表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その真なる王の出現を僕は知りたくなかった
988/1818

AE(アナザー・エピソード)・その圧倒的絶望を彼は知りたくなかった

「うぅ……?」


 気が付けば、彼は想定以上のダメージを負っていた。

 そもそもなぜダメージを受けたのかすら理解できていない。

 何かが飛んできた。それに気付いた時には意識が消えていた。


 次に気付いた時には満面の青空があり、そろそろ夕日に変わろうかという太陽が沈みかけているところだ。

 あと30分もすれば夕焼け空に代わるだろう。

 ショタコーンは身体を起こす。

 体中が痛い。


 何が起こったのか理解できないが、被りを振りながら上半身を起こす。

 目の前を見て、呆然としてしまった。

 木々が倒れ視界を塞いでいる。洞窟に居た筈なのに外に放り出されており、どこまで飛んだのか全く分からない場所である。


 痛みを発する身体に鞭打ち立ち上がる。

 洞窟はあった。

 否、それは自分たちのいた洞窟ではない。彼の身体が掘り抜いた洞窟で、どうやらもっと向こうから自分は飛んできたらしいというのだけは理解した。


 森からショタコーン向けて熊が数体現れる。歌舞伎熊だ。

 今は相手にしている場合ではないのだが、と思ったショタコーンだが、なぜか歌舞伎熊はショタコーンに攻撃することなく、慌てたように逃げ出して行く。


 どうしたことか?

 首をひねるショタコーンだが、即座に彼らが逃げた理由がわかった。

 背筋をぞくりと何かが這う。


 ここに留まっていてはならない。そんな本能からの危機が鳴り響く。

 なんだ? 何が起こっている?

 焦るショタコーンの目の前で、自分が穿ったと思しき洞窟があった岩場が吹き飛んだ。

 粉砕され、土埃が舞う大地をゆっくりと、そいつはやって来る。


 見目麗しきエルフであった。

 憤怒に染まる顔のエルフであった。

 全身から立ち昇る殺意と地獄の魔神も裸足で逃げ出しそうな顔でゆっくりと、だが確実にショタコーンへと近づいて来る。


「なん……だ、アレは?」


 アレは本当に、エルフなのか?

 そう思えるほどに、そいつから発される威圧感は圧倒的だった。

 絶対的強者。どれ程に自己強化したところで敵わない。そう思えるほどの絶望感しかなかった。


 全身を振るわせ、ショタコーンは必死に考える。

 なぜ、奴は怒っているのか?

 幼女を拉致して来たからだろう。だがエルフの幼女は居なかったはずだ。彼らはエルフ達に阻まれ拉致できなかったので、王国を作った後に改めて迎えに行こうとしていたはずだ。

 つまり、彼女が幼女拉致で怒るのは筋違いなはずなのだ。


「す、少し待ちたまえ、なぜそれほど怒って居らっしゃる? 我等はエルフの娘は拉致しておりませんぞっ」


「エルフ? 何を言ってるの? 私の愛する娘はオークのリーバ」


 押し殺した声で、理性的な声が返ってきた。

 交渉は可能だと安心しそうになって、ショタコーンは気付く。

 オークの娘。そしてリーバ。

 それは、自分が攻撃し、引き倒し、もう反撃して来ないようにと、頭を踏み動きを封じたオークではなかったか?


 全身から冷や汗が流れ出る。

 いや、おかしいだろう。彼女はエルフだ。なぜオークの娘を大切に育てている? ありえないだろう。オークだぞ? 無理矢理のレイプにより生まれた醜いオークの子だぞ? それをロリコーンでもない気位の高いエルフ族が、愛娘として育てている?


「あなた……リーバを殴ったわね? 傷付けたわね? 足蹴に……してたわよねぇ?」


 ショタコーンは気付いてしまった。

 すでに、交渉など無意味だったのだ。

 彼がすべきだったのは全力で逃げることのみ、それ以外は既に……デッドエンドしか存在しないということに。


「あ、は、はあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 慌てて逃げ出そうとしたショタコーンの後頭部ががしりと掴まれる。

 すぅっと耳元に近づいて来るエンリカの顔に、彼の全身が硬直した。


「安心なさい、楽には……死なせないわ」


「だ、誰かっ、誰かァっ!! う、うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


「逃す訳ねぇだろ変態野郎がァッ!!」


 後頭部を持ったまま腕を振りあげたエンリカの一撃。

 地面に顔面から打ち込まれたショタコーンが一撃でぐったりとしてしまう。

 エンリカは気にせず真上に放りあげると、落ちてきたショタコーン向けて拳を握り込む。


「手加減、してあげる。死なさない為だけにねぇっ」


「た、たす……」


「助けを待つなど……ムダムダムダムダムダムダムダムダァ――――ッ」


 ショタコーンの意識は早々に消え去った。

 最もやってはいけないことをしてしまっていた男は、逃げ場すらなくただただ無防備にサンドバックと化してしまった。

 彼はきっと思うだろう、オーク娘には、もう二度と手を出さないようにしよう、と。

 彼らが生き残れればの話だが、だが、おそらくそれも無理だろう。

 女拳帝はひたすらに拳を打ち込んでいく。流石にスタ○ドが現れるようなことはなかったが、両手の動きはあまりにも速く光って見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ