訓練風景 居室清掃
田中1尉は施設内を巡回しつつ、訓練の様子などを確認してますが、、練度はいかに?
連絡幹部としての田中1尉は、オープン前の訓練に特に注目していた。
対人のサービスは評価が難しい。それを提供する部隊の資質について、先に出したレポートには、「親切」「しぶとく」「明るく」がスタッフには必要!と書いていた。
いずれも言葉にしたら、当たり前なんだが、日常業務の中では難しくなってくるものだからだ。
例えば、朝、夜勤明けで、もう帰れる時に、面倒な要求があったとしても、まずは明るく、親切な対応が必要になる。
これが出来てないと、ご入居者からは嫌われてしまったり、次からサービスがうまくいかないケースに繋がる。
だから、先の2つに、しぶとくがついてくる。
内心、面倒を感じても思うところを出さずに、なんのこれしき、さらっとこなす。
誰しも能力は、状況によって変化する。常にベストな能力を維持できるなんて機械でも無理。機械だって経年変化で能力落ちるし、年数たてば新型が出てきて相対的な能力低下から、旧式扱いされるんだから。
それ以上に能力のばらつきのある人間は、ばらつきを理解しながらできることは、してあげる位が関の山。
やはり「余裕」のある環境が特に必要なんだろう。
そんな風に考えながら、館内を巡回してると、新隊員から配属された隊員が四苦八苦してるのにぶつかった。
「山田2士どうした?」と聞くと、「時間内にサービスが終わらなくって大変何です」
自衛隊そのものにまだ慣れていない小柄なワックである。
想定している時間は45分で、居室、洗面台、トイレを、掃除機かけてシーツ交換して、床を拭いてである。慣れてきたら、余裕あるんだが?と訝しげに思い現場を見ると、、、。
絶句した。ベッドはあたかも削り出して直角をだしたようにきれいに角が取れている。
当然のようにシーツなどシワもない。
備品類は平行、直角にきれいに揃い、床はまるで顔が写り込みそうなくらい磨いてある。
いくらオープン前とは言えここまできれいなのはあり得ないレベルであった。
「これを45分でやったのか?」と聞くと、
「納得いかなかったから三回やり直しましたが、やはり駄目ですか?」と聞いてきた。
返す言葉もなく「ここまで良くやったな。以前何をしていた?」
「旅客機の整備工場で客室の整備のバイトをやってました」とのこと。
聞いて納得した田中1尉は満面の笑顔で「非常に良くやった。但し我々がやらなければならない業務はまだまだ多い。訓練フロアーにあるモデルルーム相当のレベルで良いから、あれくらいを目処に楽に早く、確実にやればよろしい」とそこだけは威厳を込めた形で退散した。
新隊員でこのレベル、ベテランならどんだけだよと、人より数倍、ベッドをとるのが苦手な田中1尉は退散するのであった。
高い練度に驚く1尉。どっこい驚くのはまだ早い。




