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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第十一部 第一話 その新たな出会いがあることを僕らは知らなかった
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その隠した理由を僕は知らない

「アマンダ・ロックフィールです。新人として紫炎蜉蝣に来ました。クラスは魔法使いです」


 はいダウト!

 こいつテイマーのこと言わなかったぞ。

 怪しい。怪しいよアルセ。こいつには近づいちゃダメだからね!


 そんなアルセは何も知らずに隣にいるウミネッコ提督と楽しげに会話中である。

 何の話してるのかな?

 おー、みゃー。の応酬可愛いなぁ。


「ハイネスくん、貴方の番よ?」


 リファインさんに呼ばれたのは、頭を抱えるメガネ君。

 どうやら未だに現実が処理しきれずに混乱中のようです。


「あらあら」


 そんな様子を見たアマンダが手を口元に宛てて声を漏らす。楽しげなのはなぜだろうな。この人は要注意人物だ。アルセ気を付けて!


「仕方無いわね。彼の名はハイネス・アランドール。魔導師らしいわ」


 アイスブルーの髪を持つローブ姿の青年は、年の頃十代後半といった感じだ。

 あのローブ、赤みがかっているのは火鼠の皮衣だからだそうだ。杖はエーテルセプターで、主に緑色の魔道書を使って魔法攻撃するらしい。あれ? 杖意味あるの?


 という感じで彼らの自己紹介が終わる。

 宝箱好きのルティシャさんを筆頭に、紫炎蜉蝣のリーダーリファイン、副リーダーメイリャ・エトワルテ、冒険したい年頃のコータとその妹イエローガールのテッテ。インテリメガネ系ハイネス君と要注意人物アマンダ。これが新たに加わった仲間たちである。

 彼らはしばらくアルセ姫護衛騎士団に合流して冒険をする。


 リファインから聞いた話から察するに、彼らの問題点が改善されるまでは一緒に冒険してほしいということだ。

 目的は新人たちに草毟り以外の冒険をさせること。彼らの実力の底上げ。そしてリファインさんとメイリャさんのトラウマの除去。

 一番最後のが一番やっかいではあるかな。


「にしても、冒険ってすげーなぁ。まさか鳥型魔物の体内入って空飛ぶなんて体験する事になるとは思わなかったぜ」

 

 にししと両手を後頭部で組んで笑うコータ。テッテも大興奮でコクコク頷いている。


「本当に。アルセ姫護衛騎士団はぶっ飛んでいるってアレンさんが言ってたの分かる気がします」


「ちょっと、アレンの奴なんか失礼なこと言いふらしてないでしょうね」


 リファインの感想にアカネが反応した。


「んー、そうですね。あそこはバケモノぞろいだとか、一般人でも所属すれば一発逆転ありまくりだとか」


「あと、私達もチート化する。とか」


 話に入って来たのはメイリャ。必死に自己アピールしようとしている姿は健気です。

 よし、彼女もCGに収めまくっておこう。可愛らしい娘は大好きです。

 次はちょっと儚げな表情頂けますか? ああもう、声が聞こえないから表情のリクエストすらできない。


「きゃー、凄い。ネズミミック本物来たーっ」


 ルティシャさん、彼らのお守役として来た筈なんだけどなぁ。

 ネズミミックのせいであの人が役立たず化してしまっている気がします。

 誰だよ、人選したの。他の人寄こした方が良かったんじゃないか?


「あ、ちなみにルティシャさんは私達のお目付け役兼斥候役です。私達には斥候系職種の人がいないので」


 ああ、成る程。ルティシャさんのクラスは斥候だね。宝箱マスターとかあるけど、これはどうなの? まぁ、あの姿みたら納得なんだけどさ。

 あと、この人侯爵令嬢のクラス持ってんだけど。なんで冒険者になってんの?


 というか、令嬢には頭のおかしい人しか居ないんだろうか?

 僕は思わずセキトリの取り巻きを見る。ついでにアメリスを思う。

 うん、頭おかしい人しか居ないらしい。


「お?」


 アルセが不意にウミネッコに指示を出す。

 ドドスコイ王国近くにまで来ていたエアークラフトピーサンが旋回して森の一角へ向けてゆっくりと近づきだす。

 どうしたのアルセ。何か見つけちゃった?


「おわ、何だ!?」


「あ、見るですお兄ちゃん。森が近づいてる!」


「ええ!? これってもしかして墜落って奴じゃ……」


「あらあら」


「あはは。アルセが指示出ししてたから何か見つけたのかもしれませんね。とりあえず着地はせずに空軍カモメたちに乗って降りましょう。アルセ、用意お願い」


 おっ、と元気よく答えたアルセが艦長席から跳ぶ。

 おっと危ないっ。慌ててアルセをキャッチ。たたらを踏んで後ろに居たルクルにぶつかった。

 「るぅっ!?」と驚くルクルを背中で押し倒す。

 丁度新人にカレーを振る舞おうと無数のカレーライスを取りだし差し上げるつもりだったようで、カレー達が宙を舞う。

 放物線を描いたカレー達は、迷うことなく渡すつもりだった人物の元へ、上下逆に落下した。

 

「うあっちぃっ!?」


「きゃーっ、お気に入りの服が黄色くなった!?」


 手でキャッチして思わず投げ捨てるコータ、キャッチしようとするも素通りして服にべチャリと付いたテッテ。黄色い服が黄色くなった。というより茶色に染まった。


 リファインとアマンダは華麗に避け、メイリャへ飛んだカレーは何故かリエラの顔面に辿りついた。そしてハイネスの後頭部にも直撃し、大惨事に発展した。

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