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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その洞窟が取り持った仲を彼らは知りたくなかった
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その集まっていた女たちを僕らは知りたくない

 Sババァ

  種族:偽人 クラス:聖歌隊ババァ

 ・どこかで歌っている老婆集団。

  見つけた場合視覚的地獄があることは確実。ただ歌っているだけなので放置して構わない存在。

 ドロップアイテム・入れ歯・入れ歯洗浄剤・喉飴・BABA-BA洞窟曲一覧表


BABA-BA洞窟曲一覧表;

 1.ようこそBABA-BA洞窟へ 2.ばばぁが来るぜ 3.ばばぁは走るよどこへでも 4.ばばぁ哀歌 5.ばばぁとじじぃのセレナーデ 6.水曜日のばばぁ 7.ばばぁ恋愛白書 8.すべては孫の笑みのため 9.ばばぁ賛歌 10.ばばぁの乳にうずもれたなら 11.ばーばーばばぁ 12.ばばぁ缶詰作成中 13.ばばぁライフ 14.じじぃを取り戻せ 15.月明かりの下のばばぁ 16.ばばぁが居た夏 17.ばばぁは死なず 18.冬のばばぁと口付けを 19.ばばぁの約束 20.The Endless BBA

―― ばーばー、ばぁばぁばぁー。かなしきーばばぁの、なみだがたれるー。ばばぁはー、ないたぁ。おーまえのために ――


 間延びした老女たちの美声? が響き渡る。

 相変わらず光輝くお婆様連中の猛攻が激しい。

 デヌやリエラがフラッシングババァを撃退しているので被害はまだ出ていないが、なぜかあいつらランドリックを狙って来るんだよね。狙われやすい顔でもしてるのかね?


 そんなランドリックは迫るランニングババァやこうそくババァを撃退している。

 パルティとフィックサスがターボババァを撃退しているのを見ると、倒す敵が一番弱い気がするのは気のせいではないだろう。

 まぁ、どれも強力な敵ではあるんだけどね。


―― あーあー、ばばぁあーいーかー。おまえのくちびるがーこいーしいのー ――


 曲で唇が聞こえた瞬間ランドリックが嫌そうな顔で唇をガードする。

 気持ちは分かるよ。というか、実際襲われたしな。

 あ、ボス部屋発見。


 ここ、ボス部屋だよな? 確認するデヌに頷くリエラとパルティ。

 警戒するフィックサスとランドリックを放置して、アルセがボス部屋の横の通路に入って行く。

 アニアが気付いて皆に報告。今更ながら気付いた皆が慌てて追って来た。


 アルセは発光中なんだけど、どうもこのボス部屋前だけ青色に光り輝いてるんだよね。

 そのせいで発光物が移動しても気にならなくなっていたらしい。

 どこ行くのアルセ。と追っ手来るリエラさん。いや、パルティ、僕の方見ないで。今回は僕が操ってる訳じゃないよ。ほら、ルクルが居る場所見てよ。アルセからちょっと離れてるでしょ。


―― どうしてーきょぜつするーのーかと。おまえをーこれほどーあいしーているのに~? ――


 曲が、何とも言えない切ない曲調になっているんだけど、お婆さんの顔が思い浮かぶだけにちょっとうぇっとくるな。

 ん? 気のせいか、歌が大きくなってないか?


―― だきーしめてー、きすーしてよー。あついーよるをーもとめーてきぃてーよ ――


 ……へ?

 ぎ、ぎゃああああああああああああああああああああああああああっ!?

 ば、ばばぁ、ババァカーニバル!?


 道が途切れ、崖のようになった場所を覗きこむアルセ。

 その背後から下を覗いた僕は思わず絶叫した。

 ちょっと段差が出来ているだけなので、崖と呼ぶのもおかしいかと思うんだけど、その広間はまさにババァ犇めく悪夢の広間。


 曲に合わせて自身を抱きしめたり、エアキスしたり、股を押さえてもじもじしている垂れ乳白髪の脱衣婆みたいな老女の群れがアカペラ付きの歌を奏でていらっしゃる。

 図鑑に登録すると、Sババァ。聖歌隊ババァという名前の集団のようだ。

 どうやらここで歌った歌が洞窟内全体に響き渡っているようだ。


―― ばばぁーはいつでもー、おまえーをまっているー ――


「おおーおおおおおー、おおおーおおっおおおー」


 アルセが楽しげに歌い合わせをしながら崖から飛び降りる。すぐ下の地面に辿りつくと、老婆の群れに混じって歌い出した。

 洞窟内に流れる歌にアルセの声まで混じりだす。


 追い付いて来た皆は崖から覗くこの光景に思わず息を呑む。

 しばらくアルセとババァ連中のハーモニーが響き、一曲が終わった。

 すると、Sババァたちがアルセの元に集まりだす。


 アルセのピンチか? と思ったのだけど、違った。

 ババァ達はアルセの頭を撫でながら、まるで孫に接するように笑顔になると、次の曲を歌い出す。

 あ、ババァの一人から何か貰ってるぞアルセの奴。


―― ばばぁとじじぃのせれなぁでっヘイッ! ばばぁばばぁばばぁばばぁイェイ! じじぃじじぃじじぃじじぃイェイ ――


 なんかファンキーな歌が流れだした。

 ババァ連中も無駄にノリノリだ。

 そしてアルセも奴らの中央でネギ振り回して踊り始めた。


―― ばばぁがあるあさであったひとはっ! うんめいかんじたとなりのじじぃ。いけがきのぼってかきのきけった、まごをおもきしどなってた ――


 だからなんつー歌だよ。

 ノリノリのババァの一部がエアギター始めちゃったよ。

 ヘッドバンキングとか白髪でされると物凄い恐いんだけど。

 というかどんどん波及してババァ連中が全員ヘッドバンキングし始めたぞ!?


―― こるーぁてめーぇなにしけつかんねん、しりからてつっこんでおくばがたがたいわせっぞ! じじぃのけんまくみつめてむねきゅん。ばばぁはこいにおちたとさ ――


 意味がわかんないよ!? なんでそれで胸キュンしてるの!?

 というか、アルセがメインボーカルみたいになってるんだけど!?

 ネギがマイク代わりなの? アルセが踊りながらおーおーっと繰り返しているその周辺は、白髪振りみだし首を前後に振りまくる老婆の群れ。何コレ?


―― ばばぁとじじぃのせれなぁでっヘイッ! ばばぁばばぁばばぁばばぁイェイ! じじぃじじぃじじぃじじぃイェイ ――


 皆が唖然としている内に一曲終わりました。

 ババァ共が折り重なるように僕らのいる崖下に列を成し、アルセを僕らの元に届けると、次の曲を歌い出す。

 戻ってきたアルセは笑顔満面、羊皮紙を一つ僕に差し出した。

 なんだこれ? えーっと、BABA-BA洞窟曲一覧表?

 いらねぇっ!?

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