んでいった。


地面に目をやるとうめき声をあげたり、うつろな目になっている盗賊一味。

ほとんどのものは切り口から血を流し、だんだんと血液の血だまりができている。

中には練磨が殴っただけで命に別条はないものの、骨格が変形しかけているものまでいた。

まだ全員生きているというのに彼女たちは飯でもおごってもらうような気軽さで助かりますと言った。

このまま放っておけば死ぬからまだ生きていたとしても変わらないと。


「おぉい!鍍金。とりあえず言われた通り、聖夜連れてきたぞ。頑張れ聖夜そのうちこの程度の傷口見るくらいすぐ慣れる」


「慣れたくないんだけどぉ」


ぐったりとした聖夜を抱えながら練磨がこちらに歩いてくる。

俺はうめき声の上がる、鼓動が弱くなっていく盗賊を担ぎ上げて練磨がひとまとまりにしてくれた盗賊団の連中の近くに置く。


合計で10人。

屈強な体つきをしているが全員体のいたるところに古傷がある。


本当にこいつらは盗賊なのだろうか?

それを聞くにはまずこいつをしゃべれる状態までもどさねぇとな。


俺は最後の最後まで一人突っ立て戦った今にも死にそうな盗賊を見る。

傷が内臓まで達しているのか出血の量が尋常じゃない。

流れ出る血がゆっくりと地面に飲み干され赤黒い大地へと変色する。

青くなったクチビルから何かぼそぼそと言葉を吐いているが聞こえない。


致命傷の奴らも他にもいるがまだ大丈夫だろう。

こいつと話す数分ぐらいの猶予はまだあるはずだ。


俺は死にそうな盗賊並みに血の気の引いた顔の聖夜に無慈悲な一言をかける。


「聖夜。悪いけどこの人の傷いやせるか試してみて?」




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