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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第ニ話 じゃじゃ馬嬢を止める術を彼らは知らない
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その能力を誰も知らない

「ぶひ!」


 バズ・オークが皆に合流できなかったのは魔物などを回避しながら移動していたためらしい。

 バルスパーティーが一緒になった御蔭でやって来る敵を正面から倒せるようになり、直ぐに仲間のもとへと近づけたのである。


 がさがさと叢揺らしてバズ・オークが歩く。

 その先に居たのは……

 ネッテだ! ネッテが……蔦に絡まれている! 蔦に絡まれている!!


 大事なことなので二度言ってしまったけど、これアンブロシアツリーじゃないか?

 すげぇ! 凄いよ、なんかエロいよ。僕触手プレイはあんまし好きじゃなかったけどこれはヤバい。

 というか、なんでネッテは気絶してるんだ。


「な、何コレ!?」


「み、見て、あそこ、女の人が捕まってる!」


「って、まさかこれ俺らで助けるパターンか!? 無理だろ!」


「ぶひ!」


 まるでお前達はここから動くな。と言うように顔を向けたバズ・オーク。

 ナイトブローバ―を手にして背中を向ける。

 その姿は、まさに歴戦の勇者のようだった。


 バズ・オークの咆哮が轟く。

 突然響いた敵意の声に蔦がびくりと動きを止めた。

 その一瞬、確かに貰った。

 バズ・オークが一気に駆け寄りネッテを蔦から切り離す。

 お姫様抱っこで着地すると、背中から迫る蔦を回避しながら茂みに飛び込む。


 凄い。前回の闘いで何か学んだのかいい動きだぞ今の!

 そのまま大きく迂回してバズ・オークがこちらに戻ってきてネッテを降ろす。

 そして再び剣を携えアンブロシアツリーへと走り出す。


 ちょっとバズ・オークさん、まさか倒しに向う気ですか!?

 にっちゃう、にっちゃう・つう゛ぁいどこだ!?

 アレが居ないと倒せないぞ!


 リベンジマッチは無理だよバズ・オーク!

 しかし僕の言葉を聞くことなくバズ・オークは蔦を切り裂き茎に向けて切りかかる。

 が、案の定無数の蔦を全て回避できていない。


「オークさん!」


 エンリカが見ていられないと弓を射る。

 ビュンと風を切って蔦に突き刺さる矢。

 しかし点の一撃では蔦を切り裂くことすらできない。


「エンリカ、茎の方狙って。蔦はアタッカーに任せるの。あなたは仕留めに掛かりなさい!」


「は、はい!」


「バルス!」


「分かってる! あのオークのフォローは任せろ!」


 ユイアの言葉に応えて走るバルス。

 うん、こうやって見るとなかなかいいパーティーだな。

 僕はそんな三人を傍目に見ながらネッテを揺する。


 アルセも揺れるネッテを見て揺すりだした。

 なんか楽しそうだねアルセ。人を揺するの好きなのかな?

 しばらく揺すっているとようやくネッテが意識を取り戻す。


「あれ? ここは……アルセ?」


 ばっと起き上がるネッテ。自分が気を失うまでを思い出しはっと周囲を探すと、剣撃が聞こえる。

 ネッテの近くで弓を引くエンリカに気付き、ふらつきながらも立ち上がった。


「ラ・ギラッ!」


 ユイアの火炎魔法がアンブロシアツリーを炎に包む。が、蔦同士を擦りつけあい即座に打ち消した。


「届け!!」


 エンリカの渾身の一撃! 打ちだされた矢が無数の蔦の隙間を縫って、バルスの頭の横を、バズオークの頭上を飛び越えアンブロシアツリーの茎へと突き刺さる。

 悲鳴が上がった。

 アンブロシアツリーって叫ぶんだ。


「援護するわ。助けてくれてありがと」


「助かります。礼ならあのオークさんに言ってください!」


「バズ・オークが? 借り作っちゃったわね……コ・ルラリカ!!」


 今のほぼ無詠唱だった気が……もしかして既に気絶前に唱えてディレイ魔法にしてたのかな?

 氷結魔法がアンブロシアツリーに襲い掛かる。

 バズ・オークを捕獲しようとしていた無数の蔦が一気に凍りついた。

 御蔭で難を逃れたバズオークはナイトブローバ―を一閃。

 渾身の一撃を茎に叩き込み。ブチリと斬り飛ばした。


 絶叫の悲鳴が轟く。

 倒れるアンブロシアツリー。

 凄い。本当に倒しちゃったよ。

 というかアンブロシアは……あ。


 ころころと転がるアンブロシア。なぜか僕の足元に転がってきた。

 思わず拾っちゃったけど、コレどうしよう……とりあえず隠しとこう。

 と懐に入れようとするとアンブロシアが消えた。


 なんぞ!? と慌てて身体をまさぐると、アンブロシアでてこい。と念じた瞬間手にアンブロシアが飛び出してきた。

 なんだこれ? まぁいいや。なんかアイテムボックスみたいなものだろう。

 たぶんバグの一種だろう。


「やるわねバズ・オーク。もしかして前回敗北したのが許せなかったとか?」


「ぶひ!」


 やり切った顔でバズ・オークが頷く。


「助けてくれたんだって、ありがとね」


「ぶひ」


 まるで仲間だろう。気にするな。というように手を振って、バズ・オークは僕らのもとへと戻ってきた。

 ナイトブローバ―、結構扱えてるなバズ・オーク。

 バルスたちは倒したアンブロシアツリーを回収していた。

 バルスが貰っていいかと聞いていたのだが、ネッテは助けられたので遠慮したようだ。バズ・オークも倒すことが目的だったようで死体回収は任せてしまった。結果、バルスが一人忙しなく解体作業に精をだしていた。


 ユイアは笑顔のアルセを愛でつつバズ・オークとネッテが話し合うのを僻むように見つめるエンリカを心配そうに見ていた。

 本当に心配だよエンリカさん。もしかしてバズ・オークに惚れちゃってますか?

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