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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その真なる王の出現を僕は知りたくなかった
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その全裸たちの闘いを彼らは知りたくなかった

「烈空殺」


 チグサの一撃で皇帝が跳ね上げられる。

 さらにそこで待っていたリエラのストライクバスターが襲いかかる。

 弾き飛ばされた皇帝が地面に落下した瞬間、チグサが飛び上がる。


追燕ついつばめ


「残像ですぞっ!」


 地面に叩きつけられた皇帝に追撃の対地攻撃。しかし、当る瞬間皇帝が消え去った。


「スタンラッシュ!」


 リエラが背後に向けて切りつける。現れた皇帝がステッキでぎりぎり受け止めた。

 しかし、その背後からルクルが迫る。


「るーっ!」


「しまぶっ」


 振り返った皇帝の顔面にカレーが飛び付いた。

 零距離からの一撃を放ったルクルは腕を振り抜きカレーだけを皇帝の顔面に残して逃げる。

 そんな残った皿がずり下ちた瞬間を狙い、ケトルのクナイが皇帝の脳天突き刺さる。

 さらにリエラの連撃により袋叩きに合う皇帝がまたも倒れる。


 これで五回目の敗北だ。

 しかし皇帝はまた立ち上がる。

 幼女たちが見守るここで、彼はあまりにも理不尽な存在だった。


 次第、リエラの動きに追い付きだした皇帝は、ケトルのクナイを避け、ルクルのディッシュブーメランを避け、チグサの攻撃を受け流し始める。

 そろそろ、ヤバいかもしれん。


「全員どきなさいッ!」


 流石に任せてられないと気付いたらしいアカネもついに参戦した。


「ラ・グライラ連打ッ!」


 今まで溜めこんでいた魔力を解放し、無数の雷撃が皇帝へと襲いかかった。

 すぽぽぽぽーんっと衣装が空を舞う。

 飛び退くリエラたちに一瞬遅れ、皇帝が雷撃の海に沈む。


「ごおおぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁっ!!?」


「っし、これでどうよ!」


 全裸になったアカネさんがニヤリとほくそ笑む。

 カシャカシャカシャ。僕はその姿を当然のように激写。ついでに動画にも残しておこう。

 と、近づいた瞬間頭にゴツンと衝撃。

 恥ずかしそうに局部と胸を隠したアカネさんの頭突きが炸裂しました。


「それ以上近づいてきたら潰すわよっ」


 すんませんっした!

 両手で一番危ない場所を隠しながら、アカネさんは全力で魔法を行使し始める。

 子供たちの為だ。羞恥心を投げ飛ばし、アカネさんは一気に片を付けるべく魔法を連発していく。

 だけど、その度に立ち上がる皇帝は三度目の死亡直後、復活と同時に残像ですぞ? を使って脱出。

 ケトルの背後に現れる。


「まずは一人ッ」


「させませんっ!」


 ケトルの背後から手刀を叩き込もうとした皇帝にチグサが喉突きを繰り出す。

 舌打ちしながら飛び退く皇帝。

 チグサはそのままケトルの背後に陣取り皇帝に剣を向けた。


「流石にこのメンバーを相手にはキツかった」


 皇帝は一人ゴチ、しかし、ニタリと笑みを浮かべる。


「残念でしたな。今、そこの女の実力を越えました」


 まだまだ上がりますぞ! とニヤつきながら走りだす皇帝。

 リエラと打ち合い始めるが、今度はリエラが苦戦を始める。

 確かにリエラの実力を越えたらしい。


 リエラはそれに気付いてアカネに視線を向ける。

 アカネもコクリと頷いた。

 どうやら一気に決めるぞという合図らしい。


「リエラ、バーサークモードに入るわ!」


「やめてくださいチグサさん。それ私襲って来る負けフラグですから」


 そんな事をしなくても問題ない。とリエラは近づいていた皇帝を蹴り飛ばして距離を取る。

 剣を正眼に構える。


「私がやらなきゃ私がやらなきゃ私がやらなきゃ私がやらなきゃ私がやらなきゃ私がやらなきゃ……」


 リエラが自分を追い詰め始めた。

 空気が変わった。

 気付いた皇帝は喉を鳴らしてステッキを構える。

 横目に見れば、丁度ペドコーンが倒され、ロリコーン伯爵がルグスと楽しげに話しだしている所だった。


「くっ。既に我しかいないのか……」


「そのあなたも私が倒します」


 ハイライトが消えたリエラがゆらりと揺れる。

 ゾクリと危機感に気付いた皇帝がバックステップ。その身体が袈裟掛けに切り裂かれた。

 着地した瞬間、背中からも血が吹き出る。


「は、速い?」


「涅槃寂静……行きます。弾指那由他斬」


「ぬ、ぐおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっ」


 訳も分からず切り刻まれる皇帝。

 追い付いたと思った瞬間さらなる高みに引き上げられた相手の実力に、なすすべなく倒れる。


「幼女が、見ておるのだぞッ! くそっ、このままでは終われん! 絶対王政! 集まれ群衆共っ」


 なんだ?

 今、物凄いヤバいスキルが使われた気がするぞ。

 はるか遠くから激震が走る。

 ドドドドドドドドドドドドと大地を揺らす程の動きに僕らは呆然としてしまう。

 洞窟の入り口から、無数のロリコーン紳士達が現れた。


「何、どうなって……」


「さぁ、紳士どもよ、我こそがお前達の王である! 我が意に従いこの愚か者どもを倒せ!」


「FUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOっ!!」


 その光景を見た紳士たちは自分たちがこれから何をさせられるか気付いたのだろう。血涙流して叫びを発した。

 嫌そうに走りだした紳士の群れに、一番早く動き出したのはクルルカ。


「皆さん、急いで迎撃体勢! 皇帝が倒れるまでロリコーン紳士たちの足止めをお願いします」


「ああもう、なんかやりずらいです!」


 皇帝の呼びかけで現れたロリコーン紳士たちは幼女の現状を見せつけられ、加担などしたくないと血涙を流しながら突撃して来る。

 チグサもケトルもルクルも、彼らを放置するわけにはいかないと、皇帝をリエラに任せて紳士たちの足止めに向かう。

 皇帝に対応するのはリエラとアカネだけになってしまった。

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