スパスパ
バレンタイン付近でどこか行きたいね、という話になったものの僕はどこへ行けばいいかそろそろ分からなくなってきた、ということでネットでも調べみたのだが、今まで行ってないところがいいのではないかと調べてみたが、なかなか見つからず同僚に聞いてみたところ
「俺らの年代の女子は美容にうるさいからスパとかいんじゃね。」
という僕だけでは思いつかない意見を頂けたので、いざ出陣。
ということで東京でスパを探して、個室なんかもあって冬だしゆっくり出来るところを探して良さげなところを見つけたので提案してみると反応が良かったので、今度からは美容で攻めてみるのもいいんじゃないかと考えたんだったかな。
俺が選んだのは、「スパークリングスパ・トウキョウ」車で俺の家から1時間ほどの少し都会から離れたところにある。彼女の家まで車で迎えに行こうと思ったのだが、僕の家の近くに用事があるとのことだったので僕は疑いもせず、全く疑いもせずに僕の家に集合した。
そして、通称スパスパに着いた僕たちはまずお互いゆっくりと温泉を楽しんだ後、個室でのんびりして水着に着替えてここの名物二人で入れるスパークリングスパに入ったのだ。
僕たちはこのスパから合流した。
「ねぇ渉、なんでこのスパ知ってたの?」
「いや、普通にネットで良さげなの調べた。」
「センスいいじゃん。」
「だろ。」
《色々美容のこととか調べてくれたのかな。スパークリングスパなんて普通は思いつかないもんね。》
「冬は乾燥するからな、このスパークリングのやつってうるおいを与えて、肌を引き締めなんちゃらなんだろ。」
「渉、女子力高い。どうしちゃったの。」
と二人は微笑ましく笑っている。
なんて和やかなカップルなんだ。
《本当に色々調べてくれたんだな》
スパークリングスパが終わった後、ゆっくり食事をして、マッサージを受けることを見越した僕は予約を取っていた。
「深川様ですね。1時間コースでよろしかったですか?」
「はい。」
「ねぇ、ちょっと渉。1時間って高くないの?」
「まぁ気にするでない。来月、ホワイトデーちゃんとやれるか分からないからさ。」
《なんか、今朝湊くんから逆チョコもらったのが申し訳ないな。》
そう、僕は疑いもしなかったのだ。休みの日にわざわざ僕の家の近くに用事なんてどう考えたっておかしいのに。
たとえ、気になったとしても聞けるわけもないがな。でも、気にもしなかったのだ。相変わらず、呑気な僕である。
《でも、拒否するのはなんか申し訳ないし、結局その場でチョコタルト食べちゃったんだよな。》
随分と仲良くしてるじゃないか、ってことは湊の家に行ったのか。
《でも、食べただけだし。大丈夫だよね。特に予定聞かれたわけでもないし、わざわざ報告するのも学生じゃあるまいし。》
学生の頃は、恋人以外の人と会ったら報告したり束縛したりあったけど社会人になってわざわざサシ飲みの報告したりするわけもなくちょっとお菓子食べたくらいでいいもしない。浮気しても隠すっていう大事な約束だってあるんだ。知りたくないことは知らない方がいい。
そう思ってた。
けどきっとそれが間違っていたんだと思う。
今ならわかる。
この年齢になって、大人ぶってたんだと思う。いい歳して、恋人の行動を制限するなんて恥ずかしい、子どもだ。
僕は社会人になってから、色んな人と関わるようになって、色んな人の話を聞くことになってそう思うようになっていたのかもしれないな。
でも、違うんだ。
きっと違う、本当は一言言おうって付き合う前にそう決めるべきだったんだ。
そしたら、もっと疑ったかもしれないし、近づくのを阻止したのかもしれない。やはり僕は呑気すぎた。
「渉、やっと反省し始めてるの?」
「ロザンヌ、僕は最初から反省してるが少しずつ気付いたような気もするよ。」
「26.27なんて社会人になって丁度慣れてきて楽しい時期だものね。ある意味多感かもしれないわね。」
これからどれほど湊の存在が大きかったのか知ることになる。
僕は全く気付いていなかったんだがな。




