能力確認とチーム名
全員が携帯電話を取り出して電源を入れる。
開いた画面にパスコードを入れて画面を開く。
別に変わった内容のものは見受けられず、俺の携帯電話のアプリがそっくりそのまま入っていた。
やべぇ、電波が何一つ経ってねぇ。
今まで欠かさずにやってきたゲームのログインボーナスもらえねぇ。
貯めてから一気に受け取るタイプだから受取期限過ぎたりしないよな?
念のためにゲームのアプリを起動してみるが電波が受信できませんと出てきた。
最悪だ。
「ちょ!ちょっと!ゲームのアプリ起動しないんだけど!今までコツコツ貯めてきたログインボーナス受取期限過ぎたりしないよね!」
俺と似たようなことを心配している聖夜が叫ぶ。
その様子を冷めた目で見る練磨がため息を吐く。
「今からそのゲームみたいな世界で生きていくってのに何言ってんの?そんなことよりメモ欄開け。俺たちがもらった能力について書いてあったぞ」
「そんなこととはなんだ!これだからゲームしない連中は!僕みたいな学生無課金プレイヤーにとってはこの日々のログインボーナスがあるかないかでガチャで当たるレアキャラの出現率がぐっと変わってくるんだぞ!」
「そうだそうだ!バイトもしてねぇ、収入源がない学生にとってはこれが命綱みたいなとこあるんだぞ!」
二人で練磨に詰め寄る。
練磨も俺たちのあまりの圧力に若干口元を引きつらせながら、ため息を吐く。
「悪かったよ。で、メモ欄みたか?俺のはこんな感じで書かれていたんだがどういう意味か分かる?」
携帯を俺たちの方に向けて、画面を見せる。
そこにはこう書いてあった。
『あなたに授けた能力は一定の相手を攻撃すれば攻撃するだけその都度、威力が増す『蓮撃』です。途中で別のものを攻撃すると威力は初期状態に戻ります』
「どういう意味も何もまんまその通りだろ?殴り続ける分だけ威力が上がる。いい能力なんじゃないの?」
「そうだねぇ。結構ありがちな能力だけど使いようによっては無双できるんじゃないの?」
「すぐ手が出るお前にぴったしじゃん。なんちゃってヤンキー」
「んだとこら?喧嘩売ってんならこの場で買うぞ?」
練磨はメンチを切りながら俺の胸ぐらをつかむ。
はいはい、こわいこわい。
その三白眼のつり上がっためで睨まれると大体のやつは萎縮するが今は練磨が女だからだろうか?
すごくチャーミングに見えるから不思議である。
口元の八重歯も合わさってかわいい。
「ごめん。練磨。お前が男なら冗談で済んだけど、今のお前にこういうことされるとなんていうか変な気分になるからやめてもらってもいい?」
練磨の両肩を掴んで俺から引き剥がす。
男の時もそうだったが、女になってからより力が弱くなったのか簡単に引き剥がせた。
「え、そうか。ごめん」
練磨の方も申し訳なさそうに顔を俯かせる。
・・・気まずいんですけど!
何この空気!
「二人とも若干甘酸っぱい空気の中悪いけど、僕のもみてもらっていい?」
「なに?炸裂する巨乳とか、そういうエロい感じのやつ?」
「これ以上おっぱいが大きくなってたまるか!僕のはこれ」
練磨同様に携帯の画面をこちらに向けて能力の内容を見せてくる。
『あなたに授けた能力は傷を癒す『治療』になります。癒した傷の大きさによりあなたの体力が減少します』
「これもあれきたりな、能力だよね。しかも消費されるのがMPじゃなくてHPっぽいし」
「ないよりはマシだろ。傷を癒すってどのくらいまでが傷なのかね?せんせーい!病気は傷に入りますか?」
「はい、鍍金くんいい質問ですね。ではその実験台になってもらう為、一度風邪を引いてみてください」
「やめろ馬鹿ども!この世界のウイルスが異世界人である俺たちの身にどれほどの影響があるかわからねぇんだぞ!」
頭をがしがし掻きながら服を脱ごうとする俺を止める練磨。
急にファンタジーに現実的な話持ってくんなよ。
大丈夫だよ、大体の異世界作品でも病気は現実世界と同じものって相場が決まってんだからよ。
「で、最後は俺か、えーなにこれ?」
俺は自分の携帯のメモ欄を開き二人に見せる。
二人とも覗き込むように携帯の画面を見る。
『あなたに授けた能力は『適応』です。いついかなる環境でもその身は朽ちることなく、いつも通りのコンディションで動き回ることができます』
なんていうか、それで?って感じ。
3人が3人とも思ったよりしょぼい、能力をもらったって感じか。
まぁ、俺がいつも読んでいる異世界系転生チート能力者たちが桁違いに強すぎるってのもあるんだろうが。
確かに一つづつ、能力をもらったがあのクソ女神。
それより、願望の具現化自体がそんなにすごいチートでもなかったのかもな。
だって幼馴染二人女体化して一緒に異世界に来ただけだもん。
それを考えれば三等分にされてこの能力っていうのなら、むしろお得と思ったほうがいいのか?
ないよりはマシぐらいに思っておこう。
「まぁ、パーティとしてのバランスはいい感じじゃないの?前衛に練磨くんと鍍金くん。後衛が僕ってところかな?だとするとあと、遠距離のパーティーメンバーが欲しいよね。魔法使いとか、ウィザードとか、魔術師とかマジックキャスターとか」
「うん。それ全部魔法使いの総称だな。確かに魔法使いはパーティに欲しいよな。後遊び人。今後の金銭的に運がいい奴一人はいてもいいだろし、レベル20になれば賢者に転職できるからその分強力になって後々の攻略につながるし」
「そうだね。でも僕ももらった能力的に僧侶みたいだから、後々例の書を手に入れて賢者に転生する可能性もあるからやっぱりここは魔法使いで」
「いやいや、転職の神殿なんて結構序盤で出てくるし初期のゴールド集めは大事だろ?最初の武器は武器屋で買ったほうが攻撃力高いし、鋼の剣なんて高価なものはカジノとかでお金増やさなきゃ買えないし、ここは運が高い遊び人を」
「まてまて、なんのはなししてんだ、テメェラ、こら!ゲームの話とごちゃ混ぜになってるぞ!」
しまった。いつもやるゲームの感覚で話を進めてしまっていた。
そうだ、これは異世界であっても現実なのだ。やはりここは慎重に動かなければならない。
俺は聖夜のほうをみてアイコンタクトで互いに頷く。
そうだよな、まずやるここといえば。
「「酒場に行って仲間を一人補充しよう!その後は今ある全財産で装備を買いに行こう!」」
「とりあえずお前ら有り金全部よこせ。俺が管理する!」
ため息を吐きながら俺と聖夜の財布をひったくる聖夜。
ひどい!友人にカツアゲされた。
財布の中身をカバンの上にばらまかれる。
見たこともない高価や紙幣が入っていたがこれがこちらのお金に当たるものなのだろうか?
どうやら財布に入っていた日本円がすべて勝手に監禁されているようだ。
まじか、俺財布に今回出た設けすべて入れていたんだが。
「これが今の俺たちの全財産か。日本円でいくらくらいだ?俺財布に1万ちょっとしかいれてなかったんだけど。鍍金と聖夜は?どのくらい入れてたんだ?」
「俺は200マンちょっとかな?合コンだから気合い入れて持ってきたぜ!」
「僕もそのくらいかなー。パパが合コンなら男がすべて払わなきゃいけないって言ってたからそのくらいのおこずかい持たされた。現金じゃなくてカード貸してくれたらいいのにねぇ」
「なるほど、このえげつないくらいの紙幣の量は鍍金が言う女神さまのプレゼントじゃなくてまんまお前らのポケットマネーってことね。やっぱり俺が預かるのやめとこうかな。こんな大金持ってると夜寝れなさそう。学生が持っていていい金額じゃねーよこれ」
引きつった顔で目の前の札束にドン引きする練磨。
このぐらいの端た金だったら俺の仕事手伝ってっくれれば余裕で稼げるのに。
「金銭感覚狂っている僕らよりも練磨くんが管理してくれるほうがいいんじゃない?」
散らばった現金を整理してそのまま練磨に渡す。
確かに守銭奴の練磨が金を管理してくれるほうがいいだろう。
俺からも異論なしということでお金の管理は練磨がすることとなる。
「よし。じゃあこれから一番大事なこと決めるぞ!チーム名と誰がリーダーになるかだ!ちなみに俺やりたいって人挙手!」
俺が元気に右手を上げる。
これは大分揉めることとなりそうだ。
二人ともグループ班とかで班長とか委員長とかに任命されてきた猛者。
だが俺も引くわけにはいかない。
合コンセッティングに幹事の仕事、俺にも人をまとめる才能はあるはず!
今熾烈を極めた戦いが始める!
「任せたよ!リーダー!」
「お前が一番適任だろ?」
はい決定!
「チーム名はどうする?俺がつけたいって人!」
俺がまた手を挙げる。
二人とも才能あるネーミングセンスの持ち主だ。
なんどか、スローガンやキャッチコピーに選ばれたことのある実力者たち。
だが俺だって負けていない。
名前をつけることに関しては俺だって経験がある!
「チーム名は『グットフレンズ』だ」
「いいんじゃないの?特に深い意味もなさそうで」
「あぁ、いかにも適当に名付けた感じで俺もいいと思うぞ」
はい決定!!




