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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その不良系魔物の生態を彼らは知らない
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その彼女が疲れている理由を彼らは知らない

 明日から五月ですw

 ゴールデンウィークですね。

 ゴールデンウィーク? 何それおいしいの?

 連休などない龍華ぷろじぇくとは連休中も平常運転でございます。

「お、アルセ、それ、もしかして持って来てくれたのか。ありがとよ」


「ぶひ?」


 アルセが両手一杯に持っていた武器を見て、カインがアルセの頭を撫でる。

 そしてその武器の中に見知らぬ武器を見付けたバズ・オークが鼻息鳴らして首を傾げていた。

 カインが自分の武器を取って行った後で、アルセを操りバズ・オークに手甲を渡す。


「ぶ、ぶひ!?」


「あら、アルセからプレゼント? どっから持って来たのこんな凄い武器……この手甲、もしかしてアダマンタイト製!?」


 バズ・オークが受け取った手甲を見て驚くネッテに豊穣の杖を差し出す。

 思わず受け取るネッテ。杖を見た瞬間眼を見開く。

 その間にアルセはエンリカにミスリルの弓を渡す。

 すると丁度ユイアとバルスが帰って来たので、笑顔のアルセと共に二人に烈攻の杖と魔剣エルガド、そしてガイアアーマーを手渡した。

 といってもその殆どがアルセが持てるモノではなかったので部屋の片隅に置いたあっただけで、わざわざそこに行って一人一人にアルセで手渡ししてただけだけどね。


「え? これ私に?」


「俺に!? い、いいの?」


 ほろりと泣きそうなバルスに、アルセは笑顔を向けると、思い切り蹴った。

 いや、アルセ、なんでまたバルス君蹴るの? アレか、イケメンは嫌いなのかなアルセは?

 もしかして僕の影響? イケメン爆死しろとかいっつも呪詛吐いてたせい!?

 うぅ。自重しよう。アルセに悪影響を与えてはマズい。


「結局嫌われてるね。というか、遊び相手に認識されてるのかな?」


「このプレゼント、嬉しいはずなのにあれ、涙が出て来たや……」


 本当に涙を零し始めたバルス。全体的に蛇口が緩いよバルス君。


「あぁと……まだ状況を把握できてないんだけどよ。クーフ、結局俺はどうなってた?」


「うむ。葉っぱ人間どもの集落で火あぶりにされかけていたぞ」


 と、ちらちらアルセを見ながら告げるクーフ。

 アルセも僕の裾を引っ張りクーフ用のは? と告げるような顔をしている。

 そうだなぁ。どうしよっか。

 ……そうだね。王族みたいだし、ごぅじゃすそーどをあげようか。

 と、普通に取り出しアルセに手渡す。


 その刹那、声が止まっていた。

 なんだ? と思えば、皆が唖然とした顔で僕を、というかアルセを見ていた。

 ん? 何かやらかしたかなアルセさん?


「ね、ねぇバルス、今、何も無いとこから剣が……」


「お、俺の見間違いじゃなかったのか?」


「なぁネッテ、アルセ、今アイテムボックス使ったか?」


「魔力反応は無かったわ。アルセだから何をしても不思議はないけど、さすがにこれは予想外ね」


「我としてもあのような魔物は初めて見るな。知恵を持っているのか我が視線に反応していたようだし」


「ぶひ?」


「視線? と言ってます」


 バズ・オークの疑問をすかさずエンリカが語訳する。


「う、うむ。他の面々がアルセからプレゼントを貰っているのに我にはないのかと……」


「ああ、それで剣を取り出したのね。でも、凄い装飾ね。アレじゃ切れないわよ」


「飾り用の剣のようだな。財宝としては一級品だ。何にせよ。我にくれるというのが素晴らしい。一生の宝物としよう」


 クーフが大切にしたら呪いが掛かりそうで怖い。

 アルセからごぅじゃすそーどを受け取ったクーフは少し嬉しそうに柩の中へとしまっていた。

 ああ、結局僕の戦利品はクリスタルソードだけか。


「あれ? 俺へのプレゼントは?」


 気付いたカイン。武器を返して貰っただけで新しい装備などは貰っていないことに気付いたらしい。が、アルセは指を咥えた状態で首をこてんと傾げてみせた。

 何か問題ある? と眼が言っている。


「うぐっ」


「まぁ、命が助かっただけマシと思え、わざわざ装備を返してくれたのだぞ……ん?」


 そしてふと、クーフは考え込む。


「どうしたのクーフ?」


「い、いや、アルセはずっとここにいたのだったよな? 葉っぱ人間の集落には行っていないのに、カインの武器をどうやってここに?」


 当然の疑問でした。

 皆に戦慄が走る。

 笑顔のアルセ。その笑顔が何故か恐ろしく見えた面々だった。


「ふぁぁ、やっと解放されたぁ……あれ? どうしたの皆?」


 かなり疲れた顔で部屋に戻ってきたリエラ。

 戦慄する皆に気付いて顔をあげる。

 一人蚊帳の外だったので何が起こったか分かっていないらしい。


 まぁ、会話の流れを知っていても苦笑いくらいしか出来なかっただろうけど。

 そんなリエラに気付いたアルセがリエラを振り向く。

 何が起こったの? と聞きたそうなリエラに、アルセは指を咥えたままこてんと首を横に傾けるのだった。


 アルセが何故その武器を持って来れたのか、誰も知らない……

 ヤバい、これカインたち側に立つとアルセがめちゃくちゃ不気味な存在に映ってる!?

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