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魔王候補と勇者たち  作者: まる
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勇者(にもつ)と女性騎士(うんそうや)・8

昨日あげようとしたら、パソコンの調子が悪くてデータが吹っ飛びました。

パソコンはまだへそを曲げているので、これからも不備が続くかもしれません……(泣)

マルダードの森までは、順調に進みました。まあ、当然と言えば当然ですよね。盗賊だって魔物だって、騎士の集団を見たら避けるだろうし。それ以前に、こんな甲冑を着こんだ集団を見たら誰でも避けると思うけど……。

 ちなみに、わたし達はギルドニア国の客人扱いになっていたりする。野営も食事も騎士団の人達がしてくれる予定になっている、とアメリアさんから教えてもらった。とはいえただお世話になるだけなのも心苦しいので、わたしはアメリアさんにお願いして食事の手伝いをさせてもらうことにした。ちなみに雷翔も同じ考えのようで、向こうで騎士さん達と一緒に野営の準備をしている。ジェイクさんは……言わずもがな、ですよね。少し離れた木の根元に腰をおろして目を閉じてます。あまりに堂々と休んでいるからか、もはや誰も気にしていない。

 ――と思ったら、わたしの横でお肉を焼いているアメリアさんがじっとジェイクさんの方を見ていました。

 何か用事でもあるのかな? でも、見ているだけだし……。

 ジェイクさんの方を見ているアメリアさんを見ていると、ふと何か異様な臭いが鼻についた。この臭いは……。


「あ、アメリアさん! 焦げてます!!」

「え? あっ!」


 わたしの声に反応して、アメリアさんは慌ててお肉を火から非難させた。フライパンの上でひっくり返したお肉がだいぶ黒くなっているのを見て、アメリアさんの眉が下がってしまう。


「あの、ジェイクさんにご用があるのなら、行って来ていいですよ。お肉を焼くくらいならわたしも出来ますから」

「え?」


 アメリアさんに提案すると、彼女はきょとんとした顔を上げた。

 あれ?


「あの、ジェイクさんに用があるんじゃ?」

「ジェイク様に? 私が?」


 本気で訳がわからないとアメリアさんの顔に書いてある。

 あれ? 用があるからジェイクさんの方を見ていたんじゃないの? でも、アメリアさんの反応からすると、彼女はジェイクさんの方を見ていたけれど全く意識はしていなかったっていう感じだ。えーと、それじゃ、ジェイクさんじゃない何かを見ていた、とか?


 もう一度ジェイクさんの方を見る。

 と、その時、ジェイクさんの近くにもう一人、灰色のローブを着た人がちょこんと座っているのに気が付く。

 あれは、エリオットさん?

 それに気が付いて、やっとアメリアさんが何を見ていたのか合点がいった。


「そうか。エリオットさんを見ていたんですね」

「う、や、その」


 図星だったみたいだ。明らかに視線を彷徨わせて、挙動不審になる。

 頬を少し染めておどおどするアメリアさんは、わたしより年上のはずだけどなんだかすごくかわいく見える。


「その、ほら、エリオット様は普段は長時間勇者として人前に出ることはないですし。どうも視線にいれておかないと心配で。いや、勿論エリオット様はお強いですし、私なんかが心配する必要なんてないのは分かっているのですけれど」


 しどろもどろ弁解をしているけれど、エリオットさんは心配するに値する人物としか思えなかったりするんですよね……。だって、あんなに顔色が悪くて、咳き込んでいて、最終的に吐血までしちゃう人だし。あの時のアメリアさんの無駄のない動きから察するに、あの状況はもう何度か体験済みな気がする。

 とはいえ、そんなことアメリアさんに伝える必要はないしなぁ。……それにしても。


「アメリアさんはエリオットさんが好きなんですね」

「は?」


 素直な感想を口にすると、アメリアさんはぽかんと口を開けて、次いで一気に顔が真っ赤になりました。それはもう見事に真っ赤です。


「ジュ、ジュジュジュッジュジュ様!? なななに、何をいってらっしゃるんですか!」

「え、と……見て思った事を言っただけなんですけど」

「そそんな、私がエリオット様をす、好き、とか! エリオット様はこの国の勇者です! 国の至宝です! こ、好意を抱くなんて、そんな、おこがましい!!」

「でもほら、すごく尊敬しているみたいですし」

「そっ! ……尊敬?」


 興奮していたアメリアさんだけれど、何故か急にその勢いが止まりました。

 詰め寄られていたから、少し安堵する。


「はい。勇者としての責務を全うする人だと信頼している気持ちがすごく伝わります」


 今までのアメリアさんの様子から、彼女がエリオットさんをどれだけ勇者として認めているかよく分かる。きっと、あの体の弱さなんて気にならないほど、彼に勇者としての素質があると信じているんだ。


「素晴らしい勇者なんでしょうね。エリオットさん」


 突然水を浴びたかのようなきょとんとした顔をしていたアメリアさんだったけれど、わたしがそう言うと、にっこりと笑顔を浮かべた。


「ええ、勿論です」

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