表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その森の守護者の賭博好きを僕らは知りたくなかった
911/1818

その遠距離系格闘少女の出現を彼らは知りたくなかった

「て、テッテちゃん……その……」


 あまりの変化に声を掛けられないでいる唯野さん。

 図鑑に載ってる変化を見てあわあわとしている。

 予想外過ぎる変化でもはや誰も何も言えない状況だ。


「確かに……バグらせろって言いました。どんな変化も受け入れるつもりでした。でも……でもぉっ、成長停止は酷すぎるですっ!!」


 怒るとこそこだけ!?

 いや、確かに分かるけど!


「どうしてくれるです! 一生この姿のままですか!? ぼんきゅっばんに成れないって理解したときのこの絶望、どうしてくれるです!?」


 だから、君が望んでバグ受けた訳だから、僕にはどうしようもないよ?


「バグを、納得いくバグを所望するです!」


「それは、止めた方が良いです」


 僕に喰ってかかろうとするテッテだったが、唯野さんが引きとめる。

 そこでテッテの行き場の無い怒りが唯野さんへと向かう。


「どうしてですか!?」


「いえ、バグというのは、このステータスを見て分かるように何が起こっても不思議ではありません。アルセちゃんの御蔭か、幸いにも致命的なスキルはありませんが……」


「成長停止は致命的です!!」


「そ、そうではなくて、その場から動けなくなるとか、地面に埋まるとか。移動したい方向に進まなくなるなんて事もあるかもしれません。いえ、そればかりか……この世界にまで影響する動作不良が起こるかも?」


「ふぇ?」


 この世界まで影響する。そこまではテッテも予想外だったのだろう。きょとんとした顔で唯野さんを見上げる。


「バグというのは私の居た世界では虫を露わす言葉なのですよ。昔パソコンという道具がいきなり動かなくなって。理由を調べると一匹の虫が内部で死んでいた。そこから、パソコンという道具が動かなくなること、プログラミングが操作不可になることをバグると言いだしたのです。つまり、バグとはそもそも実力を上げるものではなく世界を破壊する力と言えなくはないのですよ」


 ちょっと唯野さん。それだと僕がこの世界破壊しようとしてるみたいじゃないですか。流石にそれは嫌だよ。やらないよ。ねぇアルセ?


「お?」


 意味の分かっていないアルセが裾を引く。

 桃食べ終わったし戻ろう。みたいなことを言ってるみたいだ。

 呆然とするテッテを放置して僕らは皆の元へと向かう。

 気付いた唯野さんに促され、テッテもまた、僕らを追って来た。


「ば、バグって、そんな危険なものだったです?」


「ええ。ですから止めておいた方がいいと」


「うぅ、知ってたら止めてたです」


 泣きそうな顔をしながらも、皆に合流したテッテは明るく振る舞う。

 僕の事は秘密にしておくらしい。ええ娘やで。

 なんかほんと、バグらせたのが申し訳なくなってくるよ。彼女自身が望んだとしても。




「お、おおっ!? なんだよテッテ、それ何!?」


 レーシーが居なくなったので通常の出現率になった魔物達が普通に襲って来るようになったようだ。気を利かせて無襲撃にしてほしいんだけど、レーシーはその辺り指示出ししなかったらしい。

 遠目に現れたワーグウルフをテッテは拳を前に突き出し遠当て。一撃で倒したうえに牙を強奪したようで彼女の手元には牙が握られていた。


 凄いな。接敵する前に拳で迎撃だよ。

 テッテも自分の実力が確かに底上げされたことは理解したらしく。複雑な顔をしながらも牙を握った自分の手を見る。


「お兄ちゃん……」


「んー? どうしたテッテ?」


「私、悪魔と契約をしてしまった気分です」


「なんだそりゃ」


「強力な力を貰いました。ですが……失ったモノが大き過ぎるです」


 目を瞑り。悔しげに告げるテッテ。持っていた牙を握り潰した。その瞬間、オブジェクト強制破壊によりワーグウルフの牙が霧散した。

 まさに粉砕機にでも掛けたように粉になってパラパラとテッテの手から零れて行ったのである。

 これだけ見ると強力なんだけどなぁ。


「とりあえずは用事は済んだし、唯野さんの服が編み上がるまではここでキャンプかしら」


「そうですね。今のうちに新人さんたちの連携強化と唯野さんに剣術の基礎を教えておきますか?」


「そうね。折角だし……というか、テッテ、アンタなんかやったでしょ」


 アカネさん鋭い。まぁ、ついさっきまで接近オンリーだったテッテが突然遠当て使いだしてアイテム強奪し始めたんだから仕方無いんだけどさ。

 しかもあの顔からして僕がバグらせたのバレたな。


「あの、リエラさん。アカネさん」


 唯野さんは僕に頼った時のように、二人に話を持っていくことにしたようだ。

 アルセが引っ張って行ってたので唯野さんも二人に話す決心をした様子。


「今の私を変えるには、どうしたらいいでしょう?」


「何ソレ?」


 唯野さんが話出す。彼の弱音を僕は聞きたくなかったので別の場所に向ってみよう。誰のとこ行こうかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ