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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その真なる王の出現を僕は知りたくなかった
992/1818

その一対多数の闘いを彼は知りたくなかった

 ロリコーン伯爵はその光景に戦慄を通り越してあきれた顔をひくつかせていた。

 目の前に彼の敵がいる。

 アニア、ルグス、にゃんだー探険隊、レーニャ、ローア、メイリャ、セキトリ、クルルカ、モスリーン、マクレイナ、コータ、テッテ、ハイネス、バルス、ユイア、アンサー。

 敵増加戦力の半数以上が彼の元へ集結していた。


 普通は皇帝相手に集結すべきだろう?

 彼の疑問に応える存在は何処にも居ない。

 ただ、少し遠くでクルルカの横に陣取り、応援するように踊るアルセだけはとても和やかに見えた。


 ふふ。アルセ可愛い。見ろ、ネギを両手に持って片足立ちで両手を突き出し右に左に背伸びしている変な踊りを!

 ロリコーン伯爵はこれを見てうむうむ。と謎の感動を覚えているらしかった。

 にしても、本当にメンバー多いな。

 本当に強いのはルグス位だから実力的には少数精鋭のリエラ組の方が強いくらいなんだけど、伯爵相手にこれ、勝てるかなぁ? むしろ参加人数多過ぎて負けフラグ出てる気がするぞ?


 クルルカが何かを指示するより速く、モスリーンとマクレイナが突出する。

 剣を引き抜き迫る女性二人に、伯爵はふっと笑みを零した。

 即座に気付いたのだろう。自分の相手が烏合の衆であることに。


「ああ、ちょ、私まだ指示を出してませんっ!」


「不要だ小娘。我が火力で一瞬にして灰にしてくれようぞ!」


 ばさり、マントを開いたルグス。マントの奥から飛び出す数々の魔法が伯爵向けて襲いかかる。

 それは迫るモスリーンとマクレイナを追い越し、伯爵のすぐ近くに着弾する。

 当然、ノーコンなルグスの魔法弾が一つでも当ることなどありえなかった。


 一歩も動かない伯爵の側で魔弾は空しく着弾する。

 呆れた顔の伯爵に切り込むマクレイナ。

 すっと身体を傾け避けた先にモスリーンのモーニングスター。

 さらに運良く伯爵へと迫る火炎弾。


「残像ですぞ?」


 難なく避けた伯爵。

 消える残像に向け放たれたモーニングスターは火炎弾により視界を遮られたマクレイナに直撃した。

 悲鳴をあげて吹っ飛ぶマクレイナ。咄嗟に剣でガードしていたが、完全な同士討ちである。


「何してるんですか三人ともっ!?」


「あははははは。血祭りだひゃっはーっ!」


 堪え切れないとばかりにメイリャが走りだす。

 それに釣られてコータとバルス、アンサーが動く。

 皆クルルカの指示など不要とばかりに立ち向かい、悉く打ち据えられていた。


「ちょっと、なんで指示無視して突出して倒されてるんですか!?」


「流石に、これはなぁ……」


「兄さんたち何してんだか」


「あ、こらレーニャそんなところで寝ないの」


「シェズルガッ!!」


 って、ハイネスも指示無視して極大魔法唱えてるし。

 軽々避けられてるじゃないか!

 グダグダな面子の闘いにより、既に壊滅的ダメージを受けているアルセ姫護衛騎士団。

 カインやリエラ、アカネなどのリーダー格が居ないとここまで弱いのかこいつら。


 伯爵も拍子抜けした顔で残っていたにゃんだー探険隊を蹴り飛ばし、接近したハイネスを弾き飛ばし、ユイアを杖で一突き、ふっ飛ばす。

 アニアが惑わそうとするが、既に遅かった。惑う前に近づいた伯爵によりアニアもまたふっ飛ばされる。


「全く、烏合の衆でしたな」


 本当に、烏合の衆過ぎて何も言い返せません。

 残ったのがクルルカとセキトリ、ローア、テッテの四人だけって。

 セキトリがクルルカを守り、ローアが攻撃魔法を唱えようとする。

 それらを撃破せんと動く伯爵だったが、ここで想定外の敵に遭遇した。


 テッテ・ハラショだ。

 まさかの幼女と闘いである。

 手を出す事を躊躇う伯爵と手招きして拳を握るテッテ。

 事態は膠着するかと思われた。

 しかし、覚悟を決めた伯爵が動く。


「お嬢さん、御許しを!」


 相手の意識を刈り取るつもりで一撃を放つ。

 だが、止まった。

 否、テッテに攻撃は当ったのだが、彼女はまったくダメージを受けた気配なく、どうした? 来ないの? といった顔をしているのである。


「なっ!? こ、これは……」


 そんなバカな! と伯爵はテッテに攻撃を加え始める。

 しかし、どの攻撃もテッテには効果が無い。

 なぜなら、彼女には近接戦闘禁止スキルがあるのだから。


「まさか、まさかこれは……神が幼女に危害を加えるなと、言っておられるのか!?」


 誤解が生まれました。


「どうしたです? もう終わりですか?」


「くっ!? わ、私は……」


 どうすれば、困惑する伯爵に迫る氷弾。

 しまった。と気付いた時にはローアの放ったグレ・ゴの魔法が直撃した後だった。

 大したダメージではなかったが、食らった事に驚きを隠せない。


「よ、よし、ティーちゃん、反撃開始よ!」


 クルルカも自分の召喚獣、ティディスベアを召喚する。

 ティディスベアが伯爵向けて突撃して来るのに気付き、慌てて距離を取る伯爵。

 5mを過ぎた瞬間だった。

 待ってましたとばかりにテッテが拳を振るう。


「ごはっ!?」


 突如腹部に受けた痛みに驚く伯爵。

 何が起こったか理解できないところへ追撃の右フック。

 テッテが虚空へ向かい拳を振るえば、伯爵にダメージが襲いかかる。


「な、なんだこれは……っ」


 意味不明の攻撃に彼はただただ翻弄されるしかなかった。

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