表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その少女が神々の御許に旅立ったことを彼らは知りたくなかった
787/1818

その意味不明な存在進化を彼女も知りたくない

 お次の対戦はアメリスとアメリスドッペル。

 アメリスも結構おかしくなっちゃってるからなぁ。

 バグ受けたせいだけど。


 鞭を構えるアメリスに、アメリスドッペルはどこか恰好付けながらニヤリを笑みを浮かべる。

 なんだろう、あの立ち姿、なんとなくゴゴゴゴゴゴゴゴとかドドドドドドドドとか背景に音が付きそうな気がする。

 先制は、アメリスドッペルだ。ギラリとした視線でアメリスを射抜こうとした。

 咄嗟に気付いたアメリスがアメリスドッペルの視界から遠ざかるように飛び退く。


「アメリスさん、何で避けたんだろ?」


 リエラ。多分だけど石化の魔眼を警戒したんだよ。アメリスさん、眼で見て殺すタイプだから。

 さらに上半身の服に手を掛けると、一気に引き上げるアメリスドッペル。丸出しだあぁぁぁぁっ!?

 ありがとうございますっ!! 激写激写!


 胸からビームが発射され、慌てたアメリスがギリギリ避ける。

 地面を転がりながら怒った顔で何かを叫んでいる。

 おそらくはしたないからやめろとか言ってるんだろう。

 よかったねアメリス、男が居なくて。


 ん? グレイは一応男枠なのかな? 神様のえっち。

 グレイが気付いてわざとじゃないとか首振ってるけど僕知らない。

 え? 僕? 僕はほら、存在しないはずの人だから、男枠には入らんのですよ多分。

 はっはっは……シャッターチャンスじゃ、ひゃっーはっはっはっはっ。


 バトルドレスをはためかせながらアメリスが走る。

 遠距離攻撃は胸から発射するビームか魔眼だけなので、接近しないと戦えないのだ。

 それが分かっているアメリスドッペルはむしろ遠距離勝負をするようで、胸からビームを出しまくる。

 非情にありがとうございますっ。

 僕はしっかりとこの闘いを目に焼き付ける。

 世紀の決戦だ。この闘いはきっと後世に残る最大の闘いになる。

 だから激写しなければ。余すところなく映しまくらねば!

 さぁ、アメリスさんもビー「るーっ」ひぃあっ!?


 背後からじとっとした目のルクルさんが僕の肩に顎を乗せて来た。

 何を、しているのかなぁ? といったルクルさんの行動に、僕は思わずホールドアップ。

 違うんです。つい、出来ごころだったんです。心の悪魔が囁いたんですっ。


 僕がルクルに問い詰められている間に、アメリスはようやく接近戦に持ち込んでいた。

 鞭を使い互いを傷付け合うアメリスたち。時折双牙斬が放たれるモノの、自動迎撃の御蔭でダメージを負っている様子は見当たらない。

 これ、結構長引くパターンじゃないか?


 事実、二人の闘いは熾烈を極めた。

 何しろアメリス同士なのだから決着はなかなか付かないのは仕方無いだろう。

 でも、だからこそアメリスもまた、自分の弱点に気付き始めていた。


 攻撃すればするほどに、見えてしまう致命的な隙。

 初めは、ワザとアメリスドッペルが作っているんじゃないかと警戒していた、しかし、意識すれば意識する程に、自分もその隙を持っていることに気付いてしまう。

 だから、その致命的な隙を突き、アメリスは双牙斬で一気にトドメを刺した。


 ドサリ、今までの激闘が嘘だったかのようにアメリスドッペルが倒れる。

 深く息を吐き、こちらに戻って来ようとするアメリス。

 パルティとリエラが出迎えようと扉に向うが、何故だろう、ドアが開かない。


 あ、そうか、まだだ。まだ終わってないぞアメリス!

 僕は慌ててアルセを操りアメリスにジェスチャーで伝える。

 しかし、マジックミラーなのを忘れていた。向こうからは全く見えないんだ。

 気付け! 気付いてくれ! お前はスキル、悪夢再びを持ってるんだよっ!


 音も無く、アメリスの背後で立ち上がるアメリスドッペル。

 戦闘中に限り、一度死んでも完全復活するというスキル、悪夢再びにより、彼女のドッペルがアメリスに歩み寄る。

 気配を感じたのだろう。振り向くアメリス。しかし、アメリスドッペルの点穴がアメリスの急所を捉える方が早かった。

 気付いてなかったアメリスのせいで、暗殺のスキルが発動し、即死効果がアメリスの命を狩り取った。


 ドサリ、崩れるアメリスを見降ろし、アメリスドッペルはニヒルに笑みを浮かべた。

 「最後まで手を抜くな。闘いの鉄則だろう?」なんて台詞を残してハードボイルドに立ち去って行く。

 その背後で、音も無くアメリスが立ち上がった。

 そして、今さっきと同じ展開がもう一度展開される。


 いや、ドッペルさん、あんたアホか?

 自分が復活したんだからアメリスも復活するに決まってんだろ? なにやってんの!?

 戻ってきたアメリスが扉から部屋に入るなりふはぁっと息を吐いて椅子に座り込む。


「大丈夫ですかアメリスさん?」


「ええ。正直生きた心地はしなかったわ。実際不注意で死んだし」


 それはいいけど、どんな進化したのアメリス……んん? 変わって無くね?

 いや、待て、変わってる。チクビームがオッパレーザーに変わってる。レベルアップしてます。

 ……なぜ、そこだけ進化した?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ