ソークレイジー! ジャストクレイジー!
読みづらい点もあるかもしれませんが、ポンコツスマホの仕様です。PCはイカれてます。
俺は、昼飯を買いに近くのコンビニへ行く。15年落ちのSUVで、見た目はいかつい車だが良く走ってくれる。お供の音楽はもちろん、マイケル・ジャクソン。
今日はパスタな気分だ。ペペロンチーノとサンドイッチを買い、コンビニを出ようとした時に先にレジを済ませた若い女性が出口でもたついてる。すると、何か落とした。俺は、それを拾う。四角い紙切れ……ロト6のくじ券だ。俺は急いで女性を呼び止める。
「あの……これ」
「違います! 人違いです!」
女性は、俺の呼び止めを何かの勧誘だと勘違いしたか。軽自動車に乗り、走り去ってしまった。…………後を追いかけなきゃ! 片側二車線の国道だ。一本道だから追い付けるだろう。俺も車に乗り、ちゃんとシートベルトをしてから車を発進させる。
俺はコンビニの駐車場から左折して100メートルほど行った赤信号で停まる。宝くじの女性の軽自動車は…………。走行車線の2台前にいる。俺のSUVと女性の軽自動車に挟まれてるのは高級スポーツカーのNSXか。目の保養にはなるが、今はそれどころじゃない。
信号が青になり、車が走り出す。女性の軽自動車は左折した。俺もウインカーを左に出し、左折する。NSXは加速して直進してくれた。さよならNSX。もうちょい観ていたかったが、今はそれどころじゃない。
俺は車間距離を詰め、女性の軽自動車に着いていく。停まってもらうにはどうしたらいい? パッシングするか? クラクションを鳴らすか? いや待て。それでは端から見たら、煽り運転になってしまうではないか! 仕方ない、家まで着いていくか。ってか、家に帰るのか? この人。暫く後を着けていくか。どこかで停まるかもしれない。
いや待て。俺はロト6のくじ券を手に取る。裏には名前も住所も書いてない。住所さえ判れば、こんな面倒くさい事をしなくて済むと思ったが。いや待て。名前も住所も書いてないなら俺の物に…………当たってるかもしれない。キャリーオーバーしてたら、6億円だ。ジュルリ…………。いかんいかん! チャンスセンターには監視カメラが付いてるだろう。俺がこのロト6を買ってない事が証明されたり、なんやかんや、宝くじは他人に譲渡出来ないとか聞いたことがある。
女性の軽自動車はどんどん脇道へ入っていく。やっぱり帰宅かな? ちょっと待て! 俺は今、ストーカーしてないか? しかし、6億円を猫ババしたら、横領になるよな? やっぱり、ちゃんと渡さなきゃ!
女性の軽自動車は一軒家の駐車場に車を停めた。ハザードを出してない。ビンゴ! 俺は道路に車を停める。女性は軽自動車を降りて、開口一番に「誰か助けてー! 煽りストーカーよ!」
と叫ぶ。当たり前だよね。色々と齟齬があったと思うが、ようやくロト6のくじ券を渡せる。俺も車を降りる。
「すみません、落とし物ですよ」
「えっ? いや、あなた、ストーカーじゃない。煽って、付け狙って」
「ロト6だよ、ロト6」
すると、一軒家の玄関が開き、男性が出てきた。親かな?
「ロト6だと! また宝くじを買ったのか!? 誰だ、この男は!?」
「俺は、ただ、落とし物を届けに」
「私は、ロト6なんて買ってない!」
なんだ、この親子…………。察するに、女性はギャンブル依存症かな。それで、くじ券を落としたか、捨てたか。何らかの依存症の家族がいる場合はマトモな家庭じゃない事は確かだ。
俺は、女性の父親であろう男性に懇切丁寧に状況を説明する。話していくうちに、理解してくれたようだ。
「君に娘の買った宝くじをあげるから、ガソリン代にでもしてくれないか」
「は、はあ……」
6億円だったらやべーぜ。
ーー俺はチャンスセンターに行き、ロト6のくじ券を出す。
「当たってるか調べてください」
「ロト6、くじ券が1枚ですね」
店員はムスッとしていて、メガネを掛けたババアだ。
ピーカタン。いくらだ? いくら当たってる!?
「今回、残念ですが、ハズレとなっております」
「ソークレイジー! ジャストクレイジー!」