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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第ニ話 じゃじゃ馬嬢を止める術を彼らは知らない
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その豚が魔物ではないと彼らは知らない

 ぴっかー。

 光ってます。

 アルセの頭に生えた葉っぱたちが物凄く青白く輝いております。


 なんていうの、夜中にぼんやり光る草木みたいなものじゃなく、無駄に眩しい明るさだ。昼間にこれなのだから夜はさらに目立つだろう。

 が、次第光量が減って行く。


 しばらくすると光が収まった。

 なんだったんだろう? 外的変化は? もうないらしい。

 光っただけだ。


 光る葉っぱを食べたらアルセが光った。

 もう一度取り入れたらまた光るんだろうか?

 リエラたちに見せたらまた驚くんだろうなぁ。


 まぁいいや。とりあえず戻るか。

 と、アルセと共に元来た道を見る。

 うん。どうやって戻ればいいんだらう?


 未知の鳴き声渦巻く森に、僕は足を踏み込めないでいた。

 いや、でも行かなきゃ誰もこんな場所には戻らな……って、アルセ!?

 またですかアルセさ――――んっ!?


 アルセは僕の手から飛び出すと、笑顔で駆け出した。

 慌てて彼女を追って行く。

 ああもう、森にまた入っちゃったし。これで迷子になったら洒落にならないぞアルセ!


 どれ程走っただろうか? 全く迷いなく走るアルセは僕が躓いたりするたびになぜか走るのを止めて振り返って来る。

 どうやら音を頼りに付いて来ているかが分かってきたようだ。

 学習してくれているようでなによりです。


 久々に走ったりしたからもう足ががくがくです。

 僕がゆっくり歩きだしたのを感じたのか、アルセは首を捻りながら僕のすぐ横にやってくるとゆっくり歩きだした。

 歩調を合わせてくれるらしい。


 折角なので手を繋いで逸れないようにしてやる。

 笑顔を見せてくるアルセにちょっとほっこりしながら歩いていると、何か物々しい剣撃が聞こえて来た。


 カインたちだろうか?

 そう思いながら近づいて行く。

 一応近づき過ぎて巻き込まれないようにそっと叢から顔を覗かせた。


「ブヒァッ!!」


「うあっ!? くっそ、なんだこのオーク。めちゃくちゃ強いぞ!?」


「やっぱ無理だよ。一匹しかいないオークだからって森の奥の魔物に手を出すべきじゃなかったんだよぉバルスぅ」


「泣きごと言ってる暇あったら弓で援護しなさいよエンリカッ!」


「そんなこと言ったってユイアぁ」


 ……豚の魔物と三人組冒険者が戦闘中でした。

 バルスって奴がアタッカーだね。容姿的にはカインとそんなに変わらないな。リア充爆死しろといいたくなるイケメン様だ。お坊ちゃん系とも言えなくもない髪型がなんかムカつく。


 その後ろで涙目になりながら弓を番えるアーチャーの女の子がエンリカ。金髪の髪をポニーテールにしてる。耳が……耳が尖ってますよ先生!? この子、まさか、まさかあの伝説の、エ・ル・フ!?


 うわ、うわー。初めて見た!

 僕はアルセに視線を向けて思わずはしゃぎたい気持ちをアルセを見てほっこりする気持ちに転換する。今ははしゃいでいる場合ではない。


 最後にユイアと呼ばれた少女。ルックスからしてネッテと同じ魔法使いかな。杖持ってるし。

 茶髪のボーイッシュな少女だ。たぶん好きな相手を尻に敷くタイプの姐御肌だ。

 積極性のありそうな女性ってことだよ。僕のクラスメイトにも居たんだ。光圀君を嵌めるように外堀埋めて行って付き合った紅禅寺さん。今から尻に敷かれる光圀君はリア充ながらも皆の同情を集めていたのは懐かしい思い出だ。

 今は詠唱を始めていることからしておそらく合っているのだろう。

 詠唱の内容は聞き覚えが無いのでネッテが扱っている魔法とは別物だ。


 そして豚の魔物……片目に刀傷を持っていて、アイアンメイル、剛毅の手甲を装備したそいつは、巨大なナイトブローバ―を手にしてバルスと戦っている。

 背中にはポールアクスを背負い、腰元には解体用の屠殺ナイフを佩いている。


 うん、ウチのオークさんだ。

 バズ・オークの奴、この森うろついていたせいで冒険者に魔物として強襲されたらしい。

 いや、そういう事ならネッテの所有紋見せれば……ああ鎧に隠れてるんだっけか。


「エンリカ、同時に行くよ! ラ・ギラ!」


「ええいもう、どうにでもなれ!!」


 火の玉がバズ・オーク向けて飛んで行く。さらに間髪容れずに放たれる矢の一撃。

 バズ・オークはバルスの一撃を跳ねのけ、ラ・ギラの一撃を剣で受け止め打ち消すと、剛毅の手甲で矢を受け落とす。

 刺さる事すらなく矢は地面に落ち、バズ・オークはこれを踏み折りバルスに横薙ぎの一閃。

 鉄の剣で受けるバルスだが、威力を殺しきれず真横に吹っ飛ばされた。


 あ、そうだ。アルセにもあったよねあの紋章。

 アルセなら普通に見える場所にあるからこのまま出してしまおう。

 僕はそう思いながら戦場へとアルセを連れて行く。


「ブヒッ?」


「え? アルセイデス!?」


「まって下さいユイアさん、アレ!」


「何よ! アルセイデスの蔦はいい値で売れ……」


「アレ、国の紋章ですよね?」


 アルセの胸元に付けられたそれを見て、エンリカが震える手で指差した。


「え? じゃああのアルセイデス、噂の魔物使いの!?」


 そんなアルセに向け、臣下の礼を取るバズ・オーク。

 おお、想定した通りの状況に。


「じゃあ、私達が今まで闘ってたのって……冒険者仲間?」


「ブヒッ?」


 指差されたバズ・オークがなんだ? と視線を向けると、エンリカとユイアが土下座のような格好で平伏していた。

 心情を現すなら国所有の従魔を殺そうとしてすいませんっした! 罪には問わないでください。だろうなぁ。まぁ、大丈夫だろうけど。

バルス

 クラス:戦士

 リア充爆死しろといいたくなるお坊ちゃん系イケメン様。

 鉄の剣を装備している。


ユイア

 クラス:魔法使い

 茶髪のボーイッシュな魔法使い。

 スキル:ラ・ギラ


エンリカ

 クラス:弓使い(アーチャー)

 金髪の髪をポニーテールにしてるエルフ。

 両親からゴブリンやオークがどれ程危険かを嫌という程教えられ彼らに憎悪を持っているらしい。

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