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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その家族のすれ違いを家族は知りたくなかった
938/1818

その日記を王族は知らなかった

「おー?」


 ジューリョ王子の部屋にやってきました。

 簡素な部屋で、ベッドとクローゼット、ソファにテーブル。後は自分用の机があるくらいか。

 王族とは思えないほどに必要な物しか置かれていない。


 セキトリ、アルセ、ルクル、リエラ の四人で探索に来ました。ちなみにルグスはにゃんだー探険隊が気になると彼らを探しに行ってしまった。

 各地に散らばってるだろう探険隊を見付けるのはこの城でかくれんぼしてるのと代わりないのではないだろうか?


「凄いね。見事に何も無い」


「るー?」


「ジューリョは装飾とかあまり興味無い感じだったからね。必要なら装飾するけど普段はこっちの方が落ち着くって言ってたよ。見てくれ。クローゼットにあるのは質素な服が多いんだ。それでもまぁ、王族って感じの貴族服なんだけど」


 開かれたクローゼットには確かに豪奢な服が一着と、控えめな私服が数着。


「ジューリョは食事の際の服に他の王族に見られても構わないように一着、そしてここにある式典用の一着しか豪華な衣装は持ってない。食事用の服はないな。多分着てたからシコフミ辺りが回収したのかな? おれでも数着の予備はあるんだけど、服なんかに金を掛けるなら住民に分け与えたいって奴でな。父から貰ったお小遣いは全て教会に寄付していた」


 絵に描いたようにいい人だな。

 正直そう言う奴ほど裏の顔を勘ぐりたくなってしまうのは僕が汚れたバグさんだからだろうか?

 クローゼットから離れたセキトリがベッドに向かい、ベッド下を調べる。


「やっぱないか。エッチな本一冊くらい持っててもいい年頃なのにな」


「るーっ」


「あいた。ちょ、殴らないでっ!?」


 セキトリとルクルが何かコントみたいなのをしだしたので放置して、リエラが机を調べ出す。


「引き出しの中は大したものは入ってないですね」


 ほんとにね。インクと羽ペンと……ん?

 リエラが閉じようとしていた二段目の戸を引きとめる。

 突然腕を掴まれたリエラがひゃっと小さく悲鳴を上げるが、セキトリは気付かなかったようだ。


「ど、どうしたんですか?」


 驚くリエラを無視してじぃっと戸棚を見る。うん、やっぱりだ。ちょっとだけ、この戸棚、面積が少ない。

 他の棚と比べて真ん中のだけ容量が少なく見える。

 と言ってもこんな机に特殊なギミックなどないだろうし、多分……ほら!

 棚の中にあった小物を全て取り出し、底面を調べると、案の定、外せた。


「わわ、二重底!?」


「るー?」


「リエラさん? どうし……なんですかそれ?」


「おそらく、羊皮紙を纏めたモノ……日記? いえ、違う……手紙?」


 出てきた羊皮紙の束を見るリエラと集まるルクルとセキトリ。

 あれ? アルセは?

 ふと見てみれば、アルセはクローゼットの中を覗き込んでいる。

 何してんのアル……アルセぇ!?


 なんとアルセはクローゼットの奥壁に突き刺さっていた。

 いや、違う、奥壁が回転扉になっているらしく、その奥に顔を突っ込んでいるようだ。

 慌ててアルセの胴体掴んで引っ張る。


「お~」


 頭上の花が一度引っ掛かったが概ね問題無く救出成功。

 アルセも失敗失敗。みたいな顔しながら埃を払っていた。

 そして、開けて? と指示を出して来たので、僕はクローゼットの奥の隠し扉を開けてみる。

 目が合った。


「おー?」


 アルセも覗いて、その二対の目を見つめる。


「アルセ?」


「え? なんでジューリョ王子の部屋調べてるアルセがそこに?」


 いや、それはこちらの台詞です。なぜ、王様の部屋を調べている筈のローアとコータが暗い隠し通路の中にいるの?

 いや、二人が此処にいるってことはつまり、中で繋がっている?

 王様とジューリョ王子の部屋は実質繋がってるってこ……


「皆、大変だ! 部屋調べてたらコータとローアが消えて……ってあれ?」


 隆弘が血相変えて飛び込んできた。

 ちょうどクローゼットから出てきた埃まみれの二人を見付けて目を点にしていた。


「え? え? なんでコータたちがこっちに?」


「隆弘こそ、なんでこっち来てんの? 王様の部屋は?」


「あら? 隆弘君? ほら、入るならさっさと入って。リエラ、食堂は終わったわ。こっちはどう? あら?」


 アカネ達がやって来て場が一気に混沌と化してきた。


「にゃー!」


「あーっ。また別の部屋入った。にゃーさん待ってくださいっ」


「テッテ、貴女も待ちなさ……あ」


 そしてコータたちと同じく隠し扉から飛び出して来るテッテとレティシャ。そしてにゃんだー探険隊の一匹。

 場は完全に混沌と化してます。何故こうなった?

 あ、こらアルセ、なんか楽しいからって踊らないの。いや、別に怒る必要はないんだけどさ、何でいきなり踊りだすの? 混沌が加速しちゃってるじゃないか。


「リエラ?」


 っと、アカネの声で僕も気付いた。

 こんな騒動があったのに、羊皮紙の束を読む三人は一切気付いていないようで、羊皮紙を読みふけっていた。

 何が、書いてあったのそれ?

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