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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その不良系魔物の生態を彼らは知らない
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そのギルドマスターと受付嬢の上下関係を僕は知らない

「あー、バズ・オーク、クーフ。ありがとね。私、普通にカインのこと忘れてたわ」


「ほ、本当だ。カインさんなんか普通に気付きませんでした」


 ギルドにカインを連れて行くと、ギルドの一角でアルセを見ていたネッテとリエラが気付いて声を掛けて来た。

 酷いな二人とも。

 まぁ、自分が生存する事に必死になってただろうし、もう少し時間が立てば自然にあっ、そういえばカイン!? とか言った感じで思い出したんだろうけど、怒涛のイベントラッシュだったから仕方ないのだろう。

 ただ、彼女らが気付いた時にはカインは火あぶりにされた後だっただろうけど。


「とりあえず医務室に連れて行きましょ。コリータさん、お願いします」


 ネッテの言葉で再びカウンターで船を漕いでいたコリータが鼻提灯を破壊して起き上がる。

 彼女だけだよ。受付嬢で暇そうにしてるのは。

 おそらくこのギルド内ではお局様的存在なのだろう。

 皆、こんな体たらくな受付嬢を見ても何も言えてないのがその証拠だ。


 多分彼女のスキルが珍しいからギルドとしても働かなくてもその能力が手元にあるというだけで問題は無いのだろう。

 むしろ仕事で問題起こして解任という事態になる方が頭が痛いはずだ。

 多分、彼女は気付いてるよ。気付いているからサボりまくってるみたいだよ。

 この悪魔め!


 カインが医務室送りになっている間に僕はたらい回しにされて可愛がられているアルセをひったくる。リエラに何かさせるにもアルセがいた方が伝えやすいしね。

 アルセもちょっと疲れ気味だったようで、僕が引き挙げるとありがとう。みたいな笑みを浮かべて来た。


「ああ、アルセちゃぁ!?」


「行かないで~っ」


「俺の天使がぁぁぁっ」


 アルセ人気がヤバいです。

 ちょっとスキンヘッドのおっさん、そんな涙流すなようっとおしい。

 空を飛ぶように移動を始めたアルセに手を伸ばす冒険者たちにアルセは苦笑いで手を振っていた。

 アイドルでも目指してるのかなアルセ? ファンサービスが凄いぞ?


 カインが医務室に運ばれたので、皆が移動していた。

 そういえばバルスとユイアは?

 どうやら一度外に出て魔物の部位を売って来るそうです。戻って来ないところを見るに難航してるみたいだ。アンブロシアツリーなんて一度僕らが倒してきただけだからなぁ。流通もしてない魔物の身体だからどこが使えるかとか調べるのに時間が掛かるのかも。お金も後払いになるんじゃないかな?


「でも、よくわかったわねカインの居場所」


「バズ・オークがいたからナ。葉っぱ人間どもの集落で火あぶりにされる寸前だった」


「カインがねぇ。随分ピンチだったじゃない。よく無事で助け出せたわね」


「ああ。葉っぱ人間自体はあまり強くなかったからな。それに、結び目が甘かったのか勝手に解けていたしな」


「カインを縛ってた縄が? それは幸運というべきかしら」


 幸運ではありません、必然ですよ。

 と、僕は医務室に行く予定は無いのだよ。

 アルセを使ってリエラの肩を叩く。


「ん? なにアルセ……ああ、どうしたんですか?」


 アルセに振りむいたリエラ。アルセが宙空に浮いているのに気付いて僕に気付いたようだ。

 僕はアルセの身体を動かし話があるみたいなジェスチャーをしてみる。

 密談でありますリエラさん。どこかいい場所ありませんかね?


「あのコリータさん、どっか会議に使うような場所で開いてる部屋ありますか?」


「ん? えっとそれでしたら……あ、そこのギルドマスター、ちょうどいいわ。この人たちを医務室に案内して!」


 ぶらつくように通路を歩いていたギルドマスターを見付けたコリータさんが医務室にカインたちを案内するのを丸投げした。

 本当、この人とギルドマスターの関係ってどうなってるんだろうか?

 どっちが上司?


 ギルドマスターはまぁ暇だしいいか。というノリで皆を案内していった。

 バズ・オークが一度だけ不審そうにこちらを振り向いていたけど、そのままネッテについていった。

 ホント、彼は僕に気付いているのだろうか? それとも警戒されてる?


「リエラさんが個室を使いたいってことは、あの透明人間さんの関連と見ました。これはこちらを優先するしかないですよね!」


「いや、あの……もしかして付いてくる気ですか?」


「当然です。新種さんの行動やらなにやら知りたいですから! 魔物討伐総合窓口係員として当然でしょう」


 そんな力強く言われても、僕の技能なんてこの謎のポシェットくらいしか自慢できるのありませんよ。この能力もついさっき気付いたようなもんだし。

 もっと早くに気付きたかったよ。というか教えといてよコリータさん。


 先導するコリータの背後を歩きながら、そんな恨み事を声に出す僕だった。

 どうせ誰にも聞かれやしないし、いいよね。

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