その兵士の行き先を僕らは知る気はない
とりあえず、神様帰って来なかったので僕らはダンジョンを脱出し、エルフの村へと向かう事にした。
折角なのでプリカが家に寄って行きたいと言っていたからだ。時間に余裕もあるし、アニアも妖精郷に行って来るらしい。一人森の中へと向かって行った。
容姿が物凄い変化してるからか近くに居たスプリガンがえ? こいつ妖精? みたいに戸惑ってるのが印象的でした。
エルフニアにやってくると、兵士が二人、確かケヴィンとルイッグだっけ?
妖精の悪戯で沼に嵌ったのがケヴィンでドライアドとよろしくやってるのがルイッグだったはずだ。
彼らはプリカを見付けると一瞬驚いたモノの、よぉっと声を掛けて来た。
「プリカじゃないか。お前村から追い出されたんじゃねぇの?」
「なんだとー。ひどっ。誰がいつ村を追い出されたのよー。私はちゃんと刑期を終えて出所したの!」
プリカさん刑務所にでも入れられてたの?
「そうだったか? お前の爺さんに聞いたら大罪犯して村退去になったんじゃみたいに言ってたぞ」
「お、おじいちゃんっ!? もーっ」
珍しく怒るプリカ。今更可愛らしく怒って見せても君が隠そうとしている野獣性を押さえることは出来てません。パイラがゴス食みながら白い目を送ってるぞ?
「つかあんたらエンリカのパーティーだったよな。随分人変わったっつーか。何だこの猿?」
ミーザルが俺俺、俺に注目してくれよ。と自己主張しているのに気付いたケヴィン。あーあ。無視しときゃいいのに。
調子に乗ったミーザルがうざったいくらいに自己主張し始めたじゃないか。
ルイッグの方はルクルさんが一目見て気に入ったらしい。
素早い動きで彼女の手を取ると、お嬢さんお会いできて光栄です。みたいなことを言い始めた。
え? なにコイツ? と呆然としているルクルさんをいきなりデートに誘いだしている。
そんなルイッグの裾が掴まれた。
「だから一晩俺と……んっ、なんだよ。今俺は……」
振り向いた先に居たのはアルセ、ではなくアルセに似た生物ドリアデス。
にぱっと笑みを浮かべてルイッグを引っ張る。
「い、いや、俺は、その、あ、待って、待てって。今日は、今日はダメだってぇぇぇっ」
ドリアデスに引っ張られルイッグさんは消え去った。
今日もしっかり絞られてくるが良い。大丈夫だったルクル?
あ、ルイッグの顔にカレーぶつけられなくてちょっとイラッとしてる。近づくのは止めとこう。
ミーザルを放置して僕らは村へと入る。
久しぶりに来たなエルフの集落。
リカードさんとルイーズさん大丈夫かなぁ。
「あ、そんちょー」
「げぁっ!? プリカか!?」
今凄い嫌そうな顔したぞ村長。
丁度リカードさんの家から出てきた村長。
プリカを見付けて取り繕った笑顔を浮かべる。
「あの村長さん。リカードさんの家から出て来られたそうですけど、お二人大丈夫ですか?」
「ん? ああ、君は確かリエラじゃったか。一応、元気に生きてはおるよ。だいぶ前に娘が子供を連れて遊びに来た事で少々あったが、今は元気じゃ」
ああ、なんとなく察せてしまう。エンリカの奴、実の両親にトドメ刺しやがったな。
元気は元気なんだろうが、正常ではないんだろう。
とりあえず両手を合わせて冥福を祈っておこう。
村長さん、だいぶ濁してるけどエンリカが連れて来た子供、絶対一匹や二匹じゃないはずだ。
いや、むしろ最初に数匹だけ見せて中に迎え入れてもいいと両親から了承受けた瞬間子供たちの群れが家を襲撃。あまりの多さに気絶する二人が眼に浮かんでしまった。
村長と交渉して本日の宿を確保した僕らは村長と別れてプリカの家へと向かう。
リエラが宿の確保交渉してるの見て、僕思わずあのリエラが立派になって。と思わず泣きそうになったよ。なんだろうこの感覚。娘を見守る父親の感情ってこういう事をいうのかな?
「おじいちゃんただいまー」
「ん……おお、プリカじゃないか。よくもまぁ村に戻って来れたな」
いきなり酷い挨拶だ。実のおじいさんが孫に言う言葉じゃないと思う。
もーひどいなーといいながらも嬉しそうなプリカがお爺さん、確かランツェルだっけ? に抱きつく。
エヘヘーと楽しげに纏わりつくプリカを煩わしそうにしながら、ランツェルさんは僕らに視線を向けた。
「で、今日は何しに来たんだ? 武器を買いに来たとかは言わんだろう? お前らの持つ武器の方が性能はいいだろうし」
「あ、一応、お土産の品としてアルセの蔦持って来ました。今日は近くに寄ったので顔見せに。プリカさんを預からせていただいてます」
「かーっ、丁寧にまぁよぉ。エンリカに引き続きプリカまで面倒見て貰って悪いねェ嬢ちゃん方。こいつ迷惑掛けまくりだろ? 人様に危害を加えてないかが心配でねぇ」
はぁっと溜息を吐くランツェルさん。お気持、よくわかります。




