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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第ニ話 じゃじゃ馬嬢を止める術を彼らは知らない
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ソレが大人しくしている理由を誰も知らない

「さて、後はメイドさんだっけ。どこに居るのかしら?」


「バズ・オークさんも余りあったことのない人なので匂いを覚えてないそうです」


「それは困ったわね」


 エンリカとネッテが困ったように天を仰ぐ。

 しかし、しばらく居ない間に随分アメリスさん懐きましたね。

 リエラの裾をひっしと掴んで離れようとしません。


 困った顔のリエラの頭の上にはミミック・ジュエリー。

 リエラはこれにも気に入られたようだ。

 背後では、重い荷物を見かねたクーフが柩にバルスの持っていた無数の蔦を入れていた。


 アイテムボックスと化している柩に興味津々のバルスとユイア。

 中に入ろうとしたバルスが嗜めていたけどアレは放置でいいや。

 バズ・オークは警戒中。皆が思い思いに行動する中、彼だけは真面目だった。

 まさに騎士の鑑です。


 その忠誠を一手に集める姫様は只今くるくる踊ってる最中だ。

 時折頭上の葉っぱが発光しているのはなんだろうね?

 皆その不自然さに気付いているようだけど指摘しないのは、まぁアルセだからそういう事もあるだろうと半ば諦めてるせいだ。


 ぴくん。と何かに反応するようにアルセが立ち止まる。

 指を咥えて一点を見つめたかと思うと、だっと走りだした。

 急いで僕はアルセを追う。よかった。アルセに注視してて。


 が、アルセは茂みに入っただけで直ぐに戻ってきた。

 その手には黄色のにっちゃう様が鎮座している。

 って、見つけちゃったよ!?


 当初の目的にっちゃう・つう゛ぁいである。

 ちゃんと耳にリボンが巻かれているのであのにっちゃう・つう゛ぁいだ。

 それを目にしたアメリスが思わず目を見開く。


 僕はアルセの肩を両手で持ってアメリスのもとへと向かう。

 アメリスがリエラから離れて飛び込むようにアルセに向ってきたのでアルセからにっちゃう・つう゛ぁいをぽいさせる。

 危ない生き物だからあんまり素手で触っちゃダメだよアルセ。


「にっちゃぁぁぁんっ!!」


 ひっしと抱きしめたアメリスはにっちゃう・つう゛ぁいの形が変わる程にギュッと抱きしめ涙を流しだした。

 あんなに抱きしめて、突撃攻撃されないんだろうか?

 今回、にっちゃうつう゛ぁいは嫌がる素振りは見せてない。

 ただ、ちょっと困ったような眼をしているだけだ。


「会いたかったよぉ。恐かったよぉ。うぐ……うわぁぁぁぁぁんっ」


 大声で泣き出すアメリス。

 周囲の森がざわめいた。

 人間の声に魔獣共がこちらに気付いたのだ。


 クーフとバズ・オークがアメリスを守るように武器を構える。

 ネッテも気付いて魔法の詠唱に入った。

 アメリスを中心にして円陣を組む冒険者たち。

 バルスもユイアもエンリカもリエラも、この時ばかりは真剣だった。


「全員心しろ。来るぞ!」


 クーフの言葉に反応するように周囲の森を掻きわけ姿を現したのは、ティアラザウルス。否、それだけじゃない。五匹の魔物、その殆どは見知らぬ魔物ではあるが、ティアラザウルスの他に見知った魔物が一種。


「アローシザーズ……」


 リエラが唇を噛みながら呟く。

 リエラにとっては初めに倒すべき依頼を受けた魔物である。

 そして、その鳴き声は周囲の魔物を引き寄せるといわれる警戒すべき魔物でもあった。


「エンリカさん、援護お願いします。ミミック・ジュエリー力をかして!」


「ちょ、リエラ、あなたはまだ……」


 おおお、リエラが、リエラが自分から打って出た!?

 一番先に潰さないといけない魔物であると、リエラが突出してアローシザーズに飛びかかる。

 その腕にはミミック・ジュエリー。

 息を吐きながら接敵と同時にアルセソードを引き抜く。

 少し距離があったが、そこはミミック・ジュエリーが伸びてアローシザーズを切りつける。


 凄い。なんか息ぴったりだ。

 よっぽど相性がいいんだろうな。ミミック・ジュエリーをアルセが見つけてくれてよかった。リエラが普通に闘っているよ。


 ガァっと悲鳴を上げるアローシザーズ。

 そんな彼に、ミミック・ジュエリーが返す刀で斬りつける。

 人では絶対に反応できない切り返しだった。

 現にリエラの腕はまだ技後硬直中だ。

 振り抜いたままの状態なのに、柔らかくしなったミミック・ジュエリーの御蔭でアローシザーズの首が落ちる。


 強い。強いよリエラ……じゃなくてミミック・ジュエリー!

 リエラも手応えを感じたらしく即座に飛び退き円陣に戻る。

 そこに襲い掛かってきた未知の魔物。


 カマキリだ。赤い人型大のカマキリである。

 リエラに向けて羽を広げて一足飛びに近づいてくるが、エンリカの放った矢に牽制されリエラに近づく前に矢を斬り飛ばして難を逃れる。


「レッドマンティス。ティアラザウルス、ブラックドッグ、マダラオロチか」


 バルスが呟く。その視線はブラックドッグに向けられていた。

 ユイアがフォローに入る。

 おお、本格戦闘の予感です!

 ブラックドッグ

  種族:死齎犬族 クラス:ブラックドッグ

 ・見る者に死を齎すと言われる死齎犬という系統の魔物たちの最下種。

 直に眼を見てしまうとじわじわと死に近づく効果の眼光を受けることがあるので危険種指定されている魔物。

  眼力で人を殺す以外は大した能力は持っていないので討伐ランクは低いが、森の中では初心者殺しで有名な魔物。深部に生息しているらしいが、稀に浅い森に出てくる。宣告の眼光を受け死の宣告状態になると教会でお祓いを受ける以外に直らない。

  群れることは無くほぼ単体で出現する。

  ちなみに、上位種にはボギー、ヘアリージャック、バーゲスト、デーモン・ドッグ、ヘルハウンド、黒妖犬などがいる。

 

  種族スキル:宣告の眼光

        噛みつき

        ひっかき


 レッドマンティス

  種族:マンティス族 クラス:レッドマンティス

 ・赤い体躯の人型大カマキリ。

 両腕を構えてじりじり自分の間合いへと入り一気に切り裂いてくる。

  火魔法を使ってくることもある。

 

  種族スキル:ラ・ギ

        ラ・ギライア

        バム・ドラ

        真空波斬二連


 マダラオロチ

  種族:オロチ族 クラス:マダラオロチ

 ・斑な毒々しい色の大蛇。

 毒をもっているのでポイズンポーションが必須の魔物。

  基本性能は蛇と変わらないがその体躯は人を丸飲みにできる程。

  一応、尻尾を持って旋回するように振られると直線形態になってしまい気絶するが、重いのでクーフくらいしか行えないと思われる。

 

  種族スキル:丸飲み

        毒噛みつき

        巻きつき

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