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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その家族を守る英雄がいることを彼らは知らなかった
922/1818

その王の不敬を彼らは知りたくなかった

 翌日。僕らはぞろぞろと王城へと向かうことにした。

 テッテやコータは王城に登城するのは初めてな事もあり、テンションが上がっている。

 レティシャさんが失礼のないようにしないと牢屋に入れられるわよ。と告げるがあまり効果を発していない。


 ちなみにレーシーさんも一緒に来てます。折角だから王様に挨拶しといたら? というアカネの言葉で付いて来るのを決めたようだ。王族と懇意になっていれば森の守護者としても身の安全が保障されるだろうし、王国としても付近の森の守護者と知り合いになってればいざという時は協力が可能になる。


 基本レーシーさんのことだから酒場で飲んだくれてるか博打してるかだろうけど。

 身ぐるみ、本当に剥がされてしまわないか心配でなりません。国王様、この女には護衛付けとかないと危険ですよ。

 そうだな。国王さんにお願いするようにアルセでジェスチャーしておこう。伝わるかな?


 城門で門番していた兵士たちにセキトリ王子帰還の報告をすると、直ぐに伝言役が一人走って行く。ただ、物凄く疲れているのかふらっふらだ。走っているというより酔って千鳥ってる感じだろうか?

 きっと、リファインさんの特訓を強制的に受けさせられたんだろう。可哀想に。


 しばらく待っていると入城許可が下りたようで、将軍と思しき男の人がやって来てセキトリ王子に一礼。

 さらに勇者である唯野さんと息子さんを見つけてよくぞご無事で。と泣きそうになっていた。

 なんというか忠臣って感じのおっさんだ。一応近衛騎士団の一人らしい。


 おっさんに案内されるようにして城内へ。多分余計な部屋に行かないようにとの配慮なんだろうけど、残念。既ににゃんだー探険隊は各所に散って探索を始めてしまっていた。

 あ、残念だけどレーニャはレティシャと留守番ね。兵士さんがカレーを地面にすりつけているレーニャに気付いて取り押さえようとしてカレー塗れになっていた。

 気付いたチグサによりレーニャは城門でお待ちいただくことになった。仕方無い、とレティシャさんが一緒にいることにしたらしい。ネズミミックと待っとくんだってさ。


「セキトリ王子、アルセ姫護衛騎士団が参りましたっ!」


 謁見の間前の扉で、おっさんが叫ぶ。

 向こうで入れと声があったのだろう。

 自動というか、手動で観音開きの扉が開く。

 謁見の間側に居た兵士が開いたようだ。


 赤い絨毯が敷かれた道を歩き、数段高い場所にある玉座に座った国王の前で皆が傅く。

 傅いてないのは勇者である唯野さんとその息子。そして同じ王であるルグスさんとよく分かってないアルセでした。


「お、おい、お前達、頭を下げぬか、我が国の国王陛下の御前であるぞ! 無礼であろう」


 宰相かなにかだろう。少し小皺が出てきたおばさんが慌てて叫ぶ。

 驚いた唯野さんが慌てて皆と同じく傅くが、隆弘は慌てる事なく国王の元へ歩いて行くと、玉座の横に立って僕らに振り向いた。


「ふむ。唯野どのは別に傅く必要はないのだが。我が国に呼んだ勇者であるのだ」


「そこではございません国王陛下、あそこの魔物の事です。あの骸骨は何なのです。知恵を持たぬならまだしも、話が可能なことは既に報告を受けております」


「ふん。たかだか一国の王にこの我が頭を下げるわけが無かろうが。我は不死王。同じ王族がなぜ傅かねばならん?」


「え? アレが……不死王?」


「よいよい。アルセ姫護衛騎士団の逸話はよく聞いている。アルセ殿は生神。傅く必要などなく、その配下である不死王もまた同じ王族であるのならば不敬ではあるまい。他国に傅くということは実質他国に下る意味にもなるからな」


 ドドスコイの国王はそれなりに話が分かる人らしい。


「ちょ、ちょっと。それじゃ私も傅いた意味ないじゃない! 私は下ったつもりないわよ!」


 慌てて立ち上がったのはレーシー。空気読まない女の動きに宰相さんがむっとした顔をするが、レーシーの地位がわからないのでうかつに窘められないようだ。


「ふむ。折角だ、皆の紹介をお願いできるかな? 宰相兼宮廷魔術師であるシコフミも納得しておらんようだし。全員、面を上げよ」


「では、私から。……といいたいところですが、まずはリーダーの紹介からと致しましょう。リエラ」


「え? わ、私からですか? あ、あの。えっと……アルセ姫護衛騎士団のリーダーをしております。リエラ・アルトバイエと申します、です」


 いきなり話を振られてテンパッたリエラさんが顔を真っ赤にして告げる。

 思わず写メ取っちゃったよ。しどろもどろのリエラ可愛い。


「私はアカネ・トドロキ。アルセ教枢機卿でございますわ。それで、そちらで立ったままでいらっしゃる少女が我等アルセ教の神、アルセ様です」


「お」


 王様相手に笑顔で右手を上げて元気よく答えるアルセさん。

 アルセは今日も平常運転です。そして国王さん、なんで普通に「よっ」って同じ行動で返してるの? なにこの陽気な御爺ちゃん。本当に国王か?

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