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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その救出者が来ているのを僕らは知らなかった
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AE(アナザー・エピソード)その光を越えた闘いを僕等は知らない

「フェッフェッフェ」


 不気味な声と共に光を越える速度でババァが走る。

 もはや立ったまま光を越えて近づいて来るババァにネクロコーンは防戦一方だった。

 刻一刻とステータスは上がっているはずなのだが、Gババァに勝てる気がしない。


 あまりにも隔絶した速さに、彼が追い付くより先に光を越えた蹴りが襲いかかるのだ。

 勘でぎりぎり防御できてはいるが、予測しきれなかった数撃が既に直撃している。

 全裸男は必死に局部を守るのだが、Gババァはフェイント織り交ぜ、局部を狙うと見せかけてハイキック、フック。ボディブロー、ネリチャ蹴りなど数々の攻撃でネクロコーンにダメージを叩き込む。


 光の残影がネクロコーンの視界に焼き付く、視界すらも殺されるとかなり闘いにくくなる。

 盲目状態で光を越えて動く敵を相手にするのだ。勝利は絶望的と言っていいだろう。

 それでも幼女だらけの国を作るため、この敵に勝利せねばならんのだ。ネクロコーンは必死に攻撃を受けて行く。少しずつだが反応し始めている。実力が追い付くのも近いかもしれない。


 時折熱いヴェーゼを行おうとしてくるのが質が悪い。

 あんな恐ろしいモノを喰らってしまったら、彼はネクロコーンとしての自我を崩壊させてしまうだろう。

 自分の存在意義すら破壊しかねない脅威に、ネクロコーンは自分が敵対する事になった敵に嘆く。

 頼むから他の誰か代わってくれ。

 なんて祈るものの、誰かが代わってくれる未来など来るはずもなかった。


「フォッ!」


「ふぇっふぇっふぇ」


 反撃の一撃。しかし光の残像を残してGババァが消える。

 背後から後頭部に衝撃。

 なんだ!? と見上げると、自分の肩に肩車で飛び乗った状態のGババァが見下ろすようにネクロコーンを見下げていた。

 その口から、たらりと涎が一筋。


「ふぉっ!?」


 逃げようともがくが彼の頭の上に居座るGババァから逃れる術などなかった。


「や、止めろっ!? 止めろォォォォォ――――っ!? ぎょ、ぎょええええええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――……っ」


 どさり、一人の男が……逝った。


「ふぇっふぇっふぇ」


 勝利の雄叫びとも言えない老婆の声が響く。

 倒れた全裸男にのしかかり、勝利者権限を発動する。

 が、自分には夫がいる事を思い出しふむ。と考える。


「ふぇっふぇっふぇ」


 レイプ目で気絶したネクロコーンから降りた彼女は、御姫様抱っこで抱きかかえたネクロコーンを連れ、光の速さで洞窟を出て行った。

 向かう先は彼女の故郷BABA-BA洞窟。その内部に、ネクロコーンは捨て置かれることを、まだ彼は知らない。


 Gババァが洞窟から出て行った頃、ワンバーカイザーの反撃によりトマトが尻に刺さった伯爵が突進攻撃で地面に埋まっていた。

 血を吐く伯爵は壁から落下すると同時にトマトカッターを取り投げ捨てる。


「やってくれましたな!」


「わうっ」


 迫るワンバーカイザーを肉弾戦で撃破する伯爵。

 しかし、トドメを刺した瞬間復活するワンバーカイザーに、伯爵は思わず戦慄する。

 なんだこいつは?

 今まで敵対した存在は自分より強くとも実力が越えた瞬間楽に撃退できていた。

 なのに、既に実力的にはすでに相手を追いこしてしまっているため伯爵はこれ以上実力上昇が行われない。


「おのれっ!」


「バウゥッ!」


 己がどれ程傷付こうとワンバーカイザーは必死に追い縋る。

 自分がすべきことは時間稼ぎなのだと、伯爵に食らい付きただ只管に彼の邪魔をする。

 のじゃ姫を救出するために、自分の出来ることだけを必死に行おうとする決意があった。


 思わず感動しそうになる伯爵。幼女の為に命を掛けるこの犬に、彼は心底称賛を覚えた。

 なれど、自分たちの理想の為には、彼は邪魔なのだ。

 幼女の為に命を懸ける忠犬に、彼は同情しながらも心を鬼にする。


「カスタムバルカンストライク!」


 侯爵が使っていたスキルでワンバーカイザーを蜂の巣にしてしまう。

 それでもワンバーカイザーは身体を復活させて噛みついて来る。

 全裸の伯爵は紅に塗れながらも必死に考える。

 これを撃破するにはどうすればいい?

 突いてもダメ、肉弾戦もダメ。魔法は唱えられない。自分の力で倒し切ることができるのか?


「フォッ!!」


「ガルァッ」


 ピクルスブーメランが飛んで来る。

 ステッキでなんとか弾くが、ブーメランは謎の軌道を描いて背後から伯爵を襲いかかった。


「なん、とぉっ」


 ギリギリ身体を捻って避ける。

 ワンバーカイザーに戻っていくが、口でキャッチされたピクルスブーメランは即座に投げられ再び軌道を描いて伯爵へと襲いかかった。

 ステッキで弾くが、また変な軌道を描いて伯爵へと向かって来る。

 避けた先にワンバーカイザーの噛みつき攻撃。

 かつて無い強敵に、伯爵は焦りを覚えていた。

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