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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第ニ話 じゃじゃ馬嬢を止める術を彼らは知らない
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メイドがいつからいたのか誰も知らない

 ティアラザウルスはこの森でもかなり巨大な部類に入る。

 本来、一匹相手取るだけでも危険過ぎる魔物だ。

 パーティー単位で闘うというよりは無数のパーティーが集まったレイドパーティーで討ち倒す存在だろう。


 が、そんな人数ここには居ないので、この魔物に退治するのは我らが一番の怪力を持つ頼れる男。クーフ大先生です。

 よっ。クーフ先生。素敵です。なんとか倒しちゃってください!

 というか、クーフが負けるようならネッテ達に勝ち目などない。

 にっちゃう・つう゛ぁいの一撃くらいしか手が無いだろう。

 そのにっちゃう・つう゛ぁいはアメリスに抱きしめられてボンレスハムみたいになっている。

 苦しくないんだろうか?


 ティアラザウルスの噛みつき攻撃。

 巨大な頭から繰り出される致死の一撃を、クーフは難なく柩を横薙ぎして叩き潰す。

 悲鳴を上げるティアラザウルス。

 すげぇや。柩という鈍器だけでも十分対応してるぞ。


 ぎゅるりと身体を入れ替え尻尾をクーフに叩きつける。

 さすがに危険と判断したのかクーフは柩を盾にして受け止めた。

 物凄い音が響きクーフが呻く。

 やっぱ独りで闘うのは無理があるか?


 そう思ったけど、杞憂だった。

 スラリ、尻尾の一撃を受け止めた柩を開きクーフがソレを取り出す。

 武器屋で手に入れた巨大剣、巨人殺し。


「悪いが、本気で行かせてもらうゾ」


 両手で剣を握り、クーフが構えを取る。

 嫌に手慣れた動きだ。昔は剣士か何かだったのかな?

 ティアラザウルスはソレに気付かず再度尻尾攻撃。


 巨体から繰り出される長い尻尾はまさに凶悪な鞭。

 そんな尻尾にタイミングを合わせて真下から切り上げるクーフ。

 巨大な剣が尻尾の中程に食い込み、そのまま上空へと振り切られる。

 血飛沫が舞った。

 巨大な尻尾が宙を舞い、くねりながら地面に落ちる。


 ティアラザウルスが怒り狂ったようにクーフに襲いかかった。

 その顔面に正眼構えたクーフの唐竹割り。

 迫り来るアギトを頭ごと真っ二つに切り裂いた。


 正真正銘化け物だ。クーフの握力から繰り出される一撃と大剣の重量のせいで分厚い頭蓋骨をもつティアラザウルスが真っ二つです。

 何コレ、超怖い。

 クーフに巨人殺し、まさに鬼に金棒の闘いでした。


 ティアラザウルスを屠ったクーフは油断なく周囲に視線を向ける。

 バルスとユイアはブラックドッグ、エンリカとリエラがレッドマンティス、バズ・オークとネッテがマダラオロチと闘っている。

 後は任せても何とかなるか。そう安心しそうになって、それに気付いた。


 追加で現れた魔物が二体。

 葉っぱ人間だ!

 にょきにょき言いながらこちらに来ると、クーフに槍を向ける。

 クーフが珍しく舌打ちしていた。


 どうやら休んだりアメリスの護衛に回る訳にはいかないらしい。

 素早く動く葉っぱ人間二人相手に、クーフは剣をしまって柩を持ち直す。

 断つよりも面の破壊力を取ったようだ。


「にょっき!」


 突き出された槍を柩で叩き折る。

 その一瞬の隙をついて一体の葉っぱ人間がクーフの脇を抜けた。


「いかン!?」


 真っ直ぐにアメリスに向い襲いかかる葉っぱ人間。

 誰かが庇う余裕はない。

 アメリスはそれに気付いて必死ににっちゃう・つう゛ぁいを抱きしめ身を縮める。

 にっちゃう・つう゛ぁいは反撃しようとしたのだろうが、アメリスが自分を抱きしめていることを認識したのか、困ったように視線をアメリスに向けるだけだ。

 目を瞑って身を縮めるアメリスはそれに気付かない。


 飼い主だとちゃんと認識してるのか?

 突撃すれば葉っぱ人間は倒せるけどアメリスの身体も無事じゃ済まない。

 それを理解して動かないのだろうか?

 とにかく、誰も動けないなら僕がやるしかない。


 咄嗟にアメリスに飛びかかった葉っぱ人間にアルセを抱えたまま体当たりをぶちかます。

 ちょ、アルセ、なんでそんなきゃっきゃきゃっきゃ喜んでるの!?

 葉っぱ人間は横合いからの見えない一撃で吹っ飛ぶが、直ぐに体勢を立て直しアルセに襲いかかってきた。

 って、僕武器持ってないよ!?


「アルセイデス、よくお嬢様をお守りしてくださいました! 後はお任せくださいっ」


 それは上空から唐突に降ってきた。

 アルセに飛びかかろうとした葉っぱ人間の真上からスカートを押さえて落下して来たメイドさんが両足揃えて葉っぱ人間を押し潰す。


「おや失礼。それはそうとお帰り下さい」


 と、一歩避けると無慈悲に蹴りつけクーフの場所まで葉っぱ人間を弾き飛ばす。

 それをクーフは迷うことなく柩で撃ち返した。

 「ぎょぺっ」と謎の言葉を残して葉っぱ人間が遥か遠くに消えさった。

 さらにもう一体の葉っぱ人間も柩の一撃で地面に沈み込む。

 ちょ、まるで杭を打ったように葉っぱ人間が地面に埋まってるんですけど!?

 パネェっすクーフさん!

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