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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第三話 その洞窟が取り持った仲を彼らは知りたくなかった
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その歌を歌っているのが誰なのかを僕らは知らない

―― ばばばー、ばばばー、ばばーばーばばーっ。ばばあーばばあー。よーうこそー、ばばぁーばぁーどーくーつー ――


 BABA-BA洞窟に一歩踏み込んだ瞬間だった。

 何処からともなくお婆さんらしき無数の声がハーモニーを奏でて響いて来た。


「なんだこれ?」


「ギースさんの話じゃこの洞窟では絶えず歌が聞こえるらしいんだ」


 ランドリックの疑問にフィックサスが応える。

 これ、どこから聞こえるのか不明だけど、あまり聞き続けたくないな。調子が狂う。

 なんかこう、うわぁって感じの精神状態になる歌だった。


―― ばーばばばばー、ばばぁがいるよー。ばーばばばばー、ばばぁがくーるーよー ――


 洞窟内はとても暗い。

 やはりカンテラや松明は必須なんだろう。

 早速アルセが光を放……ん? なんか明るくなった?


 アルセが光る前に前方に薄ぼんやりと光が生まれる。

 そいつは徐々にこちらに近づいて……ひぃぃっ!?

 ば、ばばぁだ! ばばぁが本当に来たぁっ!?


―― ひーかりかーがやくそーのばばぁ、ランニングババァがやってきたぁー。はしーれはしればーばーぁ、おーまえのはーしりはまーごのたーめー ――


 意味不明の歌と合わさって既にカオス感がハンパない。

 光り輝くばあさんが走ってきている。

 スプリンターも真っ青の凄まじい力強さで地を蹴るお婆さんは何故かランニング用の服を身に付けている。


「ふぇっふぇっふぇっふぇっ」


 ランニングシャツに短パン。ランニングシューズにタスキを身に付けたお婆さんは、服の中で垂れ乳を揺らしながら僕らの元へと突撃して来た。

 咄嗟に剣を引き抜いたフィックサスが対応する。

 ランニングババァは途中で地を思い切り蹴って跳躍。フィックサスに渾身の蹴りを放って来た。


 蹴りを剣で受け止めるフィックサス。

 即座に反応したのはデヌ。魔法を撃ち放ちランニングババァを撃破する。

 あ、発光が消えた。


「成る程、ここの敵はこの婆さんみたいに発光してるのか?」


「発光しない奴もいるかもしれない。一応アルセとアニアには光っていて貰った方がいいよ」


「行こう。入り口で立ち止まってるのもアレでしょ?」


 デヌの言葉にパルティがアルセとアニアの発光を促す。

 二人が光を放ったのを確認し、リエラが率先して先へと足を踏み出した。


―― ばばぁ、ばばぁ、ばばぁーっ。ばばぁ、ばばぁ、ばーばぁ。ばばぁはー、おとこをーあさりーにくーるよー ――


 バサバサと嫌な音が聞こえる。

 リエラに伝えて魔銃でラ・ギライア弾を発射して貰った。

 ひぃっ!? 蝙蝠がたくさ……ぎぃやぁぁぁぁっ!?


 炎に照らされたのは老婆の顔だった。

 飛頭蛮と呼ぶべきだろうか? それとも蝙蝠?

 図鑑によればBBAバットという名前のそいつらは、光に照らされた瞬間、デヌ、ランドリック、フィックサス向けてばっさばっさと近づいて来た。

 当然、デヌが全力で魔法を放って迎撃する。


 珍しくデヌが焦った声で咆哮していたのは、おそらくそれだけ迫り来る老婆の顔の群れが恐ろしかったのだろう。

 いや、今のは軽く悪夢だ。

 というか、デヌがいなかったらアレに集られるランドリックくんがいたかもしれない。

 物凄い悪夢だ。


 ……ん? アカペラの曲調が変わった?

 僕の代わりにランドリックがソレを指摘すると、フィックサスから、おそらく次の曲に変わるんだろうとのお言葉が。

 今の曲は大体3、4分くらいかな。普通のポップスと同じ長さか。


―― ばばぁがくるぜ、ばばぁがやるぜ、ひっかりのはやさでやってくっぜー、ばばぁばばぁばばばば、ばばぁ。あー、ばばあ。ばばぁー、ばばぁー ――


 き、気が抜けるのか乗れる曲なのか……あまり慣れたくはない曲だ。

 でもアルセは気に入ったらしくおーおーっと曲に合わせて歌い始めている。

 あまり覚えてほしくない歌だけど、おーしか言わないから別に鼻歌みたいに歌われてて問題無いか。


―― おまえのうしろにばばぁはいるぜ、おまえのまえにもばばぁがきたぜ、おまえのくちびるねらってくるぜ! あー、ばばあ。ばばぁー、ばばぁー ――


「ちょ、なんか曲に合わせたみたいにっ」


 前後にババァが出現した。

 後方のRババァに前方のKババァ。

 RはランニングババァでKは高速ババァだそうだ。一応Kババァの方が速度は上らしい。


「ふぇっふぇっ」

「えぇえぇえぇえぇ……」


「なんか嫌ァっ」


「よくわからないけど謎の嫌悪感が。ええい、アックスボンバー!」


 斧スキルを駆使して接近戦をするパルティ。出現するのは全てお婆さんばっかり。

 筋張った腕や足を駆使して繰り出される攻撃を避けるのは簡単だが、白髪を振りみだし、謎の声を上げながら気味の悪い笑みを浮かべるのは気持ち悪い。

洞窟に流れる歌の歌詞は適当です。曲調も考えてないのでお好みのテンポでご想像くださいw


 BBAバット

  種族:魔蝙蝠 クラス:飛頭蛮

 ・老婆の顔に蝙蝠羽という悪夢の体現者。

  吸血蝙蝠なので男達にとってはトラウマ発生機らしい。

 ドロップアイテム・白髪・蝙蝠羽・入れ歯


 Rババァ

  種族:偽人 クラス:ランニングババァ

 ・どこからともなく走ってくる老婆。

  ふぇふぇっと鳴きながら走る様は怪異。

 ドロップアイテム・スニーカー・タスキ・ババァ牛?乳・使用済みブルマ

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