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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その真なる王の出現を僕は知りたくなかった
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その虎の尾を踏みにじっていたことを彼等は知りたくなかった

「なっ!?」


 驚く全裸の男にやってきた女性陣が思わず目を塞ぎそうになる。

 しかしすぐに戦場だと気付いて状況を把握し……

 それよりも先に、近くで大地が爆散した。

 どっかの鬼女が飛び出したのだ。もはや止める暇すらなかった。


 誰も彼もが反応するより早く、そいつに肉薄した女は地面を陥没させる程に踏みしめ全身全霊の力を込めた拳を思い切り振り抜いた。

 グォン ゴッ バゴン、ドゴン、ドサドサドサ。

 擬音で表すならばこんな感じなのだろうか?


 まずは振り抜かれた拳が唸りを発し、小型のオークを踏みしめていたロリコーン紳士亜種の顔面に突き刺さった。その衝撃でロリコーン亜種が吹き飛び壁にめり込み、そのまま壁を穿ち貫通し、遠くの壁か何かを破壊し、奥にあった木々を叩き折り、それがドサドサっと倒れた音が遅れて響いた。そんなところである。

 まさに一瞬の出来事だった。


 誰もが何も発することすらできず、ただただ拳から擦過による煙が噴き上がっているのを見るしか出来なかった。

 その女が、ギロリ、ロリコーン亜種たちを睨みつける。

 拳帝エンリカの一撃は、彼らを震撼させるのに、充分であった。


「私の娘に……何をした?」


 地の底より響く声に、ロリコーン亜種たちは気付いてしまった。

 彼らは決して手を出してはならない者に、手を出してしまっていたことを。


「こ、皇帝陛下、アレはムリです!」


「あきらめるなっ! なんとかしろ伯爵!」


 ロリコーン亜種は、伯爵とペドコーン? それからあの偉そうなのが王か。いや、ロリコーン皇帝モナーク? 魔王クラスのロリコーンか。流石にこれはエンリカさん任せかな?

 そう思ったのだが、エンリカさんは皇帝に何かするつもりはなかった。


 突き抜けていったもう一体のロリコーン亜種を追うように、壁を破壊して走り去って行きました。

 ああ、今の、娘のオーク踏みつけてたの見ちゃったもんね。そりゃキレるわ。

 あいつ、死んだな。図鑑登録すら出来なかったから誰かは分からないけど、まぁいいや。とりあえず、そこでプリカたちと寝そべってるのがウチのロリコーン侯爵と見ていいのかね。あ、図鑑で見たら確信できたや。


「ロリコーン伯爵に、皇帝、ペドコーン? リエラ、あの皇帝が一番危険みたいよ!」


「そうみたいですね、とりあえずゴードンさん達は既に駆けだしてペドコーンに向かってるので子供たちはお任せしましょう」


「リエラさん、私の占いではかなり苦戦するようです、決して一人で闘うのはやめてください」


 クルルカの言葉に頷くリエラ。リエラだってロリコーン紳士系の強さは理解しているつもりだ。一人で闘ってもダメだし、長引かせてもあまりいい結果にはならない。

 しかも魔王クラスが相手だ、何人もこぞって闘う訳にも行かない。少数精鋭で一気に倒すしかない。


「アカネさん、全裸の用意はいいですか!」


「ああもう、そこまで危険だとは思いたくないけど……この変態共は駆逐するに限るしね、いいわ!」


「ではルクル、チグサさん、ケトルさん、手伝ってください! 皇帝を叩きます! 他のメンバーは協力して伯爵を!」


「オッケー。で、こっちのリーダー誰する?」


 アニアの言葉にメンバーを見るリエラとアカネ。

 闘うメンバーはアニア、ルグス、にゃんだー探険隊、レーニャ、ローア、メイリャ、セキトリ、クルルカ、モスリーン、マクレイナ、コータ、テッテ、ハイネス、バルス、ユイア、アンサー。

 この中から指示出しを行えそうなのは……居ない。


 いや、ある程度は指示出しは出来ると思うんだ。でも大勢を見ながら的確な指示となると、王族であるアンサーかセキトリ、副リーダーをやってたメイリャ、くらいか?

 でもアンサーはついさっき加入したばかり、メイリャも突撃系に進化しているし、セキトリ君はちょっと指示出すには頼りない。


 ならばアニアかルグスが可能かと言えば、それも不安がある。ヤラレ役のルグスに任すのはちょっと不安だし、アニアも補助がメインなので指示出しをしながらというのは難しい。


「私がやります」


 立候補したのはクルルカ。不満を露わにするモスリーンとマクレイナには気にも留めず、懐からカードの束を取り出し一枚引き抜く。人差し指と中指の間に挟まれたカードを一度見てからリエラに向けた。


戦車チャリオットです。私が指揮するのが一番だと占いでも出てます」


 うん、まぁ、よくわかんないけど自信あるみたいだし良いんじゃない?

 いざとなればアルセと一緒に頑張るし。

 リエラ達もそんな思いだったようで、チグサと頷くと皇帝向けて走り出した。

 にしても……


 僕はペドコーンと唯野さんたちが闘っている場所を見る。

 無残に打ち据えられた少年少女の中に、倒れたのじゃ姫、隆弘君とミズイーリちゃんもダメージを受けているようだ、あまりに酷い。

 これにもしも、アルセが連れ去られ、同じ状態に陥っていたらと思うと……うん、今回は僕も変態退治、させて貰おうかな。なんか腹立って来た。

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