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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第二話 その森の守護者の賭博好きを僕らは知りたくなかった
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その噂話の対象にされていることを彼女は知らない

「ただいまっと」


 マホウドリから降りたアカネがキャンプ中の僕らの元へと戻って来た。

 戻って来た頃には既に月明かり差し込む夜中となっており、丁度皆で食事をしようと焚火のまわりに座っていたところでした。


「おかえりなさいアカネさん。お二人は?」


「エンリカんとこ送って来た。これでうまい具合にトラウマ解消できればいいんだけどねぇ」


「大丈夫かなぁ。トラウマ……悪化したりしそう」


 キャンプファイヤー囲んで皆でご飯。本日はリュックラビットの丸焼きからナイフで削いだ肉を皆で分けあい、周辺の森で取った果実のサラダに乗っけて食べてます。

 一応、ルティシャさんやアカネが毒の有無を確認したモノだけを使っているので問題はないと思うんだけど、キノコが、なぁ。何この毒々しいキノコ。本当に食べて大丈夫?

 某配管工のゲームの残機アップみたいな色してるんだけど。


「あの、トラウマ悪化って、リファインたいちょーたち大丈夫です? そのエンリカさんってそんな危ない人なんですか?」


 二人の会話に興味を覚えたのだろうか? テッテが寄ってきて尋ねる。


「エンリカさんは優しい人よ。普段は」


「普段は、ねぇ。夫と子供が絡むと鬼女よ鬼女」


「き、鬼女?」


「夫と子供が絡むということは、愛夫家なのですか?」


 唯野さんも話題に入って来た。良い奥さんですね。みたいに言ってるけど、アレは、いい奥さんなのだろうか? 夫を逆レイプした肉食系エルフだぞ?


「そうねぇ。愛夫家というか、嫉妬深いというか。ヤンデレ?」


「……え?」


 意味の分かっていなかったテッテが首を捻り、何かを察した唯野さんのメガネがずれる。


「元々エンリカさんの方からバズさんに惚れて結婚まで漕ぎ着けちゃいましたからね。夫に対する執着でバズさんの幼馴染と殴り合いしたりしてますし」


「御蔭で今じゃ女拳帝とか血染めの拳帝王とか言われてるわね」


「何その人! 会いたいっ」


 拳系少女テッテはエンリカが自分の目指す先に存在する帝王だと聞いて興味津々、でも止めた方が良いよ。現実知ったらトラウマにしかならないから。


「そ、それは……夫の方、大丈夫なので?」


「バズ? まぁ、あいつはあいつで愛妻家みたいだから問題無いんじゃない?」


「ホント、最初はいろいろ大問題だったんですよ。エルフがオークと結婚するとか、前例なかったですし」


「はぁ? オークと結婚!?」


 何でそこでコータが参戦するの?


「エルフが言いだすってことだからエンリカさんってエルフでいいんだよな。普通逆だろ。オークって言えば臭い汚い気持ち悪いのあの、豚面の魔物だろ!?」


 臭い汚いとコータが言った瞬間、なぜか唯野さんが胸を押さえてダメージを負っていた。

 オークって面じゃないけど結構言われていたらしい。可哀想に。


「僕聞いたことありますよ。確かセルヴァティア王国の森に住んでいるんですよね。ブラッディーオークマザー。あの森に住むオークに手を出してはならない。オークマザーの逆鱗に触れるって」


「あらあら。それ、私も冒険者ギルドで聞いたわ」


「マイネフランとセルヴァティアじゃ有名な話だからねぇ。ギルドに来た冒険者はほぼ確実に聞かされるはずよ」


「アカネさん。最近は二つのギルドで強制講習会が開かれてますよ」


 ネズミミックの頭を撫でながら話に参戦するレティシャ。いつの間にレーニャから取り出したの? ネズミミックも満更では無さそうな顔をしてやがる。


「講習会?」


「はい。無知のまま森に入って被害に遭う冒険者が結構居たみたいで、被害を減らすようにわざわざ周辺の危険な場所共々紹介するそうです。新人冒険者と久しぶりに街に来た冒険者にはほぼ確実に行われるそうです」


「エンリカさん、迷惑掛けてるなぁ……」


「まぁ、被害が出るよりは良いんじゃないですかリエラさん。エンリカさんなら子供に傷が付きでもしたら相手を殺しかねませんし。今の王国じゃエンリカさん牢屋に入れる実力すらありませんから。下手に刺激したら国滅びかねないですし」


 ケトル参戦。ごもっともな言葉にリエラは苦笑いしか返せない。

 あの辺り連動してるからなぁ。エンリカが動けばオークが動くだろうし、仲間である辰真も友情参戦するだろうからツッパリ共がバイク乗りながら全員で現れるだろうし、そうなればレディースも参戦して、やっぱり友情ってことでスマッシュクラッシャーたちも参戦して来てアルセ姫護衛騎士団仲間としてクーフ達も参戦しそうだからなぁ。

 触らぬ神に祟りなしだ。もう、いっそあの森での戦闘行為禁止した方が良くね?


 皆さんエンリカの話題でなぜか盛り上がり、そのまま深夜まで話が続いていた。

 アルセはしばらくその話題を側で聞いていたのだが、そのうち船をこぎ出してぷぅぷぅと鼻提灯が……思わず激写してしまったけどこのままにするわけにはいかなかったのでテントの方に連れて行き寝かせておきました。アルセの寝顔可愛い。カシャ。

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