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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その少女が神々の御許に旅立ったことを彼らは知りたくなかった
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その衝撃的事実が齎した冒険を彼女たちは知りたくなかった

「暴れたいっ」


 数日後、皆の集まる部屋に突如現れたミルクティさんは、開口一番物騒な事を言い出しました。

 ばんっとドアを開いてのお言葉で、部屋にいた全員が固まってしまった。

 デヌの衝撃宣言は、未だにパーティー内で受け止めきれていないのだ。なのでミルクティすらも腫れモノ触る感覚で過ごしていただけに、彼女の方からアクションを起こされるとどう対応すべきか迷ってしまうようだ。


「ま、まぁ落ち着きましょうミルクティさん。ほら、パルティが遊びに来てる訳ですし、ね?」


 お客がいるから物騒な事言わないで。リエラの控えめな忠言は、しかしミルクティには届かなかったようだ。


「パルティが居るのはいつものことでしょ。それよりリエラ、私と同じくらいの実力の敵がいて、思う存分全力で戦える場所とか知らない? 知ってるなら連れていって!」


「ええっ!? えーっと、ミルクティさんの実力と同じくらいですか……」


「流石に今のレベルに合わせるとなると時代劇の逆塔の下層くらいしか……」


 パルティが呆れながら告げるが、リエラは思い出したように顎に手をやり真剣に考え出す。


「……ありますよ。新たな力を手に入れる試練の洞窟。敵は、自分自身です」


 思考の海から帰って来たリエラの言葉に、その場の全員がリエラに視線を向けた。

 のじゃ姫は特に気になるのだろう。何しろ自分がダンジョンボスをしていた場所なのだから。


「のじゃ?」


 流石に今からあそこに向うと学校が始まるんじゃないのかなのじゃ? みたいな言葉を発するのじゃ姫に、リエラは被りを振るう。って、今の言葉、理解出来ちゃってるのリエラ?


「大丈夫。宛てはあるよ。ね、アルセ?」


「お?」


 ぴよぴよぴよぴよっと歩いていたアルセは、突然話を振られて首を傾げる。

 しかし、直ぐに思い出したように自分の髪飾りを外して見せた。

 これ? というように差し出すアルセに、リエラはコクリと頷く。


「エアークラフトピーサンに送ってもらえば殆ど時間は取らないはず。行き帰りが空輸になるなら日帰りでも行けるはずよ。どうしますかミルクティさん?」


「当然、行くわ!」


「試練の洞窟、かぁ。私も着いてっていいかな?」


 パルティの言葉にリエラは頷く。


「私も試練の再戦がしたいと思ってたんですよね」


 そういえば前回リエラ敗北しちゃってたよね試練。

 でも大丈夫かな。今回も神様の介入があると思われるし、僕とアルセだけじゃ無くリエラもちょっと神様から目を付けられちゃってるからなぁ。変な事が起きなきゃいいけど。


「じゃあ、早速用意して来るわ」


「私はいつでも行けますよリエラさん」


「面白そうだし、私もご一緒しようかしら」


 おや、アメリスさんもご一緒ですか。

 他にもプリカやパイラも来るらしい。どうもプリカさん、仲の良いパイラに自分の故郷を紹介したいらしい。いい機会だし、向こうで少しオリー倒しとくかな。非常食としてもっとこう。


 今回ネフティアは来ないらしい。アキオくんを振りまわして討伐依頼をこなしておくそうだ。

 ロリコーン侯爵もデートがどうのといいやがって来ない事が確定した。

 一応アルセの護衛にはルグスが来るようなので問題は無い、かな? コイツの命中率が試練の洞窟で何とかなればいいけどね。


「ハロイアさんは来ないだろうけど他の人たちは来るのかな?」


「今日は居ないし、私たちだけで行きましょ。今からいちいち召集掛けてたらミルクティさんが切れちゃうんじゃないかな?」


 気を利かせようとしたリエラにパルティが告げる。

 確かに、さっさと暴れたいミルクティに待ては言わない方がいいだろう。

 と、いうわけで、着いて来るのはリエラ、パルティ、ルクル、ミルクティ、アメリス、のじゃ姫、ワンバーちゃん、プリカ、パイラ、ルグス、レーニャ、アニア、ミーザルといったメンバーになった。


 あれ? 男性どこ行った? 女性と人外しか居なくね?

 人族の男性がついに居なくなってしまった。レックスやランドリック、フィックサス誘わないと……あ、いる。居るよ。天井裏に居たよ一人。影兵さんこっちですっ。


 男性が居てくれてよかった。そろそろ男性パーティーメンバー集めないとなぁ。流石に女性オンリーになってしまうといろいろ目のやり場に困ってしまうのです。

 かといっておっさんばっか集め過ぎるのも目の毒だから気を付けないとな。バズラックさんとかギースさんとかお節介焼きで快活なおっさん二匹くらい見つからないかな?


 僕らはアメリス邸の庭にやってくると、メンバーの準備が出来るまでその場で待機する事にした。

 今回、珍しくアメリスがにっちゃん離れをするようで、別れを惜しむようににっちゃんとにっくんに手を振っていた。

 二匹はこの屋敷でゆったりと過ごすらしい。アメリスの独り立ちに涙を流して感動していらっしゃった。

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