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03 光は、存在するから

懺悔し、赦されるのならばそうしよう。


だが、この終末の世界で自分達が赦されることなどないだろう。


そもそもこんなところで誰に赦してもらう?



ただ、終わらせてしまったこの世界で自分達の間違い()を見つめ続けるしかないのだから。







◼️◼️







雪のように白く長い髪が風に乗り、中を舞う。



その髪の持ち主は紫色の瞳の美しい女だった。見た目からして年は19か20といったところだろうか。


「………………あぁ、ようやく来たの。これは……」


女がゆっくりと振り向けば、後ろには暗い灰色のマントに身を包んだ者がいた。女より少し背が高い。顔は、フードに隠れてわからない。


「……セラ。やっと見つけた」


男の声、だった。


「レノね?久しぶり。会うのはあれ以来かしら」


セラと呼ばれた女は微笑しながらレノと呼んだ男へと両手を伸ばし、フードの中へとその手を差し入れる。


「痩せた?ちゃんと食べてる?」


「大丈夫。セラこそ痩せたんじゃない?」


「私は食べてるから痩せてない。もちろん、太ってもない。あなたそのマントで体隠れててもわかるほど痩せてるって大変なことよ?」


「そうだね……」


そのままの状態で、しばらく無言の時間が過ぎる。穏やかだが寒い風の静かな音のみがその場を満たす。


「────髪。切ったのね」


静寂を破ったのはセラだった。フードの中に入れたままの手を動かし、感触を確かめている。


「あの長さはさすがに目立つから」


わずかに笑いを含めた声でそう言うと、レノは深く被っていたフードを下ろす。


銀髪に青い瞳を持つ青年。優しげなその顔は、だいぶやつれていた。


やつれたその顔を見て、セラは一瞬悲痛そうな表情をするが、すぐにそれを引っ込める。そしてレノから手を離し、一歩離れる。


「似合ってたのに。もったいない」


「髪の長い銀髪の男って言ったらすぐにバレるからね。手配書は見た?まだフィアも捕まってない」


「見たわ。私の似顔絵、全く似てないの。私はあんなに不細工じゃない。あそこまで目が離れてる人なんている?レノの似顔絵も、髪の長い男ってことしか似てなかった。あんなに筋肉質じゃないもの。………………そういえば、全員似てなかったわね。なぜかリルアのだけ似てないのに綺麗だったような……」


今度は微妙な空気が場を満たす。


「……まぁ、殺されては無いってことだね。何回か更新されてるし……」


「そういうことにしておきましょうか。これからどうするの?フィアを探しに行く?それとも捕まった2人?」


セラの言葉に対し、レノはそれを考えていなかったのだろう。考えるようなそぶりを見せる。


「2人は、大丈夫だと思う」


ゆっくりと、考えたことをそのままその場で言葉にしていく。


「フィアは強い。だから大丈夫」


「じゃあどうするの?」


灰色の世界の中、それだけは前と変わらず真っ青な空を見上げ、そこにかつての希望を見つけ出そうとするかのように目を細め、笑う。


これからに対して挑戦するのだ。


未来に。






消えた未来を取り戻すために。










「勇者を助けに行こうか。囚われの勇者を。魔王の手から」

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