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プロローグ

僕と彼女はたしかに愛し合っていた。

彼女はとても美人であるが、人のことをバカにしたり悪口を言ったりしないような人だった。本当に優しくて、よく話を聞いてくれる僕にはもったないないくらいの素敵な彼女だった。


別れたのは2020年3月7日

僕たちは一緒にオリンピックを見る予定ですらいた。いや、僕だけだったのかもしれない。


なぜ別れたのかは僕には分からない。

理由としては、忙しくて構っていられなくなるから、と言われたがきっと嘘なのだろう。


理由を少しでもわかりたくて3ヶ月経った今、「思い出ツアー」とやらを実行することにした。


そして、最初に来たのは僕が告白されたこの公園。僕たちが付き合っていたのは2年半にもなるので2017年11月27日の僕の誕生日に彼女からまさか告白されるなんて思ってもみなかったあの日。幸せの日々がスタートした。

思えばなぜ僕だったのか、そんな話すらしていなかったのだ。


突然呼び出されて茶色のベンチに座り話していたら、チョコを渡されて告白された。あの時のブラウニーの味は一生忘れないのだろう。

彼女は会社の同僚でよく飲みに行く仲ではあった。

彼女の可愛い笑顔を思い浮かべながらベンチへ座る。


僕はどこで何を間違えたのだろうか。

目を閉じて彼女の別れる時の顔を思い出すと、やはり胸が締め付けられる。僕には彼女を幸せにすることは出来なかったのか。


「ちょっと。」


好きだったのは僕だけだったのか。


「ちょっと。」


君は3年間楽しかったのかな。


「聞こえてるの?深川渉!」


何か今、呼ばれたような気がするが誰もいない。

ついに僕は頭までおかしくなってしまったのか。

そうすると手のひらサイズの妖精のようなものが僕の視界に現れた。


「無視するなんて失礼よ。」


可愛らしい妖精だが、どう考えても怪しい。そんなものはこの世に存在しない。

疲れが出たかな。

まぁ次へ行こう。


さっと立ち上がろうとすると妖精がついてきた。


「ねぇ。次はどこへ行くの?」


まだ声が聞こえている。

今日はもう帰った方がいいだろうか。


「いい加減にしなさいよ。」


気のせいではなかったのか、怒った妖精が僕の目の前にいる。


「君は一体なんなんだ。」


「私はロザンヌ。恋人との別れが辛い人を助ける妖精よ。

君、別れた理由が知りたいんでしょ?」


「そうだけど、君は何をしてくれると言うのかい?」


「ごちゃごちゃ言っても仕方ないわね。

えーーーーいっ」


視界が回り始めて意識が遠のいた。


そして、気づくと僕は公園の森の中にいた。


「いてててて。一体なんなんだよ。」

「しっ」


「え?」


ふと見るとそこには僕と彼女がいて、彼女の手には僕がもらったブラウニーがあった。


「ちょっと黙って見てなさい。」


ロザンヌはそう言うとスティックで彼女を指した。


その瞬間彼女の声が僕の心に響いてきた。


《あぁ緊張する。渉、実は彼女いましたとかだったらどうしよ。うん。でも、飲みに行ったりしてるし、大丈夫だよね。》


「好きです。渉、付き合ってほしい。」


あの日言われた言葉だ。


そして、心に聞こえたのは彼女の心の声だと思われる。


驚いた僕はすぐにロザンヌを見た。


「思い出ツアーするなら私と一緒に行った方がいいでしょ?」


こんな手を使うのは果たしていいのか、分からないが頼ってみることにした。


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