指に光るは君の想い
僕らが思い出ツアーを始めてもう半年も経つ。
僕は必死に考えた。
なぜ、別れることになってしまったのか
そして、明かされたほんとうの理由。
でも、手遅れになってしまったことに今気が付いてしまった。
渡すはずだった指輪をまた僕は渡さずにそっと見えないところに置いた。
「結婚したんだね」
「うん、おかげさまで。でも、渉話って何?」
僕は話しても仕方ないと思いながらも、本気で好きだったこと。プロポーズをする勇気がなくなったことを話した。
そして、やはり今でも好きだということ、までは話せなかった。
君の指には指輪があるから。
その指輪は湊からのものらしい。
付き合う前なのにも関わらず指輪を買って、いきなり「結婚してほしい」と言われたらしい。
当時の彼女にとっては、ただダラダラ付き合ってきた俺よりも誠意をというか、君がほしいという強さを表してくれたことに感動をしたのだろうと思う。
完敗だ。
僕は君のピンチに助けてやれないし、君が結婚しようと考えてくれたことにも気づけない。
どうしようもない男なんだ。
それに比べて湊は君のピンチにちゃんと助けて、きちんとプロポーズも出来て、すごい男だな。
僕に勝ち目なんてないんだよ。
でも、心のどこかで君と僕が過ごした日々を大切に思い出にしてくれたら幸せだなって思うんだよ。
それぐらい君との時間はかけがえのないものだった。
君を祝わなければならないな。
「留美、ごめんな。何も気付いてやれなくて。それなのにちゃんと俺の話を聞いてくれてありがとう。幸せになってほしい」
そうして、彼女は部屋を出て行った。
「ロザンヌ、いるか?」
「いるわよ」
「ありがとう。君はきっとステキなお嫁さんになれるよ。僕は知ることができて、良かったよ。改めてやっぱり僕は留美が好きなんだ。」
「渉、よく頑張ったわ。でも、もう私も魔法が解けそうだわ。」
「どういうことなんだ?」
「もう役目は終わったのよ、分かってたことよ。私は君と彼女を繋ぐことは出来なかった。それが事実。でもね、楽しかったわ、さようなら」
彼女の体は少しずつ薄くなっていた。
最終的に僕と留美は結ばれなかった。
それがロザンヌをも消してしまうことになるなんて思いもしなかった。
「ミミー・ロザリーヌ」
そう呼ぶと彼女は驚いた顔をしていた。
「そう呼ぶのは初めてだったな。君は人間だったのだろう。人の気持ちよく分かるもんな。そばにいてくれてありがとう。君のおかげでたくさんの気持ちを知ることができた。留美とも最後にちゃんと話すことができた。プロポーズは出来なかったけれど、僕はこのツアーをしたことを後悔はしていない。君がいてくれなかったら僕はもっと悔しいまただっただろう。これからも色んな人を幸せにしてやってくれ」
「渉、さようなら」
彼女も消えていってしまった。
僕はすごく色んなことを学んだ気がするよ。ありがとう、ロザンヌ。
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昨日までのことは夢のようにも感じられた。
ここから本当の現実が始まる。
さぁ、会社に行きますか。
静かに扉を閉めて、僕は歩き出した。
新しい空気を吸って。
「渉」
新しい飲み物を買って。
「渉」
新しいスーツを着て。
「渉」
新しい道を歩んでいく。
「渉」
「ってうるさいよ、ロザンヌ」
おやおや、ロザンヌがまだどこかにいたようですね。それはまた別のお話。
ここまで楽しんで、ドキドキ、ハラハラしていただけましたでしょうか。
作者自身、心が入り込みすぎて泣きながら小説を書いていたのですがこんなカップルもいるんだなと温かく見守りながら読み終えていただけたらと思います。
これはバッドエンドではなく、ヒューチャーエンドとさせて頂きたいなと思っています。
次回作は長編になる予定なので、しばしお待ちください。
本当にありがとうございました




