クリスマス1日目
嬉しいことに次のデートはクリスマスで、どこにするかすごく迷っていた。あの時の僕はどこか必死で仕方なかったのかもしれない。25歳という年齢で付き合いはじめたということは、きっとこの人と結婚するのだろうと、ということは絶対に逃してはいけないチャンスだとも考えていたかもしれない。
クリスマスもしっかり楽しんで彼女の気持ちもきちんと掴みとりたいと考えていた。
クリスマスに楽しめる場所なんていくらでもあるのは知っていたが、彼女の好みなんてペンギンくらいしか知らなかった僕はどうすれば彼女が喜んでくれるのか分からなかったので他に好きなものがないかリサーチしつつ、場所を考えることにしたのだ。
今まで真面目に働いていたこともあったし、上手く連休になってくれたので、二人とも仕事は有給をすんなり取ることが出来た。
そして、僕たちはここで過ごすことになった。
「ちょっと、結局ペンギンじゃないの。」
「僕は必死に聞き出そうとしたが、本当にペンギンが好きで仕方ないみたいなんだ。仕方ないだろう。」
今日見るところは「ペンギンスイーツパーク」
で、珍しいようにも感じるが当時人気が上昇して併設のホテルを取るのが大変だったのはよく覚えている。
中では実際のペンギンからペンギンモチーフのスイーツまで味わえるだけではなく、ペンギンに関する映画までやっているのだ。それにペンギンコースターなどペンギン好きにはたまらない1日となるだろうと
本人には内緒で車で連れてきたのだ。
「じゃあ行くわよ、渉。」
きっとここでは満足してくれてたはず。
目を覚ますと少し離れたところでペンギンパフェを食べている二人がいた。
そして、僕の手元にはなぜかペンギンクレープがあった。
あ、聞こえてきた。
《こんなにペンギンペンギンしてて渉は嫌にならないのかな。私に合わせてここにしてくれたんだよね。明日も空けといてって言われたけど、どこか泊まったりするのかな。》
「彼女、いつも不安だったのかしらね。あなたが楽しんでくれているか。」
「何言ってるんだ。僕はいつも楽し………」
そういえば、彼女もあまり表情で見せないタイプではあったが、僕ももう少し見せるべきだったのだ。
今なら伝えたい。僕はいつも楽しくて仕方がなかったのだと。
いや、違う。必死すぎてそんなこと忘れて怖い顔にすらなっていたのかもしれないな。
そして、ホテルではなぜか隣の部屋が取れていた。魔法は怖い。
隣から聞こえてくる彼女の声が僕に響き渡る。
《どうしよう。渉も下手くそだったら。私、絶対に冷めてしまう。》
彼女は言えなかっただけで、実は原因それでしたってオチなのか?
そうだとしたら、朝まで聞けばわかる話だ。
「聞きたい?渉。」
「もちろん、聞きたい。」
「それが原因だったとしても?」
「それが原因だったとしたら、今日の日付から2年も付き合ってるのがおかしいだろ?」
「渉、積み重ねかもしれないんだよ。」
「僕は聞くよ。」
朝まで興奮している彼女の声を聞いたことで、僕まで興奮をしてしまって安心をすることが出来た。
きっと原因はこれじゃない。だって、いつもやってる時は楽しそうにしてくれていたのだから。
そうして迎えた朝、僕は生きた心地がしなかった。
ペンギンスイーツパーク作ってくれないですかね。




