11/11
闘う少年 → 闘う男、闘う少女 → 闘う女
井坂と白峰は自転車を並べてゆるいスピードで住宅街の中を転がす。
井坂が白峰に不意に話しかける。
「嬉しいんだけど、白峰さんがエレカシ好きって何か意外」
「え、どうして?」
「いや。エレファントカシマシを聴くっていうことは、何か現状に満たされないものを感じてる、ってことのような気がして」
「ああ・・・」
「自分はそんな気がするんだよね。ファイティングマンを聴いた時に感じた、ああ、代わりに怒鳴ってくれてる、っていう感覚が。」
「うん。なんとなく分かる」
「白峰さんは、どうなの。勝手な先入観だけど、白峰さんは目標をしっかり持ってて、充実した日々を送ってるのかな、って思ったんだけど」
白峰はほんのしばらく、考えた。そして、答えた。
「不意に泣きたくなることって、あるよね。でも、それでも心を満月のように満たしていくこともできると思う」
「ごめん」
「え?」
「白峰さんを優等生タイプ、って決めつけてた」
「わたし、結構、反骨タイプだよ」
「また、うちの学校に遊びに来てよ」
「うん」
ふたりは、まだ、戦う少年と少女でしかないけれども。もう少し。ほんのもう少しで戦う男と女になっていくんだろう、っていう気がする。
おしまい




