2回目の記念日
僕はあの星空を見た展望台へ行ってみることにした。
二周年を祝ったあの場所で僕は勇気を出してプロポーズしようと思ったんだ。
でも、あの日0時に祝おうとしたあの日僕は仕事でバタついて予定時刻に遅刻した。彼女は怒ったりはしなかったけれど、僕としてはプロポーズをする日に遅刻なんて、という思いから買った指輪は渡せず指輪と一緒に渡すはずだった花束だけを車に積んで彼女と星空を見に行った。
「渡せば良かったじゃない」
「僕的に嫌だったんだ」
ロザンヌは呆れた顔をしてそれ以上僕を問い詰めることはなかった。
「こんなことだから振られるのよ」
とロザンヌは呟いたが僕の耳には届かない。
「渉、覚悟は出来てるの?」
ロザンヌは全てを知った上で尋ねているようにも思えた。
「当たり前だ。いつも覚悟を持って聞いてる」
またいつものように目の前に昔の僕たちが現れた。
「良かった、今年も星空が綺麗に見られて」
なんだか留美はやけに嬉しそうにしているようにも今の僕が見ると思えてくる。
「これ、二周年の記念にと思って」
僕は積んであった色んな色が入った花束を渡した。
「わぁありがとう。素敵ね」
その時僕は留美の顔をちゃんと見ていなかった。
今、僕が見ればすぐにわかる。
明らかに喜んでいない。
《あれ、プロポーズされる予定だったんだけどまぁいいか、勇気のいることだものね。うん、そうよ。でも、菜々子がジュエリー店で渉を見たのはなんだったんだろう。あれ、私にじゃないとか、それか今日の最後に言うとかそういうやつよね、きっと》
あぁ彼女はずっと僕のプロポーズを待っていたのか。
その話をいつ聞いたのか僕には分からなかったけれど、この記念日の少し前から留美の様子が変だったのもこの日から別れるまで何か言いたそうにしていたのもプロポーズの言葉を待っていたからなのか。
最悪浮気されたと勘違いされてもおかしくない。
そう思われて彼女は別れたのか、いや、それだと理由には足りないんじゃないか?
実際僕は浮気などしていない。
「どうする?渉」
「ごめん、ロザンヌはきっと気付いてたんよね」
「女の気持ちは女にしか分からないってもんよ。彼女がなんで別れたのかきっと心の声にも出てこないであろう奥底に隠れてる真相聞きたい?」
「もちろんだ」
「あなた付き合ってる時や別れてからも何回結婚式に行った?」
「えっと、5.6回かな」
こいつ、何もわかってないなって顔をしてロザンヌは語り始めた。
「そんだけ行ってるってことは彼女もそれだけ行ってる可能性もある。菜々子さんにジュエリー店で見つけたあなたを知らされたらプロポーズされると思っても不思議じゃない。優しいことに彼女は別れる日まで4ヶ月も待ったの。けど、渉は言わなかった。女ってもんはね28が近づいて来たり、結婚式に行ったりすれば焦りも出て来るし期待もある。後はどう思って別れたかは留美さんの声聞かないと分からないわね」
「僕はやっぱり留美の気持ちなんてこれっぽっちも分かってなかったんだ。僕は結婚30くらいでいいや、なんて思ってた分どこか余裕があったのかもしれない。ロザンヌ、今すぐ僕の部屋に戻りたい」
僕はついにこの思い出ツアーを終える。
車の中で留美とのことを思い出していた。
勇気を出して告白してくれた君は、ずっと僕の言葉を待っていたんだね。
そんなに強く僕と結婚したいと思ってくれてるとすら僕は気付けていなかった。
もっともっと色んな言葉を口に出していればこんなことにはならなかったのかもしれない。
僕は最後に僕の部屋できちんと言葉を聞いて、今の君の声を聞きたい。
そして、部屋の引き出しにしまった指輪を君の指に
クライマックスまであと少し!!




