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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その女に起こった悲劇を僕らは知りたくなかった
967/1818

その村に居た人物を僕等は知らないはずがないことを知りたくなかった

「な、なんだありゃぁ!?」


「ま、魔物の急襲か!?」


「旅の冒険者と自警団に連絡をっ! 急げ!!」


 空から無数の魔鳥が舞い降りて来る。

 村は騒然となった。

 右往左往する村人を見ながら僕らは村の入り口手前に舞い降りる。

 うん、凄い騒ぎになっちゃった♪ てへぺろ。


 やっちまったよオイ。どうすんのコレ!?

 ねぇ、アルセ、コレ大丈夫だよね?

 全員が降りたのを確認したアカネとリエラが代表するように村へと向かう。


 だが、それより先に村からわらわらと出現する冒険者と自警団。

 村人の男集も鍬やら鋤を持って参戦です。

 皆決死の覚悟をして現れたのだが、そこで目にしたのは鳥から降りて来る冒険者たち。

 皆、眼を点にしてしばらく呆然としてました。


「あ、驚かしてすいません。私、アルセ姫護衛騎士団という冒険者パーティーのリーダー、リエラと言います。村に寄っただけですのでご心配なく」


「い、いやいやいや。え? 魔物の急襲……ん?」


 冒険者たちは未だに混乱しているようだ。

 空を旋回するエアークラフトピーサンの巨体を見上げ、リエラ達を見る。

 見るからに冒険者なリエラ達の言葉を察することがまだ出来ないようだ。


「何事かと思えば、リエラさんたちでしたか」


 不意に、冒険者達を割り裂いて、一人の男がやって来る。

 草臥れたレザーアーマーに草臥れた貴族風のイケメン男子。

 お久しぶりです。と礼儀正しく頭を下げる。

 うん、誰?


 リエラ達も見覚えが無かったようで皆さん訝しげな顔になってます。

 アカネさんはあれ? なんか見たような? といった顔で顎に手を当てじぃっと男を見定める。

 しかし、思い出せないようです。


「る~♪」


 一番最初に気付いたのはなんとルクルさん。

 物凄く親しげに鳴きました。

 あれ? これって僕をスト―キングしてた女の子が見知らぬ男とただならぬ仲になっていたとかそんな感じ? モヤッとします。モヤッとしますよルクルさん!!


「ああ。思い出したぞ小僧。ルクルがマリナは元気かと聞いているぞ?」


「ああ、マリナさんですか……」


 ルクルの鳴き声でルグスも気付いた。

 そしてなぜかマリナさんの安否を聞いている。

 そして優男はあははと苦笑して、溜息を吐いた。


「マリナさんは今……我が国コイントスの女王陛下になってますよ。マリアネットの傀儡と化して王位を簒奪されました。はぁ。まさかパーシハルもランスロットも重臣たちまでマリナのドロップキック好きになっているとは思いませんでした」


 マリナ、マリアネット、パーシハル、ランスロット、そしてコイントス。ここまでヒントが出れば僕だって思い出した。思い出してしまった。


「「「アンサー王ッ!!?」」」


 僕とリエラとアカネの声が見事にハモった。

 立派な鎧も、決め決めだった煌めく髪でもなかったから分からなかったんだ。

 冒険のせいで満足に髪を洗えていないのだろう。煌めく髪は既にくすんでいた。


「あ、ああ。アンサー王。こ、これは失礼を、何度も顔を会わせていたのに気付くのに遅れました」


 申し訳なさそうに頭を下げたのは同じく王族であるケトル。


「いえ、こちらこそ申し訳ない。きらびやかな王宮暮らしから冒険者暮らしになったせいか容姿が変わっていることに気付きませんでした。いきなり馴れ馴れしくしても気付きませんよね」


 と、苦笑しながらも明らかに落胆しているアンサー。

 そんなアンサーが親しげに話したことで、僕らが冒険者だということに現実味が出たらしく、他の冒険者や男衆が村へと戻っていく。

 そして男衆の一人が、いろいろ聞きたい事もあるのでアンサーとの話が終わり次第村長の家に来てほしいと告げられる。


 出来ればのじゃ姫の元へ急ぎたいのだけど、迷惑掛けたのこっちだしね。こればっかりは従ったほうがいいだろう。ね、アカネさん。

 アカネもリエラに同じこと言ってました。


「にしても、王様が冒険者で、なんでまたこんな村に?」


「今は各地を放浪するただの冒険者さ。言っただろう。王位はマリナに簒奪されたんだ。いや、ほんと、実に見事な簒奪だった。ぐうの音もでなかったよ」


「う、ウチの魔物がすいません」


 謝るリエラに手をひらひらとさせてアンサーは苦笑する。


「構わないさ。あのまま居れば僕も洗脳されそうだったから流浪することにしただけだし。冒険者になってみると案外性にあってるんだよね。こう、気ままなのもいいよ」


 王族の形式ばった毎日よりは刺激的ではあるだろうね。


「まぁ、いろいろ話を聞いたりしたいところだけど、とりあえず村長の所に行こうか? ところで、皆は何故この村に?」


「え? あー、その。アルセが来たいっていったので。ホントは結構急ぎでのじゃ姫を捜索してるんですけど……」


 とリエラが話の種にと今向かおうとしている場所に付いて説明する。

 うん、これ、アンサーさん絶対付いて来るよね。なんか大冒険の予感、楽しそう、みたいなわくわく顔してますよ。

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