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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その少女が神々の御許に旅立ったことを彼らは知りたくなかった
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その暴食の果てにあるモノを彼は知りたくなかった

 戦場に現れたのは暴食の権化、プリカさん。二度目の試練となっております。

 そういえば一回目の試練では当らない弓を延々と放ってたけど、最近殆ど弓使ってないよねプリカ。

 結構接近戦というか獣に近い闘いが多かった記憶が……


「「GAAAAAAAAAAAAAAAAAA――――ッ」」


 二体の獣が激突した。

 プリカとプリカドッペルは迷うことなく互いの肉体に喰らい付かんと接近戦を行ったのだ。

 あいつら理性大丈夫!?


 もはやプリカは弓使い以前にエルフとしての何かを失っていると思うんだ。

 ほら、相手の耳にかじりついてぶちっと引き千切ってる姿とか、腕に噛みつかれて悶えてる姿とか、どう見てもエルフ感ないよね? むしろ強化グールとかゾンビの類になってるんじゃないかな?

 血だらけになりながらも互いの身体に喰らい付くバケモノ二体は、ただただ只管に相手の身体を壊し合う。同じ人物だけにゾンビの共食い感がハンパない。


 と、いうか、コレどっちが勝ってもエグいことになりそう。

 いや、下手したら出血多量で共倒れもありなのでは?

 これ、大丈夫かな?


 もはや止まる事すら出来ない二体の悪夢が絡み合う姿を見ながら、僕たちは戦慄する。

 正直コレはヤバい闘いだ。

 自身のコピーを貪り合うとか、恐すぎるわ。

 グレイさんもちょっと吐きそうな顔していらっしゃる。

 って、ルクルさん、こんな時にカレー食べるのはどうかと思うのですが。


「む、無理、もう無理っ! ギブアップっ!!」


 初めに根をあげたのはなんとグレイ。神様がタオルを投げ込みTKO。

 で、結局無効試合ですか?

 プリカとプリカドッペルに回復魔弾が打ち込まれ、傷付いていた身体が治って行く。

 凄いな。回復魔弾なかったら日常生活に支障が出る状態まで破壊されてたぞ。


 未だに血だらけのプリカたちはもうちょっとで何か掴めそうだったのに。とよくわからないことを叫んでいたが、グレイさんたってのお願いで仕方無く戦闘を諦めるのだった。

 代わりに神様直々に何かのスキルを与えられていた。

 えーっと、何だコレ? 接射? 接近した状態で弓矢を使って矢を放つ技術らしい。

 命中率悪くてもこれなら使えるだろうってことらしいんだけど、ねぇ神様。プリカにはもはや弓必要無くね?


 次の闘いはパイラさん。行われるのはパイラドッペルとの戦闘。

 プリカの闘いの再現のような闘いを見て、グレイが早々にタオルを投げ込んでいた。

 ところであのタオル、どこから出したんだろう?


「不満……」


 殆ど何も出来なかったパイラが不満を露わにする。

 困ったグレイはどっかから拉致ってきた牛を持って来るとパイラに差し上げてました。

 牛一頭丸呑みするパイラさんがパネェっす。


 パイラが今回スキルとして手に入れたのは……自制Lv20。

 神様。これ、多分死にスキルになると思います。こいつに自制とかムリムリ。

 ほら、今も牛喰った先からゴス喰ってるし。うましうまし、じゃないよっ。僕のゴスだってば!


「さ、さぁ、次は誰だっけ? ほら、さっさと……あれ?」


 グレイが話を変えようとして、気付いた。

 既に次の人物が試練の間に入っている。

 現れた自分の偽モノに、そいつは宣言するように腕を向け、そして親指を自分に向けた。


 さぁ、用意はいいか? テメーに俺の全てを教えてやるぜ!

 ミーザルのミーザルによるミーザルのための自己主張が始まった。

 自分の偽物にすら自分の意義を認めさせようとか、このミーザルは阿呆なのか?


 俺が、いや俺が、俺を見ろ、いや俺を見ろ。お前が俺を見ろ! お前こそ俺を見ろ。そんな不毛な自己主張が繰り返されています。

 大した闘いも行われないで自分を指し示す猿が二匹いるだけなのであまりにも地味。

 正直長めのティータイムだな。って思います。


 僕らはグレイが用意したお茶と茶菓子を椅子に座ってぱくつきながらしばらく寛ぐことにした。

 試練の間で起こってることは完全無視でガールズトークが始まってます。

 しかもルクルのカレーがメイン食材になりだした。プリカとパイラさんが馬鹿食いしてます。


「んでも、私こんだけ大きくなったら今までと動きとか違うわよね。慣れるまで大丈夫かしら?」


「アニアが子供大の姿になってるのは確かに驚きよね。歩くの大変かも?」


「え? 歩かないわよ? 羽があるのに。歩くとか嫌よ」


「そういえば今までずっと浮いてたものね。疲れたら止まるくらいで歩く姿はみたことないかも?」


「ふっふん。そういうことです。あ、でも歩く練習はしといた方がいいかな?」


「いやいや、その大きさになるんだから歩いたり走ったりは出来た方がいいと思うわ」


 もっぱら話しの内容はアニアです。容量が一気に増えたからどんな弊害が出るか、その対処法を話して……


「ギルド前にさ、美味しいパンケーキの店あるじゃないですか……」


 と、思った次の瞬間には別の話題に華を咲かせる女性陣。その会話内容、ついて行けません。

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