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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その真なる王の出現を僕は知りたくなかった
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その幼女の強さを彼は知りたくなかった

 もはや彼はサンドバッグだった。

 テッテとの距離は空き過ぎている。なのにテッテが素振りをすればロリコーン伯爵にダメージが通る。

 意味が分からず、どのような攻撃かすら理解できずにただただ殴られるしか出来なかった。


 必死にその場でステッキを振るって近くにいるかもしれない敵を攻撃しようとするのだが、そこには誰も居ない。

 そりゃそうでしょう、だってテッテがやってるのは遠当てスキルによる近接格闘なのだから。

 離れた相手に格闘戦を仕掛けているのだ。


 バグ技を喰らった伯爵はただただ翻弄されるだけ。

 しかも、ステッキが突然消えた。

 目を見開き驚く伯爵。

 見ればステッキはテッテの手の中に。

 そのステッキも直ぐに強制オブジェクト破壊により破壊されてしまう。


「ぬははです。なにこの最強感! 私、輝いてます!?」


「凄いですテッテちゃん! あ、凄い魔術師だ」


 魔術師のカードを引いたクルルカが楽しげに呟く。

 魔術師というよりは詐術師だよね。トリックだよトリック。種はないけどね。バグだから。


「いくです必殺! 百烈拳!」


「おぼろぺぷっ!?」


 おお、伯爵は既に満身創痍だ。

 百烈拳を喰らって倒れた伯爵は、しかしすぐに立ち上がる。


「幼女が、見ているのだぞぉっ!!」


 見てますね、というかむしろ闘ってます。

 ステッキを背中から取り出した伯爵はなんとか反撃しようと考えに考え、ステッキを投げた。

 想定外ながらも唯一と言っていいテッテへの有効的攻撃に、テッテはふふっと笑って軽技で避ける。

 しかも今、サイドステップ空中で踏まなかった?

 ああ、そう言えばテッテのスキルに空中機動と軽技があったな。ついでに成長停止を再確認してしまった。永遠の幼女か……ロリコーン共が崇拝しそうなスキルだよね。


「くぅっ、強い、素晴らしい幼女です。ですが、私は夢の為に、負けるわけにはっ」


「囀るな下郎が!」


 おわっ!? なんだと思ったらルグスじゃないか。そう言えばこいつもダメージは受けてなかったから無傷で生存してたな。

 初っ端に魔法外してたせいで負けたモノと思って忘れてた。


「幼女に危害を加えることが貴様の夢か!」


「ちょ、私幼女じゃないです! りっぱに大人ですっ」


「私の夢は、全ての幼女が笑って過ごせる紳士たちと幼女の理想郷です! その為ならば、血涙飲んででも実現させるのみ!」


 テッテの主張は完全無視です。

 泣きそうな顔をしてるけど、クルルカさんが元気づけてくれているので置いとこう。


「ふっ。幼女と紳士の理想郷だと? 貴様がやっているのは幼女を虐げる紳士だけの理想郷だ馬鹿め!」


「なんだと! 我等の行いを愚弄するか! 長い目で見れば幼女たちも感謝して……」


「アネッタは……幸せではなかった」


「……何?」


「少なくとも、貴様がやろうとしていることは幼女たちを幸せにはできん。私のようになるだけだ」


「何を言って……いや、まさかお前は……」


「一人の幼女と幸せに暮らすため、お前達と同じ行いをし、幼女に先立たれた愚か者だ。彼女を蘇すためにこのような体になってしまったわ!」


 え? ルグスってそんな過去持ってたの!?

 何かを通じ合わせたらしい伯爵とルグスが歩み寄って話し合いを始める。

 なんかもう闘う雰囲気じゃ無くなってるな。


 クルルカもセキトリもローアも戦闘態勢を解いて呆れた顔をしている。

 テッテだけはまだ攻撃できるように拳を握ってはいるのだけど、多分これはもう意味なさそうです。

 アルセが歩み寄ってテッテの肩をぽんっと叩く。

 気付いたテッテが振り向くと、なぜか猿の反省ポーズを披露するアルセ。

 アルセ何か悪い事したの?

 テッテはそんなアルセに抱き付き泣きだした。

 うん、二人に無視されて泣きたくなったんだね。酷い大人たちだね。


 そんなルグスと伯爵はルグスが取り出した写真に映っているアネッタさんとやらを見て二人で涙を流し、アネッターっ。とか号泣してます。

 意味が分からないので放置しとこう。

 となると、ペドコーンは倒されて子供たちと大人たちの再会シーンが始まってるし、エンリカ様はもう一人のロリコーン紳士亜種を潰しに行ったので、残るロリコーン紳士亜種は皇帝の一人だけか。


 でも、この皇帝が一番危険な存在らしい。

 既にリエラすらも圧倒する実力を手に入れた皇帝を相手に、アルセ姫護衛騎士団最大の危機は生まれていた。

 どうすんだコレ。


 ほらルグス、伯爵とあの頃は良かった談義してる暇ないよ。っつかなんか仲良いね御二人さん。

 アネッタがね。アネッタが。だからアネッタは。とか楽しげに語っているルグスと興味深そうに幼女の話を聞き共に涙する伯爵。

 二人はアネッタという幼女の話題だけで急速に親友化しているようでした。

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