状況を整理するぞー
「状況を整理します。まずそこのストパー金髪さん。自己紹介して!」
「自己紹介も何もないだろ?どうしたんだ急に?つーかここどこ?またなんかのドッキリ?ん?なんか俺の声いつもより高くね?」
けだるそうにこちらを向きながらボリボリと頭をかく練磨。
眠たそうなその声は明らかに練磨の男らしいのぶとい声ではなく、普通の女の子の声でもなく完全にアニメ声だった。
クールビューティー的な?沢城○きてきな?やっばーすげー可愛いじゃなくて!
「ここかどこなんかは俺もいまいちわからんけど、お前が誰なのか自己紹介していいから早く!名前だけでも」
「なんだよ、練磨だよ。百戦練磨、んだよ、親友の名前も覚えてねーのかよ」
イライラした表情でブスッとふてくされる練磨。その表情もすごくいい。
本当にあの練磨のか?
なんちゃってヤンキーで弱いくせに喧嘩っ早くてすぐ負けて言い訳つけて泣きながら帰ってきていたあの練磨なのか!
普段クールぶってるが実は勉強以外何をやってもポンコツなあの練磨ちゃんなのか!
「練磨、ちょっと落ち着いてこれ見てくれ」
俺は制服のポケットに入っていた手鏡を練磨に向ける。
練磨はその鏡をじっと見つめて、少し固まる。
表情を変え、口を動かし、変顔をする。
俺のほうを見たので俺はゆっくりと頷く。
そのまま、手鏡の自分を見ながらフリーズする。
一方、何の反応もない聖夜のほうを見てみると自分の胸に急に実ったたわわな果実を小さな両手でモミモミと揉んでいた。
聖夜の母ちゃん確かロシア人ですっごい大きかったけど聖夜の胸に実っていたそれは聖夜の母ちゃんの果実よりも大きなものである。
「?・・・?・・・・?」
首を何度も傾げながら自分の胸に実った果実、おっぱいを揉みしだいている。
確かに男後女体化したらまずやることはそれだと思うが、これが本当に現実のことなのか理解できないといった目でひたすら胸を触る。
「え?何これ、どういうこと?俺女になってんだけど。確認したら俺の股のご立派様消えて上についてなかったもんがついてんだけど」
先にフリーズから復帰した練磨が自分の股間と胸をまさぐっていた。
見栄を張るな、お前の股にはポークピッツ程度のものしか生えてねぇよ。
「これ夢だよな?だってそこにいる自分の胸をまさぐってる巨乳。聖夜だもんな。あいつ男なのに急にあんな巨乳になるなんておかしいもんな、なっ!」
鼻と目の先まで近づいてくる練磨。
昨日までどれだけ近付こうと何も思わなかったのに、どうして俺は今こんなにドキドキしてるんだ?
こたえ。こいつが女になったからだ。心なしかフローラルな女の子の香りもする。
「そんな近づいてくんじゃねぇ!落ち着け!」
「ひゃん!」
軽く突き飛ばそうとした手が練磨の胸にあたってしまう。
ない、そのまな板に確かに肉はない。制服の上からでもわかるほどないのだがその手に当たった感触はかすかだが確かに柔らかい感触だった。
静寂が室内を包む。
いや、気まずいんですけどー!
何で幼少からの幼馴染しかも男とこんな空気にならなきゃいけんですか!
「ご、ごめん」
「俺の方こそ変な声出して、すまん。なんか一周回って落ち着いちゃった」
「それは、そのよかったな?聖夜は、ちょっとこのまま放っておこう。今の状態で話しかけると暴走しそうだし今は自分のおっぱい揉みながら放心しといてもらおう。なぁ練磨今記憶で残っている最後の記憶って何?」
「変な質問の仕方だな。最後の記憶かぁ。お前が自分の好みの女の子を連れて合コンセッティングしろって言ってたな」
ふむ、そのあたりの記憶。
つまりあのうるわしきクソ女神のことは記憶にまったくないといったところか。
あの時二人とも何の反応もないと思っていたけど、あの女神が意識を消したのかはたまた俺とあの女神以外の時間が停止してたのか。
少なくともクソ女神の異世界救ってください情報はこの二人は一切知らないというわけだ。
「確か、スレンダーで姉御肌で気が強そうな雰囲気だけど実は甘えたがりな子で、もう一人は超巨乳で俺より背が低めで優しくて他人を思いっきり甘やかしてくれるような子とか・・・ん?」
何かに気づいたかのように練磨は放心状態ながらも胸を揉んでいる聖夜のほうを見る。
というか、俺そんなこと言ってたんだ。あまりに合コンがうまくいかなくて勢い任せで言っちゃたんだな。
しかも最近ハマっているアニメのキャラクターみたいなヒロインズ、そうそういるわけねーじゃん・・・ん?
「あれ?もしかしてお前らの女体化って俺の願望が具現化したせいか?」
確かに、当てはまってはいる。
今の二人は当てはまりすぎている。
勇者として選ばれた俺以外にどうして、この二人が一緒に異世界に飛ばされたのか。
てっきり俺のそばにいたからだと勝手に解釈してしまっていたがそうじゃない。
都合が良かったのだ。
俺の欲望を具現化するのにうってつけな二人が俺のそばにいた。
一人は、ヤンキーですぐ突っ走るし兄貴肌なくせによく空回る寂しがりや。
一人は、料理もうまいし面倒見もいい落ち込んだ時とか凄く励ましてくれる甘えん坊。
欠点があるとするならば二人とも男だということである。
じゃあ、性別かえればいいじゃない、女神だもの。
といったファンタジーパワーで二人とも性転換。
「なるほど!そういうことかぁ!ごめん」
両手を思いっきり叩いて頭をさげる。
スパァアン!と気持ちのいい音が部屋に木霊する。
その音で放心状態から我に返った聖夜がこっちに近づいて胸ぐらを両手でつかんで俺をゆらす。
「どうするの!もどるのこれぇ!このおっきなおっぱい!重いんだけど、肩に負担がすごいんだけど動きにくいんだけドォォォォ!」
グラングランと俺を揺らすとそのリズムに合わせて聖夜のおっぱいもユッサユッサ揺れる。
こんなに揺れるものなのか!ブラしてないと胸はこんなに暴れ狂うのか!
横に伸びたくまちゃんもたまったもんじゃないと暴れ狂う。
暴走モードに入った聖夜はだんだん俺を揺らすテンポが速くなってくる。
ついでにおっぱいも凄く揺れまくっている。
ちょ揺らしすぎ、気持ち悪くなってきた。
俺は昔から三半規管が弱いんだよ。
「ウワァァァ!何で僕の胸にママよりもおっきなおっぱいついてんだヨォ!男の時ですらパパよりおっきなまたに生えていたものの所為で一時期もっこり聖夜って呼ばれていじめられていたのにぃ!今度は何?なんてあだ名つけられるの?何で身長は伸びないのに一部だけこんなに肥大化するの僕の体ー!」
俺の襟から手を離し、泣きながら叫ぶ。
危なかったもう少しであの山脈に吐瀉物吐くところだった。
「だからごめんって。メンゴメンゴ。それより今の状況を説明するぞ。話がまったく進まん!」
「謝り方かる!心から謝罪してよ!僕の体こんなんにした責任とってヨォ!」
「落ち着け、聖夜。こいつに心からの謝罪なんて求めんな。十年以上の付き合いだが未だにこいつが本気で誰かに謝ってるとこは数えるほどもない。それよりも今の状況の説明だ。よしよし、いいこいいこ」
泣きじゃくる聖夜を抱きしめ母のごとく慰める練磨。
聖夜の巨大なエベレストが練磨の日和山に大きくのしかかる。
なんだろう、凄く尊い。とりあえず拝んどこ。
にしても、これからどうしたものか。
着の身着のまま急に異世界にきちゃいました!
そのせいでお前ら女になっちゃいました、とか言ってもこいつら信じるのか?
学校帰りで合コンに行ったからと持ち物は近くにあったカバンと制服の中の財布に携帯、あとなんだこれ?
紙?
「はーい。そこのアメリカンソーセージとポークピッツちゅうもーく!」
パンパンと手を鳴らして二人をこちらの方に向かせる。
引率の教師みたいでちょっと優越感。
俺はカバンからノートを引っ張り出し、持っていたボールペンで簡単な絵を描く。
「今、俺たちがどこにいるのかは、定かではないがとりあえずここは異世界。世界の名前は『ティーボル』。今邪神によって脅かされている世界だそうだ。で、俺たちというか俺は女神様によってこの世界の勇者として選ばられた。そのサポート役として、お前たちが選ばれたってわけ」
最低限の分かりやすい絵を使い簡単に説明する。
だいたい、女神にも簡単にしか説明されてないし、あの頭の切れる女神が詳細を結構省きながら説明したのにも何かしらの制約があったかもしれない。
「で、この邪神を倒すために選ばれた勇者は俺だけではない。他にも勇者は存在するらしくそいつらとの競争ということになる。誰がいち早く邪神を倒すか。マルチプレイのロールプレイングゲームってところか。一応その邪神が倒されたら帰れるミテェだけど、邪神を倒したご褒美に関してはわからんが最初に邪神を倒した勇者のプレイヤーがプレイヤーたちの中でトップに立てるみてぇなんだわ」
俺が女神との会話で会得した情報をまとめて解説。
二人とも静かに聞いてくれてはいるが納得してくれているのだろう。
こんな現実味のない話でも素直に受け入れてくれる親友共にマジで感謝。
そんなんだから俺がよく嘘ついても最後の最後まで信用しきって一緒に奈落の底に落とされるんだぜ?
「異世界転生あるあるのチート能力なんだが俺にとってのソレが女体化したお前たちみたいなんだけど。それと女神と交渉して異世界で勇者やる代わりに俺たちにもう一個能力くれっじゃないと異世界なんて行きたくないって脅してじゃあなく、だだこねてもう一つサポート能力もらったみたいなんだけど、女体化以外になんか体の違和感とかある?」
「よくまぁ、淡々とそんな非現実じみたこと、説明できんなお前は。体に違和感別に何も感じねぇーけど」
その場でピョンピョンと跳ねたり、軽く屈伸する練磨。
そうだよなぁ。俺も全くと言っていいほどいつも通りの健康状態だし。
「ステータスオープン!」
手を前に掲げ叫ぶ聖夜。
しかし何も起こらなかった。
「ステータスオープン!鑑定!マジックファイヤー!スターダストバースト!」
「何やってんのお前?」
「いや、異世界のライトノベルのあるあるの能力を言ってみたんだけどなんもおこんないね。がっかり」
カタを落として残念な表情を浮かべる。
その際に巨大な胸がユッサリと重力にそって下に揺れる。
「ステータスが見えないってことは、レベルアップとかもできない系のやつかぁ。鑑定で無双したりの定番もできない。あくまで元いた世界の体をベースに女体化して、転移したって感じかな?」
「みてぇだな。鍍金他になんか情報ないのか?お前そういううの引き出すの得意だろ?」
得意ではあるが情報を聞き出す相手もいねぇし、これ以上の情報はこの紙ぐらいなもんか。
折りたたまれた、紙を広げてみる。
そこには見たこともないはずの字なのになぜか内容は理解できる。
「なになに?この度はあなたは勇者に選ばれました。おめでとうございます。と言ってもあなたにとっては何も名誉なことでもないのでしょうが。私も苦渋の決断でありましたがこちらの世界に来られる精神体の中であなたが一番世界を救ってくれる人物と考えております。あなたからの提案であるもう一つのサポート能力は、私の契約確認ミスでしたね。一人ずつということはあなただけではなく、あなたをサポートするお二人にも授けなくてはいけないということですね。まんまと嵌められてしまいました。私、汚されてしまいました。冗談は置いておいてさすがに一人一つづつ計三つのサポート能力となると願望の具現化ほどのサポート能力はさすがにルールを違反しすぎるためこちらでばれない程度のものを勝手に付与させてもらいました。内容は各々の携帯なる便利なものがありましたのでそこに記載させていただきました。では、勇者様あなたの使命は邪神を倒すことですが、どうか異世界『ティーボル』を救ってください。なおこの手紙は読み終えたら自動的に自爆しマスゥ?ってうぉ!」
急な爆発音とともに紙は散り散りに燃え尽きてしまった。
完全なる証拠隠蔽である。
「とりあえず全員、携帯の中の自分の能力確認しよっか?」
「それよりお前、髪の毛アフロみたいにチリチリになってるけどだいじょうぶか?」
練磨が俺が渡して手鏡をこちらに見せてくる。
大丈夫だこのくらいの変化、女体化したお前らに比べたらな。




