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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十二部 第一話 その残虐な仲間がいることを僕は知らない
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AE(アナザー・エピソード)・その村が直面している危機を彼女は知りたくなかった

「ここが儂らの村ですじゃ」


 偽アキオを結局ぶった切ったネフティアは、老人に連れられて、アキオと共に村へとやって来た。

 偽アキオとアキオの違いはやはりネフティアには分からなかったが、一応、アキオは喋れるので敵との区別はついた。

 俺が本物のアキオだっつーの。わかるだろネフティア。そんなことを言って来たアキオとヒャッハーしか言わない偽アキオは、容姿こそ似ていたが、知能の問題でなんとか区別できたのだ。


「つかよ、アレってなんなんだ? 爺さん」


「ひぃ。あ、いえ。アレはですな。ヒャッハーという名の偽人ですじゃ」


「アレ魔物なのかよ……」


 溜息を吐くアキオに、ネフティアは無言の視線を向ける。


「おいコラ。俺は魔物じゃねーぞ。あんたも魔物? みたいな目で見てくんな」


「し、しかし、ヒャッハーではなく人でありましたとは。取り乱し申し訳ございませんでした」


 老人になんとかヒャッハーではないと誤解を解いたアキオだったが、未だに容姿のせいで老人からは距離を取られている。

 村に戻って来た老人が村中を歩いていくので、ネフティアとアキオも村へと入る。

 すると、アキオの姿を見た老若男女がヒャッハーが来たっ。と口々に叫んで逃げ出したり距離を取る。


「いや、ヒャッハー恐がられすぎだろ。違ぇから。俺ヒャッハーじゃねーから」


 ネフティアの疑惑の視線にアキオ=ヒャッハー進化体説を否定する。


「つか俺の出身地この世界じゃねーからな。バイク乗りまわす世紀末世界でもねーからな。これはただのコスプレだからな?」


 意味は分からなかったようでネフティアはこてん。と小首をかしげる。


「つかそろそろ何か喋れよ。お前としばらく一緒に居るけど未だに一言も声聞いたことねーぞ?」


 その言葉に、ネフティアは親指立ててグッドマーク。力強い親指に、アキオは押し黙る。


「はぁ……で、詳しく話すとか言うけど、どこ行くんだ?」


「村長の家じゃ。儂は村長に言われてこれを……隣町から貰って来たんじゃ」


 一瞬、何かを口ごもる老人。どうも後ろめたいことを言ったらしい。どこかに嘘でも混じっていたかとネフティアは首を傾げる。


「隣町ねぇ。どれくらい離れてんだ?」


「あの山を越えて直ぐそこじゃ」


 かなり遠くにある山を指差す老人にマジか? と驚くアキオ。しかし、ネフティアは小首を傾げた。

 確かこの村、山と逆方向にある森を抜けた先に街があったはずである。滅茶苦茶近く、一日で往復可能な距離だ。

 何か、おかしい。漠然とした違和感に小首をかしげる。


「ここが村長の家ですじゃ」


 案内された場所に入る。

 現れた奥さんらしき人がアキオを見て腰を抜かしたが、老人の説明を受けて這いずりながら村長を呼びに向かった。

 アキオが地味に邪魔だな。とネフティアは思ったが黙っておいた。


 村長に案内されるままに室内へと入る。テーブルが一つある食事用の部屋で、椅子に座った村長に促され、ネフティア達もテーブルを囲んで椅子に座った。

 老人も村長の隣に座り、逆隣には村長の妻と思しき女性。

 年若いながらも少しでっぷりとした村長は朗らかに微笑む。


「まずはようこそおいで下さいました。何も無い村ではありますが、ごゆっくりしてください」


「おぅ、まぁ、それはいいんだがよ。あのヒャッハー野郎はなんなんだ? 魔物だってそっちの爺さんから聞いたけどよ」


「この近辺に最近出現し始めた偽人ですな。村に来ては食料を略奪していくのです。そこまで奪われないので被害は軽微なのですが、皆ヒャッハーに怯えてしまって……」


「最近出現し始めた? っつーこたぁ、アレは昔から居た訳じゃねーのか?」


「……ええ。どうやら新種として湧きでてきたようで。もしかしたら未踏破ダンジョンができたのかもしれませんな。調べようにも冒険者がやって来るような村でもありませんし、街は遠いので……」


 ネフティアが再び首をひねる。

 何故この人は近くにある街の事を知らないのだろう? あそこなら冒険者ギルドもあるし、一日程度の往復なら楽に依頼を出来る筈だ。それとも、街に依頼を出すわけにはいかない理由でもあるのだろうか?


「おお、そうですじゃ、村長、これを」


「ああ。頼んでいたブツか御苦労様」


 渡された種籾入りの袋を受け取った村長。ソレを妻が受け取り、部屋から出て行く。

 その姿をじぃっと見ていたネフティアは、妙に自分達をちら見しながら去っていく村長の妻が気にかかった。

 しかし、アキオは気に留めなかったようで、なんなら俺が見て来ようか? と頼まれてもいないのにヒャッハー発生源探しを提案していらっしゃった。


「いや、しかしですな。雇えるような金もなく……」


「そうですのぅ。何も無い村ですからなぁ」


「つってもヒャッハーどもがのさばってんだろ。だったら、なぁネフティア」


 え? 面倒臭いんだけど。そんな顔を向けるネフティアだったが、アキオは気付かなかった。


「まぁ、任せな。俺の偽モノ共は全部駆逐してやっぜ」


 頼まれてもいないのに強制的に依頼をもぎ取るアキオくん。ネフティアは人知れず溜息を吐いた。

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