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心の行方  作者: りく
1/1

亜美

この日、亜美は緑ヶ丘公園にいた。大きな赤い傘。赤い傘には小さな花びら模様が入った可愛らしい感じの傘だ。 そんな傘に対し亜美の服は少しシワの入った白いTシャツにジーパンとラフな服装だ。赤い可愛らしい傘とは少し似合わない感じもするが亜美は服装に拘りは全くないのだろう。何もオカシイとは思っていない様子だ。そんな亜美だが待ち合わせ場所は駅の側にある、この公園といつも決まっている。公園と言っても駅の側だからか…花壇に花が咲いていてベンチがあるだけの小さな公園だ。待ち合わせには丁度良い公園とも言えるだろう。でも今日は雨が酷い。梅雨明けしたとニュースで言っていたが、それでも雨の日が続く日々。このまま傘を持って立っていても足元が濡れてしまうのは間違いないだろう。亜美は腕時計に目を向けた。時計は13時40分をさしていた。

「ふぅ…」

14時の待ち合わせ時間より早めに着いた亜美は大きな溜息をついた。そして公園の前を見つめた。亜美はバックから携帯を取り出しメールを打つ。

「待ち合わせ場所は、いつもの場所の前にある喫茶店」

送信すると直ぐに

「了解」

と、返事を確認し、公園の前の喫茶店に入った。

考えてみると、待ち合わせ場所の前にあるのに1度も入った事がなかった。全く気にした事が無く喫茶店だとすら今日初めて気付いたぐらいだ。Openの札になっているから開いているのは間違いないだろう。亜美は、ゆっくりドアを開けた…テレビなんかで良く見る古さを感じる店内を見て亜美は

(もっと早く入って見れば良かったかも?)と感じるぐらい落ち着いた店だった。お客は平日だからか、この時間だからか分からないがサラリーマンの様なスーツを着た男性が1人、パソコンを使いながらアイスコーヒーを飲んでいた。

パソコンに夢中なのか1度も顔をこちらに向ける事はなかったが逆に亜美には落ち着かせる事が出来る。狭い店内を目で見つめ…亜美は窓側の席に座った。

「いらっしゃいませ。ご注文が決まりましたら、お呼び下さいね」

30代ぐらいの少しふっくらした体型で優しそうな感じの女性がメニュー表と、お水を持って来た。

メニュー表を見る事なく、亜美は

「珈琲を」

と注文した。女性はニコっと笑い頷いた。

窓越しに外を見ると雨は、まだ降っている。直ぐにテーブルに珈琲が運ばれて来た。赤い花の模様が沢山散らばった可愛らしいカップだった。

「あっ」

亜美は傘立てを見た。カップは亜美が持っている赤い傘に似ている感じが少ししたからだ。傘とカップをゆっくり見て亜美は少し笑みを浮かべ、ゆっくりカップを口に近づけた。

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