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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その教国で起こった拉致を彼らは知りたくなかった
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その学園長からの呼び出しを僕らは知りたくなかった

 リエラが救世主(笑)となって数日後のことだった。

 放課後にボナンザ先生の元へ集まった僕たちに、ボナンザ先生が困った顔をしながら言ったのだ。


「あー、アルセよ。校長が血相変えて呼んどるらしいぞ。お前さん何やらかした?」


 アルセが?

 詳しい話は聞いてないそうで、とりあえず学園長室に向えということだった。

 一応、アルセ一人で行って話が分かるか微妙なので、ボナンザ先生はリエラに同行するように言っていた。

 まぁリエラがアルセ姫護衛騎士団のリーダーだからなぁ、でも、校長が血相変える程の事ってなんだろう?


 確かあの人って流通関係のこと教えてるぐらい世渡り上手なおっさんじゃなかったっけ?

 今直ぐ行った方が良さそうだったので僕とアルセとリエラ、ついでにルクルさんが普通にスト―キングしながら付いて来た。

 あの、ルクルさん、もう来てるのバレてるから普通に一緒に行きません? そんな追跡者みたいな……あ、あのおっさんと視線あったぞ。そして何故そこでサイレントバトルが行われるの!?


 まぁいいや、ルクルさんは適当にそいつと遊んでてください。

 僕らは二人を放置して学園長室へと向かう。

 扉を開いて入るときに周囲を調べてみたけど、ルクルさんたち付いて来てませんでした。

 まぁ、いいか。


「お、おおっ。来たかアルセ君」


「おっ」


 校長オーッス。みたいな感じに片手を元気よく上げるアルセ。

 その笑顔に癒されたのか、青い顔ながらも少し落ち着いた校長が自分の椅子にぼすっと座り込む。気のせいか、大分老けこんで見える。


「それで校長先生、アルセが何か致しましたか?」


「リエラ君か、いや。それが私にもよくわからんのだよ。ただ、先程これが使者から届けられてな。見てくれたまえ」


 受け取ったリエラが手紙という名の羊皮紙を見る。アルセが横から覗いているので、一緒に僕も覗いてみました。

 えーっと、なになに? 拝啓、コルッカ冒険者学校校長……ああ、これは挨拶文だな。名前とかどうでもいいから飛ばしてっと……


 ―― 貴殿の学園に在学する魔物にして神を僭称する存在、アルセを至急我が国に送る事。かの者に偽神の疑い有り。我が国にて真偽の確かめを行いたいため、費用はそちら持ちにて来られたし ――


 ……

 …………

 ……………………ぐしゃり


「な、なんだ!? リエラ君か? いくらなんでも握りつぶすのは……」


「え、いえ。私じゃないですよ!? あ、あわわ。どうしよう。お、落ち着いて……アルセっ」


 アルセと言ったけれどリエラが実際に落ち着くように言ったのは僕のようです。

 うん、大丈夫だよ。あはは。大丈夫に決まってるじゃないか。僕は至って冷静ですよ?

 ふーん。これグーレイ教国からなんだぁ。成る程、アルセが邪教の神と言いたいと。神様も信者も揃ってアルセやリエラや僕を敵にするんだね。


「す、ストーップっ!」


「はわっ!? な。なんでこんな場所に来てるんですか!?」


 僕が動き出そうとした時だった。突然扉が開かれて呼ばれてない生物が侵入して来る。

 銀色に光り輝くアーモンド形の瞳を持つそいつは、慌てた様子で僕らを引きとめるように両手を広げた。


「落ち付け君たち、今回の事に私は関わってない! ホントだからね! バグ使っちゃダメだよ。ホントだからね! 重要だから二度言うからね! それじゃ!」


 言いたい事だけ言い終えて部屋から出て行くグーレイさん。

 校長は意味不明な生物の出現に呆然としていらっしゃった。


「あ、あの、今のは?」


「え? えーっと、そのぉ。アルセの知り合いです」


 さっと校長から視線を背けたリエラさん。説明が面倒になったらしい。

 別にアレがお前達の信望する神ですがなにか? と言ってやればいいと思うよ?

 でも、神様が関係ないというのなら神様が今回出張ってくる事はないのだろう。

 つまり、好きに……ヤっちゃっていいんっすね?


「お、おおお?」


 どうしたのアルセ? なんか僕を見て戦慄したような顔してるけど?

 大丈夫だよアルセ。アルセに危険なんてないから、一緒に行こうね。グーレイ教国。ちょぉっと上層部か国がモザイク掛かるだけだから。

 問題は無いよ問題は。アルセはいつも通り遊んでればいいんだからね?


「なんだか嫌な予感しかしないなぁ。大丈夫かなぁ……グーレイ教国」


 リエラはなぜかアルセじゃなくて教国の方心配してるし。どうしたのリエラ? そっちは心配する必要無いでしょ?


「と、とりあえず校長先生、アルセ姫護衛騎士団のメンバー、公欠でいいですか?」


「そ、そうだな。向うメンバーを担任、いや、私に直接教えてくれたまえ」


「分かりました。明日にはご報告します。日時は明後日から……どれくらいかかるか分かりませんが一週間はかからないと思われます」


「構わんよ。とりあえず卒業式までに帰ってきて貰えれば、ただ、全員生きて帰ってくる事。これだけは約束してくれ」


「え? あ、はい。それはまぁ。むしろ教国の方が……いえ、はい。わかりました!」


 待っててくれよグーレイ教国。今、会いツブシに行きます。

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