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01話「序章」

第四作品目を投降致します。


ここは一周回って友情・努力・勝利の三要素がある作品にしていきたいと考えています。


それでは、楽しんで頂けたら幸いです。



「パーティーを抜けたいだって?」


金髪碧眼の青年が怪訝な顔をして報告した男を見る。


クエスト終了後に丸テーブルを囲い通例の食事を楽しんでいる時の事だった。


他のメンバー達からも怪訝な表情をされる。


「これ以上はお前達についていけない」


茶髪に黒目の男は自身の考えを伝える。


「急にどうしたんだい?」


今までそんな素振りを見せなかった男にリーダーである金髪の青年が問う。


「俺の能力じゃ無理だと。今回の遠征で分かった」


5人パーティーを長年組みここまでやってきたが男は無理だと判断した。


「たしかにアルの力は僕達より劣っているのは全員が思っている事だよ」


ギュッ


隠さず伝えられる言葉に男、アルは拳を強く握る。


「あぁ、そうだ。お前達より火力が出ない俺はついていけない。何度、お前達に助けられたか」


数十というフォローがあって自分は帰って来れたと思っている。


「それがパーティーという物なんじゃないのかい?」


青年の言う通り、お互いの弱い部分を補ってパーティーとして成り立つ。


「あれはパーティーの範疇を越している。迷惑ばかりかけているじゃないか」


ただし、一方的なフォローばかりが目立ってしまえばパーティーとしては成り立っていない。


「ゼルス、もう良いんじゃないかしら?」


「これ以上、言わせるのも悪いしね」


青年ゼルスの左右に座っていた神官の格好をした金髪の女性とローブを身に纏っている赤毛の少女が口を挟む。


「アルも長年良くやってくれたわ。でも、最近の活躍は殆ど見られなくなったわ」


「こう言っちゃ悪いけど、後ろで見ていてゼルスとエドの連携に支障が出ちゃってるし」


後衛であると魔法使いと神官の2人から指摘が男の心に刺さる。


「エドは何か意見はあるかい?」


鋼鉄の鎧に身を包んだ重戦士の男に話しかけるゼルス。


「何度か私やゼルスが危うい時があった・・・その時、アルにミレイのヒールが発動していた時があった。本来なら私かゼルスに向けなければならない回復だった筈だ」


本来、前衛を務めている重戦士のエドと両手剣使いのゼルスが危険の場合は神官の回復を受けるのが普通だ。


「ごめんなさい、あの時はアルの体力が一番低かったのよ」


神官である彼女はパーティー全体の体力を見る魔眼を持っている。


誰が一番危険なのかを判断してアルにヒールを掛けていた。


「ミレイの判断は正しかったわよ」


魔法使いのリリスが呟く。


「・・・そうか」


ゼルスは目を瞑り己の結論を出す。


「アル。長年このパーティー『紅の翼』に弱音も吐かずついて来てくれた。今日を持ってお前をパーティー脱退を認める事にするよ。手続きは後でやっておくよ。今は食事を楽しもう」


パンッ


ゼルスが両手を叩き辛気臭い話は此処までだと終結させる。


「お先に」


食事を終えたアルは一番先に席を立って自室へと戻っていった。


『紅の翼』は中級冒険者として有名で1人1人の部屋を割り当てて自由に過ごす事の出来るパーティーであった。


「このベッドも今日までか」


明日から『紅の翼』でなくなる自分が現在の宿を使えなくなると思うと不安を覚える。


基本、パーティーで稼いだ金はパーティー資金として纏められて管理しているミレイが色々と工面している。


自由にできる金は殆どなくミレイに言わなければ使えない。


「低ランククエストで稼がないとな」


金の工面も全て自分一人でやらなければならないと考えるとパーティー脱退を早まったかと考え直す。


「いや、あのままついて行っても遅かれ早かれ死んでいる」


今回の遠征で何度死にかけたかは分からない。その度にパーティーの連携を乱す事にもなった。


「俺には俺のレベルにあったクエストをするべきだ。ステータス」


ヴンッ


冒険者の証と同時に登録者のステータスを見る事のできる魔道具を発動させる。


【ステータス】

 名前:アル

 種族:ヒューマン

 レベル:18

 職業:モノマネ師

 体力:180

 魔力:144

 攻撃力:74

 防御力:100


【装備】

 頭:スチールヘッドギア

 体:ビックボアレザーアーマー

 腕:ビックボアレザーガントレット

 腰:ビックボアレザーパンツ

 足:ビックボアレザーブーツ

右手:スチールソード

右手:スチールシールド


【ランク】

ソロ:D

パーティー:C(紅の翼)


「なんで、モノマネ師なんだよ」


洗礼の儀、5歳の時に行われる儀式で判明した自身の職業。


モノマネ師とは、世間一般の認識では中途半端と呼ばれる職業である。


名前の通り、見た物をモノマネする能力を有する職業。


ただし、その効果は本来の半分となる。


同じ魔法を放っても威力が半減する。同じ装備やレベルで同じ技を出してもダメージは半分しか通らない。


最悪、ダメージを負わす事すら出来ない事もある程だ。


稀にモノマネ師の職業を持つ者が現れるが何処へ行っても厄介者扱いされる事の方が多く何処の組織にも所属せず、職業を偽り過ごしている人の方が圧倒的に多い。


「スキルは」


【スキル】

・模範(9)

・スラッシュ

・アイアンガード

・ファイアーボール

・ヒール


『紅の翼』のメンバーのスキルを模範し獲得したスキル。


「魔力を倍消費して半減能力か」


モノマネ師は幅広いスキルを使いこなす事が出来る反面、通常より倍の魔力を使って半減された能力しか出せないのが厄介な部分である。


「なぜ、上級スキルは獲得できない」


これらは下級スキルであり上級スキルをメインに使っている『紅の翼』のメンバーのスキルは獲得できなかった。


モノマネ師であるならば模範出来ると思っていた。


これがアルが脱退する理由の決定打となった。


まだ、上級スキルが使えればついて行ける筈だった。


倍の魔力を消費して初級スキル以下の攻撃を誰が求めるのであろうか。


遅かれ早かれアルはパーティーから離れる事は余儀なくされる運命であった。


「それに、この数字は?」


モノマネ師として最初からあった模範スキル。


その横の数字が何なのか分かっていなかった。


何度かメンバーにも聞くがスキル横の文字や数字は無いと言う。


「明日からどうするかだな」


そう考えながら眠りに落ちる。

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