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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十二部 第一話 その残虐な仲間がいることを僕は知らない
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AE(アナザー・エピソード)・その付いて来た者たちを彼らは知りたくなかった

「ンじゃあこいつらのことはアメリスに任せりゃ……」


「お、おい、何だあいつらは!?」


 門番の一人が焦った声を出す。

 皆でなんだ? と振り向けば、街の入り口へと向かって来る無数のアキオ達。

 じゃなかった、ヒャッハーたち。


「ちょ、なんであいつらが此処に!?」


「何あれ? アキオの知り合い?」


 ミルクティの言葉にふざけんな。と返す。ヒャッハー達は似てるっちゃ似てるのだが、話しすら出来ないのだ斬り殺すしかないだろう。

 おそらくお礼参りだ。


 代表するように門前に出て来たのはシャッハーよりもさらに大きな男だ。

 どうやらシャッハーも奴らの中では雑魚の部類らしく、膨れた腹を揺らす二メートル以上の大男、しかもパンクヘッドがグフフと現れる。

 対抗するように前に出て来たのはネフティア。

 戦いが始まるのか? と思った矢先だった。


「ギャッハー! ワガシャテイヲコロシタノハオマエカ!」


 片言ながらニンゲン語を喋る男。

 鳴き声から察するに名前もギャッハーなのだろう。

 ネフティアが無言でチェーンソウを構える。

 さらにアメリスが子供達に自分の背後に逃げるように促し、アメリスを庇うようにミルクティが前に出て魔銃を構える。兵士達も臨戦態勢だ。グルルと唸りを上げガンホーの掛け声を叫び出す。


「ギャッハー。イッキウチダァ!!」


 ギャッハーの言葉にネフティアも頷く。

 背後を一度振り向き手出し無用とジェスチャーすると、デスマスクを被った。

 ギュイン ギュイン ギュイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ

 チェーンソウのエンジンを入れて準備完了。


「ギャッハー!」


 ギャッハーの主力武器は斧らしい。

 右手で持った巨大な斧をネフティア向けて振り下ろす。

 華麗なステップで回避したネフティアが走る。

 すると、背中から取り出すもう一つの斧。ギャッハーは左手にも斧を装備して横向きに薙いで来た。


 慌てることなくネフティアがチェーンソウで受け止める。

 金属を削る耳障りな音が響く。

 そのまま斧の威力を殺して懐へ。

 ガラ空きの腹へと自慢のチェーンソウを打ち込んだ。


 ギャルルルルと肉に食い込む音がする。

 だが、断つ事が出来ない。

 肉に食い込み、大量の脂肪に突っ込みチェーン状の歯が止まる。


「っ!?」


「ギャッハー、ムダムダムダァ。ワガカラダハブツリコウゲキナドキカン」


 どっかで聞いたような台詞だなぁ。と思わずアキオは思ってしまった。 

 世紀末系暗殺拳を使える存在はいないだろうか? 腹にパンチかキックしまくって脂肪を無くして一撃放てるのに。

 残念ながらここには居ないのでネフティアにこいつを倒す手段などない。

 アキオは思わず戦慄した。敵が倒せないのではこちらが負けるしかないのではないかと。


 バックステップで距離を取ったネフティアは、脂肪が絡まり動かなくなったチェーンソウをその場に置く。後でメンテナンスをするために武器屋に持っていかなければならないと心のメモ帳にメモしておく。

 そしてヒヒイロアイヴィチェーンソウを取り出す。


 再びエンジンを点火して特攻。

 だが、腹に突き入れることは出来たが、これもまたそこで止まってしまった。

 稼働音が消えたことに気付いたネフティアに、ギャッハーがギャハハと笑いだす。


「ムダダムダダ。ギャッハッハ。イイカコムスメ、オマエニショウリハナイ、ソシテワレノコウゲキガアタッタシュンカンオマエハマケル」


 愚かなネフティアを嘲笑い、自分の優位を説明し、勝利を確信するギャッハー。

 仲間の仇を討ってやるとばかりにネフティア向けて斧を振りあげる。

 攻撃の通じないネフティアは完全にピンチだ。

 このまま殺されてしまうのか。アキオは内心焦りを浮かべる。

 アメリスとミルクティも流石に見ていられないと攻撃をしようとするが、それに気付いたネフティアは斧を避けながらこちらにジェスチャーで伝える。

 大丈夫。そんな意味合いのジェスチャーに、アキオ達は首をひねった。

 この状態からどうやって相手を倒すというのか?


 動かなくなったヒヒイロアイヴィチェーンソウをオリハルコンチェーンソウの横に並べ、徒手空拳のままギャッハーへと向かうネフティア。

 斧の一撃を、避けながら近づくが、両手から繰り出される斧の連撃をついに避け損ねる。

 頭上から襲う一撃に、あわや真っ二つかと焦ったアキオ達。

 だが、ネフティアはそれを片手で受け止めた。


「ギャハ!?」


 ギャッハーは知らなかった。アキオ達は忘れていた。

 ネフティアは容姿こそ幼いが、人間ではない。

 フレッシュゾンビなのだ。握力3000越えの筋力を持ち、ゾンビ化しているために普段セーブされている実力を自由に使える強靭な肉体を持つ……古代人である。


 バキャリ。斧をそのまま握り潰す。

 呆然とするギャッハーに突撃すると、ポシェットから棺を取り出した。

 ネフティア、否、古代人にとって防具になり、寝具になり、アイテムボックスになり、そして武器になる最高の私物。


「っ!」


 息を吐きながら地面を踏みつけ腰の入ったフルスイング。

 脂肪を蓄えたギャッハーだったが、その脂肪すらも破壊する凶悪な衝撃が右腕を破壊して脇腹を穿つ。

 脂汗を流しながら崩れるギャッハーの頭上に、掲げられた柩によるダメ押しの一撃。


「ぎょべっ」


 ネフティアの圧勝であった。

 ギャッハー

  種族:偽人 クラス:ヒャッハー

 ・パンクヘッドに棘付き肩パッド、太ったの身体に醜悪な顔をして、ギャッハーと叫びながら斧を舐めて威嚇して来る。脂肪が厚くあらゆる打撃や斬撃がほとんど効かない存在。

  アサではなくヨモギが主食であり、食べるとイケナイ薬をキメた顔でしばらくぼーっとし始める。

 ドロップアイテム・ハチェット、ヨモギ、牛脂、棘付き肩パッド

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