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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その救出者が来ているのを僕らは知らなかった
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AE(アナザー・エピソード)その強化され過ぎる敵を僕等は知らない

「のじゃぁぁぁぁ―――――っ!?」


 のじゃ姫の悲痛な叫びが聞こえた。

 どぅと地に伏したロリコーン侯爵はギリと唇を噛む。

 負けるわけにはいかないのだ。

 負けてはならない闘いなのだ。


 何度も何度も立ち上がり、その度にステッキで突かれ足腰経たない程のダメージを負わされた。

 それでも立った。

 泣きそうな目で自分の勝利を信じる幼女の為に、ロリコーン侯爵は必死に立ち上がり、闘った。

 だが、遠い。


 全裸となったロリコーン皇帝はあまりにも強過ぎた。

 そして、敵対すればするほどに、幼女たちを守る皇帝は強化され、自分の強化を上回る。

 全裸の変態紳士二人に触発され、伯爵もペドコーンもショタコーンもネクロコーンも既に服を脱ぎ捨てている。


 五人の全裸変態が仁王立ちしながら一人倒れたロリコーン侯爵を見降ろしてきている。

 ニヤつく笑みを浮かべる伯爵たちに、侯爵はただただ悔しげに地面の砂を握り込むしかできなかった。

 勝てない。自分では絶対に、この皇帝を上回ることなどできない。

 目の前に幼女がいるのだ。

 助けを求める声が聞こえるのだ。

 道半ばで諦めることなどできないのだ。

 なのに、自分の力は敵を打ち破ることなど出来なくて……


「ふ、フオォォォォォォォォォ――――ッ」


 叫びと共に起き上がる。

 まだ負けんと立ち上がったロリコーン侯爵。しかし、皇帝はただ、告げる。

 「蹂躙せよ」たった一言で動いた四人のロリコーン亜種が全裸で襲いかかる。

 まさに断末魔の悲鳴が、聞こえた。


 無残に殴り、蹴られ、ロリコーン侯爵が斃れる。

 幼女たちの悲鳴が上がる。

 もう止めてくれと、皆が絶望に顔を歪ませた。


「ぶ、ブゥアァ!!」


 だが、ロリコーン侯爵の奮闘が、火を付けた者たちがいた。

 リーバが鉄格子に体当たりを始める。

 当然びくともしないのだが、のじゃ姫もまた、ガルーを召喚し、突撃を指示する。


「ござる」

「おじゃる」

「まだまだ死なぬわッ!!」


 全軍突撃とばかりにのじゃ姫の眷族達が雄たけび上げて鉄格子にぶつかる。

 ビキリ、鉄格子にはヒビ一つ入らなかったが、土壁は違った。

 ビキリと音を立て、鉄格子諸共倒れ出す。


「フォッ!?」


「なんと!?」


「のじゃあ!!」


 仇は取るぞ! とのじゃ姫が叫ぶ。血気盛んな男達が全裸男達向けて走り出した。


「ござる」

「ござる」

「殿中でござるッ」


 無礼でおじゃるが蹴鞠を蹴り付け伯爵の股間が強打される。

 悶絶する伯爵へと斬りかかる殿中でござる。

 それを阻止するペドコーンにまだまだ死なぬわが襲いかかり、召喚されたうっかり御用だがショタコーン相手に手にした提灯を投げつける。


 ガルーが向かうのはロリコーン皇帝。自慢の腕力でのじゃ姫を救おうと必死に攻撃するが、ロリコーン皇帝は既に強化された状態だったため、軽々避けられる。

 ガルーの剛腕も、当らなければ意味が無いとばかりに、王は楽々避けてみせる。


「お嬢様ッ!」


「のじゃ!?」


 ロリコーン侯爵の叫びで気付く、ネクロコーンが包囲を抜けてのじゃ姫向けて走り込んできた。

 リーバが対応するもこれを蹴り飛ばし、接近を阻止しようとした隆弘を殴りつけミズイーリを蹴り飛ばす。怯えるサフィーアを庇うトパーズァの前で、のじゃ姫へとたどり着いたネクロコーンが仕込みステッキの振りあげた。

 呆然と見上げるのじゃ姫に、致死の一撃が襲いかかる。


「にんっ」


 のじゃ姫にステッキが刺し込まれるその刹那。

 影からニンニンが飛び蹴りを放ちステッキを撃墜、さらにクナイでネクロコーンの首を裂く。


「なっ!?」


 咄嗟に飛び退いた御蔭で首の皮一枚切り裂かれただけで終わったが、想定外の敵にネクロコーンは思わず警戒を露わにする。

 のじゃ姫を守るように姿を現した最後の防衛者。

 黒装束に身を包んだ忍者がついにその姿を人目に晒したのだった。


 忍刀を構える影からニンニンにステッキを構え直すネクロコーン。

 ボンナバンで一気に踏み出すネクロコーンの一撃を影からニンニンは更なる速度で懐に飛び込み首筋向かって暗殺の一撃。

 ぎりぎり避けたネクロコーンと影からニンニンの一騎打ちが始まった。


「ふん、煩わせおる」


 最初は、のじゃ姫勢が押していた。数は限りなく多くなるのだ。

 だが、途中からは違った。幼女を守るという大義名分の為、ロリコーン五人衆はどんどん強くなる。

 次第、殿中でござるが、無礼でおじゃるが斃れて行き、まだまだ死なぬわがロリコーン侯爵の横に倒れ動かなくなる。

 そしてガルーもまた、ロリコーン皇帝の一撃で昏倒させられたのだった。


「う、嘘だろ……」


 倒れて行く自分たちの護衛を見つめ、隆弘は呆然と呟く。もう、勝ち目などなかった。

 幼女たちは奴らの慰み者になるしかないのだろうか……

 呆然とする隆弘達に救いの主は……


「ワンッ!!」


 ……現れた。

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