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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十二部 第一話 その残虐な仲間がいることを僕は知らない
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AE(アナザー・エピソード)・その女がなぜ襲うのかを彼らは知らない

 ギュイイイイイイイイイイイイイイイ


 ネフティアのチェーンソウが雄たけびを上げる。

 木の上に昇ったアキオはただただ呆然とするしかなかった。

 下では物凄い勢いで死山血河が築かれつつある。


 既に逃げ腰のヒャッハーたちは、突然やってきた虐殺者に戦々恐々としている。

 あまりにも酷い殺戮だ。

 ネフティアが悪いというわけではないのだが、傍から見るともはやネフティアの方が悪役にしか見えない。


 ヒャッハー達は震えながら仲間と抱き付きあったり、逃げ出したり、草に足を取られてひぃぃと叫んだり。その悉くにネフティアは等しく無骨な工具を打ち降ろして行く。

 その動きに慈悲などない。

 ただただ機械の如く正確無比に攻撃を繰り出して行く。


「シャッハー!!」


 不意に、ヒャッハー以外の声が聞こえた。

 アキオの視界に、ヒャッハー達を掻きわけて現れる男が見える。

 ピエロみたいに顔にペインティングしているその男は、口元に黒いマスクを付けていた。

 パンク頭の亜種だろうか? 棘付きパンクとでも言えるぎざぎざしたパンク頭をしている。


 おそらく、ヒャッハーの上位種なのだろう。

 チェーンを手にしてネフティアに対峙する。

 ヒャッハー達を庇い現れたシャッハー(仮)はネフティアを見下しながらチェーンを回し始める。


「シャハッ!」


 チェーンを投げつける男。チェーンソウに巻き付いたチェーンのせいでチェーンソウに切れ味が無くなった。

 ガッガッと動きを止めたチェーンソウにネフティアがムッとする。

 しばらく動かせば問題なくチェーンを千切れそうだが、面倒臭い。

 オリハルコンチェーンソウのエンジンを切り、その場に置くと、新たにアルセチェーンソウを取り出す。


 ギュイイイイイイイイイイイイイイイッ


「シャハ!?」


「っ!!」


 ストライクブッチャーで加速。さらにチェーンでチェーンソウを拘束したまま武器が使えないでいるシャッハーへと身体を沈めて加速。足を踏み込み、真下から切り裂く。


「シャハァァァァァ――――……ろぽぉっ!?」


 大ボスっぽい存在を倒したネフティアはさらにチェーンソウを猛らせ逃げ出したヒャッハーたちを追って行く。

 アキオはただただソレを見ておくしか出来なかった。


 しばらくして、満足したらしいネフティアが戻って来る。

 アルセチェーンソウのエンジンを切って、しまうとオリハルコンチェーンソウに絡まったチェーンを取り去る。

 アキオがようやく降りて来て周囲を見回した。


「っしっかし、すげぇな。つーかお前チェーンソウ二つも持ってたのな」


 これはつい先日作って貰った。みたいな顔をするネフティア。アルセチェーンソウ改というべきか、ヒヒイロアイヴィチェーンソウと言うべきか。

 ネフティアとしてもこんなことになるとは想定外だったのだが、アルセから貰った桃のようなものを食べると、アルセの使用していたポシェットを自分でも使用できるようになったのだ。

 のじゃ姫共々、何だこの便利な機能は? と驚いたものである。

 三人で自由に使えるポシェット。否、三人ではなく、アルセから桃を貰ったモノ全員が共有できるのだと思われる。


 その辺りの事は別にアキオに告げるつもりもないので、二人してヒャッハーが守っていた草を見る。

 アキオはそれの一つをぷちりと取って目元で調べる。

 やはり、これはヨモギだ。アサなどではない。


「んー。ここの村はなんでこれをアサなんて思ったんだ? 葉っぱ見りゃわかるだろ?」


 ネフティアもヨモギをちぎって見てみるが、葉っぱの違いなど全く分からない。

 ぱくりと食べる。


「あ、ちょぉっ。むやみに葉っぱ喰うなよ。ヤベェのとか結構あンだからな」


 こてんと小首を傾げたネフティアに、アキオははぁと息は吐く。


「いいか。人が食える草ってのもあるっちゃある。だがな、喰っちゃヤベェ草もあるんだ。自然界じゃ一緒こたに生えてるからな。間違えて喰っちまったらどうしようもないだろ。呼吸器困難ならまだマシだって草もあるんだぜ?」


 毒物については良く学んでいる。

 なにしろ世紀末に憧れていたのだ。世紀末じゃ食料が少ない。自然、草を食べたりすることになると、食べていい草とヤバい草などいろいろ調べたのである。毒ならナイフに塗ることで戦闘を有利に進める事も出来るし、アキオはアキオで努力しているのである。


「とりあえず、なぜヨモギを育ててたのかは知らんが、ヒャッハーどもは居なくなったってことでいいんだよな」


 じゃあ、もう帰るか。

 告げるアキオにこくりと頷くネフティア。

 ヒャッハーの生き残りはかなり少なくなっているだろう。

 下手したら全滅しているかもしれない。


 彼らからすれば突然現れ虐殺して来る悪魔のようなネフティアだったが、アキオにはどうでもいいことだった。なので、依頼完了。とばかりにネフティアと共に村へと戻ることにしたのだった。 二人が居なくなってしばし、逃げたヒャッハーたちが恐る恐る戻って来る。

 その中に、倒れた仲間達に涙を流す、巨大な存在が居る事を、まだ、アキオたちは知らない。

 ヒャッハー

  種族:偽人 クラス:ヒャッハー

 ・パンクヘッドに棘付き肩パッド、ひょろひょろの身体に醜悪な顔をして、ヒャッハーと叫びながらナイフを舐めて威嚇して来る。能力値は下から数えた方が良いくらいの実力だが群れで存在するため村単位の人々にとっては脅威の存在。

  アサではなくヨモギが主食であり、食べるとイケナイ薬をキメた顔でしばらくぼーっとし始める。

 ドロップアイテム・ジャックナイフ、ヨモギ、投げ縄、棘付き肩パッド


 シャッハー

  種族:偽人 クラス:ヒャッハー

 ・ギザギザパンクヘッドに棘付き肩パッド、筋肉質な身体に醜悪な顔をペイントして黒いカラスマスクを装備。ヒャッハーを束ねることがあるが、基本中ボス的存在。

  アサではなくヨモギが主食であり、食べるとイケナイ薬をキメた顔でしばらくぼーっとし始める。

 ドロップアイテム・鉄の鎖、ヨモギ、カラスマスク、棘付き肩パッド


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