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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その教国で起こった壊滅と奇跡とバグを彼らは知りたくなかった
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その全てが放置されたことを彼らは知らない

「じゃあ、ここは僕の部屋になるんですか」


 神の間に入ると、丁度猊下が電話越しに驚いている所だった。

 多分テレビ見た後に直接電話会談してるみたいだ。

 お、アルセ発見。何してんの?


 アルセは電子レンジを興味深そうに見てました。

 何を思ったか鞄からチューチュートレインを取りだし電子レンジの中へ。

 何ここ、何ここ。と電子レンジの中で回りだすチューチュートレイン。笑顔のアルセは1分を選択してスタートボタンを……僕はダッシュして即行止めました。


 おそらく回転する台の上で回るチューチュートレイン達を見たいと思ったんだろうけど、これ熱が出るから、中のネズミなんか大爆発だからね!

 意味が分かってないアルセが膨れているけど、ダメ。これだけは酷い結果にしかならないからダメです。


 チューチュートレインたちを救出して代わりに隣にやってきたルクルの冷たいカレーを貰ってレンジでチン。

 アルセに見せてやる。

 感心したように眺めるアルセは、カレーライスが熱くなっていることにようやく気付いた。

 この電子レンジがどういうものかようやく理解したようだ。

 ポケットの中のチューチュートレインを見て僕を見る。

 困ったような顔をしているが、助けてくれてありがとう。そう言っているように見えた。

 僕はアルセの頭を撫でておく。


 大丈夫だよアルセ。無知だっただけなんだから。学んだ君はさらに賢くなれたんだ。

 次からは……あの、アルセさん?

 アルセは自分の頭に生えた花から葉っぱを一部ちぎり取り、電子レンジでチン。

 あの、アルセさん、何を?


 取りだされた葉っぱは、しなっしなになって熱く湯気を出していた。

 ソレを見たアルセはようやく納得したようであっつあっつと葉っぱの切れはしを持ち替えながらポーイと放り投げる。アツアツ葉っぱは何故か後ろにいたリエラの服の隙間に落下し、背中の方に落ちて行った。


「あっつぅぅぅっ!?」


 あああっ!? リエラが大変なことに。

 僕は慌ててリエラを連れてシャワールームに、防具を脱がせてやると、あまりの熱さに耐えきれなかったようで、服を脱ぎ去る。


「あっつっ、もう、アルセのバカぁ。ひりひりするよぉ」


 おおお、ブラこそしてるけど乙女のやわ肌が目の前にっ。


「うぅ、火傷になってないかなぁ。魔銃で回復しとこ」


 回復魔弾を打ち込み、ふぅっと息を吐く。

 服を渡してあげると。ありがとうございます。と服を広げ、着替え……そこで違和感に気付いた。

 一体誰に服を渡されたのか。見えない以上そこに居るのは一人しかいない。


「ちょぉぉっ。何で一緒に入って来てるんですかっ!!」


 いやぁ。思わず。いいもん見させていただきました。

 とりあえず両手を合わせて拝んでおきました。


「う~っ。もう、なんでこんな事に、って、まだ居るでしょ、早く出てってくださいっ」


 耳まで真っ赤にしたリエラさんに追い出された。

 まぁいいさ。既にCGは激写した後だからね。

 部屋に戻ると、アルセと猊下は冷蔵庫を調べているところだった。


 プリカとパイラが漁ってたからもう何も無いだろ。

 どうやら冷たい冷蔵庫の中が気になるようだ。

 あの辺りなら放置しといても問題無いか。


「あ、ここにいたのね」


 アカネを筆頭に皆が部屋に入ってくる。

 あ、そっか。アカネも異世界人だから普通にこの部屋入れるんだ。


「るー?」


「リエラは?」


 何か用? そんな顔で声を出すルクルにアカネが尋ねる。

 ルクルは「るー」とシャワールームに指先を向けた。

 丁度リエラが着替え終えて出てくる。


「あ、皆さん」


「そろそろ帰りましょ。阿呆が問題起こしたせいで神官長と神殿長が凄いことになってるのよ。何か言われる前にトンズラするわよ」


「あの、神殿長と神官長って、二人はどうなったんですか?」


 不安げに話に割り込んだのは猊下。

 アカネは天を仰ぎどう説明しようかと考え、そして言った。


「神官長が銀色になり、神殿長は男の娘になったわ」


「は?」


 理解できないだろうね。僕も良く分かりません。

 とりあえず、帰ろっかアルセ。結局一日も掛からなかったね。

 アルセの手を掴んでアカネの元へ行くと、帰ることに気付いたアルセは猊下に一度振り向く。

 さよなら。というように大きく手を振るアルセに、別れを察した猊下は寂しそうに涙目になりながらも、笑みを作って手を振った。


「アルセ、よかったら、また遊びに来て。君なら僕は、いつでも歓迎するよ」


「おーっ」


 くぅ、僕は悔しい。悔しいけど、男友達がアルセに出来た事は素直に喜ばなければならないようだ。

 アルセ良かったね。血涙流しながら、僕はアルセに新しい友達が出来た事を素直に、うん、素直に喜んだ。


 なにやら一階はお取り込み中だったようなので僕らはそのまま外に出て街の外でエアークラフトピーサンを呼んで乗りこむ。折角なのでリフィとメリエをリエラが誘ってみたのだけどリフィはまだ仕事があると、この近くの海に戻るそうだ。

 メリエも次に向う場所があるらしいので残念ながら乗るのを断念していた。 

 少しだけの邂逅に感謝して、笑顔で分かれる。

 さぁ、帰ろうかアルセ。

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