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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その家族を守る英雄がいることを彼らは知らなかった
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その兵士達がどうなるのかを彼女たちは知らない

「言いたい放題言いやがって……」


 あ、あいつ多分新人だ。

 思わず言っちゃったんだろう。ついつい呟いた言葉をリファインさんは聞き逃さなかった。


「ふん。任務も満足に行えん駄犬が負け犬の遠吠えか? 無価値だな」


「い、言わせておけばっ」


「おい、止めろっ」


 慌てて隊長さんが止めるが、男は剣を引き抜き走り出してしまった。

 男が向かったせいで他の兵士達も数人がリファインに向って来る。


「ふん。プライドを刺激されて一著前に怒ったか。だが貴様等のプライドなど砂の壁と同意。温いっ」


 剣を引き抜き、ぶぅんと一振り。平らな部分で兵士の胴をなぎ払う。

 今、べきっと音したぞ。

 ふっ飛ばされた兵士がごろごろと地面を転がり気絶したおかげで、襲いかかろうとしていた他の兵士達が青い顔で足を止めた。


「どうした青二才共。たった一振り、しかも弓兵の大剣に恐れを成したか?」


 リファインさん、止めたげて、そろそろ皆顔が青くなってるよ!?


「お、お怒りはごもっとも、さらに精進させますゆえ、何卒怒りをお鎮めくださいませんか?」


「リファイン。そろそろ許してあげましょう。彼らも国のために働いてるみたいだし」


「そ、そうです。我等は勇者様が消えたということで総動員で各地を探しておりまして、新人に門番を任せてしまったので、その……」


「言い訳にもならんな。国の守りこそ最大の難所。ここを守らずして何処を守る? 門番に一番信頼できる者を配せずしてどうする? これは指揮官の失態か? お前の能力不足か? ならば貴様は指揮官に向いていないと自分で告白するのだな?」


「え? い、いえ。あの、その……」


「どうした? 配置ミスはお前の失態なのだろう? ならば指揮官失格だ。引退した方がいいのではないか」


 もう、もうやめようリファインさんっ。これ以上兵士さんたちイジメないでっ。

 僕はアルセを連れてリファインの前に躍り出ると、アルセの両手を開いて兵士達を守るように立ちはだかる。

 皆が驚いた顔をする中、リファインの前に連れ出されたアルセはえー、私が止めるの? といった顔を僕に向けた後、仕方無いなぁ。とリファインに視線を向けた。


「何ですアルセさん。これはこの国の騎士の失態で」


「お」


「?」


 アルセはいいこと思いついた。と言った顔をした後、リファインに不折れのネギを差し出した。


「これは……まさか、そういうことか!?」


「え? ど、どういうことですか?」


 疑問に思った皆を代表してリエラが恐る恐る尋ねる。


「不甲斐ないのなら、鍛えればいい。そう言うことなのだろうアルセ。ああ、そうだ。二度とこういうことがないよう私が、エンリカ教官を真似てお前達を立派な戦士に鍛えてやろう」


 え? やめて? それめっちゃ野性味あふれるガンホー軍隊設立フラグでしょ?


「よし、ではリエラ殿。私はしばらく兵士達を指導して来ます。用事が済んだ頃に兵舎の方に迎えに来ていただけますか? それまでに皆、愛国心ある立派な戦士ソルジャーにしておきましょう」


「あー、うん。お手柔らかに?」


 付いて行けてないリエラたちを放置して、リファインさんが兵士達を無理矢理引き連れ去って行く。

 門番にはリファインが勝手に決めたベテラン兵士二人が付くことになったようです。

 二人は門番として指導を受けなくて良いことにふぅっと安堵の息を吐いているが、交代した後でどうなることか……アルセ、本当にこんなことでよかったの?

 あ、もうどうでもいいやって顔してるね。


「とりあえず、ギルドに顔出す前に食事をしましょ。折角だからそれなりに有名な店に行きたいわね。どっか知ってる?」


 アカネの言葉に誰も答えない。そりゃそうだ。この国のこと知ってるの殆ど居ないし。勇者達もセキトリ君も王城暮らしだから下町の事は分からないよね。

 なので、適当な街人捕まえて聞いてみたところ。大通りの一角に居を構える大型酒場の『大蛇の酒樽』という店を教えて貰った。


 大蛇の酒樽に向うと結構な賑わいを見せていた。

 木造建築の室内はモダンな様相っていうんだろうか? もはやザ・酒場っていう感じで、赤灯色とでも呼べる灯りが数個灯っているだけの薄暗い酒場だった。ただし、空間が広いので沢山の人が入っていてもそこまで狭さを感じない。

 数人の女性がスタッフとして忙しなく移動し、尻を撫でて来た客にヤクザキックしていたり、持っていた食事をぶつけて一昨日きやがれとか言っていた。

 危ない酒場である。


「いらっしゃいませ。何名様ですか?」


「そう言えば何名になるのかしら? 22とレーニャとにゃんだー探険隊用のミルクかしら?」


「いや、我は食べんから21だな」


「いいえ、22よ! ミーちゃんの食事があるもの!」


「えーっと、じゃあ22名+ミルク六つお願い」


「了解しました。あ、でも動物の入店は……」


「我が見ておく。外に待たせておくから問題は無い」


「わ、分かりました」


 魔物連れはなかなか居ないようで、そういう者を連れて来た時のマニュアルが無いらしい。

 一応毛が抜ける動物系魔物と、歩くだけで汚れるレーニャだけは室内に入れなかったが、他のメンバーは入れたようだ。レーシーさん、初人間食。どんな反応するか楽しみです。

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