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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その教国で起こった壊滅と奇跡とバグを彼らは知りたくなかった
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そのタイミングの良さを僕は知りたくなかった

 グーレイ教国にやってきた僕は丁度好い具合に見掛けたリアッティとアンディに軽くバグを打ち込んでおく。

 アンディの頭から髪の毛が抜けだしリアッティの服が消え出したけど、今はどうでもいいので放置してそのまま先へと進む。

 おお、リフィとメリエじゃん。なんでここにいるの? まぁいいか。どうせしばらくすれば合流するだろ。それよりも……


 僕が教会の階段を上がると、丁度アカネ達が教会から脱出して来た所だった。アカネさん、僕が来た事はバグソナーで知っていたらしく、こちらをみて掌を上げる。

 まるで後任せた。といったジェスチャーだったので、僕はその手に自分の手を叩きつけてパンッと音を立ててやる。バトンタッチである。


 さぁて丁度良い具合に神官長と神殿長が目の前に居るし、両手にバグ弾溜めて……発射!

 もはや相手が何かを言ったりするより早く、僕は即座にバグらせることにした。

 のだけど……


 突如、音を立てて教会が崩落した。

 僕は発射した瞬間に合わせたかのようなタイミングの良さ。

 そして神官長と神殿長がその音に驚いて後ろを振り向く。

 タイミング良く僕の放ったバグ弾は二人のすぐ側を通り過ぎてはるか後方へと飛んで行った。


 は、はずした!?

 崩れ去る教会の中、なぜかグーレイ像だけは生き残ったようで、バグ弾はそのグーレイ像に着弾する。

 そして、目元と股間の場所にモザイクが現れた。

 ……あー、その。えっと……

 そこには本来何もなかったのだが、モザイクになっただけで何かエロスが漂ってしまう。


「ど、どうなってるんだ!?」


「グーレイ神様の像が!?」


 そして、さらにタイミング良くはるか遠くの森側から光の柱が立ち上った。


「な、何だアレは!?」


「あの方向は……神官長、アレは猊下が連れ去られた方角です!」


 厳つい神官の言葉に神官長は呆然と光を見る。


「まさか、まさかこれは……アルセ神の逆鱗……か?」


 え? どの辺りがっ!?

 崩落する神殿の隙間、プリカさんが食料手にして脱出して来た。

 こそこそっと呆然としている神官たちの後ろを通り側面を通り、アカネ達に合流する。


 さらに崩落する神殿を喰らいながらパイラさんが姿を現す。教会崩落の原因は奴のようだ。教会の柱を口に突っ込みながら、んぐんぐしている。エロさは全く無い。むしろグーレイ像のモザイクの方がエロい。


「こんな、こんなことが……有りうるのか?」


「わ、我等は何を敵に回して……」


「これが……神の力……?」


 違うから。バグと人災だから! というか、パイラ止めないとグーレイ神像まで喰いかねないぞ!? あ、いや、ようやく理性取り戻した?

 建物の瓦礫を摘まみながらパイラさんが呆然としている神官たちの横を通り過ぎアカネ達に合流した。


 あ、アルセの奴帰りのためにエアークラフトピーサン呼びやがった。

 遠方から現れる巨大空母と周囲を飛び交う空軍カモメの軍隊飛行。

 茜色の空に浮かぶ様はまるで……


「な、なんだあの魔物の数は!?」


「こ、これは、この世の終わりなのか?」


「おお、神よ!? 我らが一体何をしたというのか……」


 涙ながらに祈りだす男達。神殿長と神官長以外は理由を知らないだけに恐慌状態で祈りだす。

 トサリ、膝を突く神官長。神殿長はあまりの衝撃に尻から階段に座り込み頭を抱え出した。


「し、神官長どうすれば……」


「わ、わからん。これは我等に対する神の裁き……なのか。我等は神の許容範囲を越えてしまった? ああ、なぜだ。なぜこうなった。こうなるまでなぜ気付かなかった」


 嘆く神官長はモザイク姿のグーレイ像に祈りを捧げだす。


「ああ、神よお許しを! このリパルツォ、今より心を入れ替え貴方様のために、誠心誠意働きます。アルセ教の神を弑そうなどとおこがましき考えも致しませぬ! 何卒、何卒信者たちへの神罰だけはお許しをっ!!」


 もはや祈りではなく涙ながらの懇願だった。

 うぅ、これはなんかバグらせるのが悪い気がしてくる。

 ああ、神殿長まで神官長の横に並んで祈り出したぞ!?


「わ、私も、このレイァールも心を入れ替えまするっ。我が溜めこんだ私財は全てグーレイ教布教のために、ですから、ですから何卒我等の家族に神罰を与えることはっ!!」


 空から空軍カモメに乗ってアルセ達が戻ってくる。笑顔のアルセが手を振って来たので振替しておく。

 元気そうでなによりです。


 リエラとルクルも、猊下も一緒だ。ついでにチグサたちも合流したようで全員一緒に戻って来ていた。

 リエラは階段に着地すると同時に僕の場所をルクルに聞いてやってくる。


「透明人間さん、暴走しちゃったんですか!?」


 ちょっと、人を危険人物みたいに。暴走ってなんだよ。やってないよ。ちょっとバグらせようとは思ったけど、ほら、未遂だよ。何もしてないよ。ホントダヨ?

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