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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その教国で起こった壊滅と奇跡とバグを彼らは知りたくなかった
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その神像が後に何と呼ばれるかを僕は知らない

 猊下は起こっている状況に付いて行けていなかった。

 アルセが何かを口にした瞬間光の柱を立ち上らせ、用事は済んだと言うように巨大な飛行物体から降りて来た空軍カモメの背に乗せられて空を飛び、グーレイ教国へと戻って来たのである。

 それだけでも未知の体験だった。


 まさか戻ってきたグーレイ教国の教会本部が崩壊しているなどと、誰が予想できただろう。

 しかも本部前に立っていたグーレイ像は目線と下半身にモザイクが入っている。

 その後ろには本部が崩壊したせいで出現した祈りをささげた場所に有ったグーレイ像。


 あの迫り来るような像である。

 こっちはバグの被害を受けていないのだが、嫌な予感しかして来ない。

 うん、バグはもう打たなくてもいいかな。ほら、神官長も神殿長も改心したみたいだし。


 それに猊下、よかったね。鳥籠壊れたよ?

 呆然とする猊下は力無く膝を突く。階段に膝付くなよ。危ないぞ。

 何が起こったのか分かっていないみたいだけど、ほら、アルセ神様の神罰らしいよ?


「やっぱりいた。リエラさーん」


「え? あれ? リフィ? それに……メリエさん!?」


「お久しぶりねリエラ。元気だった?」


「はい。メリエさんもご健勝のようで。何してたんですか?」


「神様に導かれるままに各地を転々とね。どうやら近いうちに災厄が世界を覆うらしいの」


「災厄?」


「ええ。無数の鳥から破滅の使者が、大地を押し潰す無慈悲な獣が地面を均し、海をも制する悪意の軍団が世界を絶望に染めると」


 ……鳥……エアークラフトピーサンとカモメたち。大地を押し潰す……確か辰真がロードローラーッぽいの貰ってたよね? 海はリフィの管轄でしょ?

 あれ? おかしいな、アルセ軍団が脳裏を掠めるような予言なのだけど……


「まだしばらく時間があるみたいで、今は別の導きがあるからグーレイ教で一つの宗教に変化の兆しがあるとでたので」


 まぁ、変化というか崩壊というか。

 ん? 何だあいつ?

 祈りを捧げる一団の中、一人だけこちらを向いて怒りのまなざしを向けている奴がいた。


 ルクルさんと一緒にアルセと猊下の護衛をしていたあの厳つい神官さんだ。

 そいつはアルセに視線を合わせ、ぐっと拳を握る。

 まさか、と思った瞬間、本当に駆けだした。


 僕は咄嗟にバグ弾を溜め、アルセの前に躍り出るとバグ弾を打ち放つ。

 男に着弾する瞬間だった。

 おっさんはヘッドスライディングするようにアルセに土下座しながら階段を落下して来た。

 慌てて僕が避けると、丁度僕がいた辺りまで落下して来てアルセの手前で完全な土下座に移行する。

 

「頼む。私はどうなっても構いませぬ。猊下にも、神官長にも神殿長にも罰は与えないで頂きたい。彼らとてグーレイ神を心より信望するモノ。行き過ぎたとはいえ神のためと思い動いた結果でございます。怒りはごもっとも、しかし、しかしながら何卒ご容赦を! 寛大な処置をっ!!」


「お?」


 そんな土下座する男に、意味が全く分かっていないアルセさんは首を捻るしか出来ない。


「きゃあぁぁぁぁ、何よアレっ!?」


 アルセに視線を向けていたメリエさんがふと、上を見上げた時だった。

 予想外の物を見て叫び声をあげていた。

 なんだっと僕もそちらを見れば……!!?


 僕が放ったバグ弾は着弾していたようだ。

 神官たちが祈りを捧げる神像に掠ってその後にあった像に直撃した模様。

 何故か瓦礫を落下させながら動き出した二体目のグーレイ像はまるで巨神兵とでもいうように立ち上がる。


 さらに手前のグーレイ像もバグ弾の影響で股間のモザイクが前方に向けて伸びた。

 そして噴水のように水が放出。まさに巨大小便小僧である。

 うわ、水がここまで来た。階段状だから来るの速い。えんがちょっ。


 怒号と悲鳴が飛び交い噴水から逃げ出す人々。像から漏れる水は一応成分的には普通に水なようなのだが、というかむしろ状態異常回復属性の水ですねこれ。

 雨避けの側溝を越えた場所に避難した僕らの目の前で、動き出した神像が手前の小便小僧型グーレイ像に覆いかぶさる。

 まるで後ろから少年のオシッコを手伝うお母さんといった姿になると、動きを止めて普通の神像に戻ってしまった。


 ……なんだこれ? なんか物凄いヤバい姿なんですけど。というかもう全部モザイク掛けた方がよくね?

 神官たちは神像のアレから放出される水に濡れながら自分たちが信望していた神の姿を見て呆然としている。

 うん、まぁ、なんというか……


 ぽんっと僕の肩が叩かれた。

 背後にはアーモンド形の眼が怒りに震えている。

 お、おやグーレイさん、下界に何の御用ですかな?


「やってくれたね……エロバグ君」


 押し殺した声で告げるグーレイさん。

 いや、あの、コレ僕のせいじゃないよね?

 ほら、神官たちが暴走したせいでしょ、僕は違うよね、ね?

 それにほら、もう、アレどうしようもないでしょ?

 もはやある種の前衛芸術作品と化したグーレイ神像、後に神の恵み『はい、しーっ』と呼ばれるこの神像は、グーレイ神を代表する像の一つとして有名になっていったとかなんとか。

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